新政の本気
新政は秋田を代表するプレミアム日本酒になった感がありますが、食事と合わせるのが難しい酒だと思います。何か、主張が強すぎる感じがします。
食事に合う日本酒として、真っ先に頭に浮かぶものは、「俵屋」でしょうか。これは俵屋旅館が自分たちの懐石料理に合うお酒をわざわざ造ってもらっているもので、俵屋旅館に泊まらなくても、通販で買えたりします。
このお酒は俵屋旅館の懐石だけでなく、ほとんどの食事に合うのではないでしょうか。すっきりと、あとくちの良い、素直な日本酒です。
いつだったか、新政は美味しいけれども、食事に合う気がしないと、秋田の料亭の「たかむら」のご主人と話したことがありました。たかむらさんも同意見で、「だからうちには置いていないのですよ。新政の社長さんとは親交もあるのですが、うちの食事には合わないから置けない」とのことでした。
ところが、先日、「たかむら」さんに行ってみたら、新政の「たかむら別誂え」が置いてあり、どうしたの?と聞いてみると、「うちに置いていない事が我慢できなかったみたいで『たかむら用に作らせてくれ』と言われてできたのがこのお酒です」とのことでした。
早速、いただいてみると、のどに引っかかる甘さもなく、くちから食道をすーっと、抜けていきます。それでいて、新政の印象は損なってません。この感覚は黒龍で言えば、「仁左衛門」に近いものがあります。
「すごいね」「すごいでしょ」「新政の本気を感じます」「日本でこのお酒が飲めるのはうちだけです」「そのうちこのお酒を飲みたくて、たかむらに来る客が現れるかも知れないっすね」「それはそれで大歓迎です」。
ちなみに「佐藤卯兵衛」というのは新政が秋田の酒屋の対面販売だけで販売している酒です。これはこれで美味しいお酒ですが、「たかむら別誂」は別物、日本酒が好きな方は一度は飲んでみる価値がある酒だと思います。
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