2012年7月、伝説の襲名興行
2012年の市川猿之助、中車の襲名興行も7月に入り、まだ初日の興行が終わったばかりですが、私の中で「伝説」認定してしまいました。
仕事を終えてからの観劇なので、本日は「将軍江戸を去る」の最後からの観劇でした。
三枡と鉞髷だけの口上は様式美を感じるほど美しい。その割に団十郎丈の口上は、ほのぼのとしてましたが。本当にこの人は何処で何をやっても団十郎、まさしく歌舞伎の宗家の家長であります。
黒塚は久々に見ました。口跡は先代にそっくり。しかし、端正な印象のせいか、救いの無い絶望的な人食い鬼の悲しみは薄く、これから先磨きがかかる事でしょう。
この舞踊は、踊り手が老婆と人食い鬼であることを除けば、最も美しく、ストーリーとして卓越した舞踊です。やはり、「猿之助」の襲名に黒塚は欠かせませんね。
そして、楼門五三桐。今回の襲名興行のハイライトの一つであります。今回、この短い一幕にはサプライズがてんこ盛り。黒塚の強力が噂されていた段四郎丈もここで登場します。他に彌十郎さん門之助さん、おもだか屋の面々、そして謎の(実ハ中車さん)黒衣さん。どうしてこの芝居にこんだけの人が出てくるんだ、と思いながら、筋書きを見ただけでワクワクしてきますね。
幕が開き、さらに道具幕が開き、さらに浅葱幕が落とされると石川五右衛門、海老蔵丈。口跡はともかく姿は理想とする三代目延若丈に近くて、最近見た五右衛門の中で一番イメージに近かった。
芝居が進み、真柴久吉がせりあがってきた瞬間、劇場が一変。熱狂、歓声、ため息、すすり泣き。自分の中で、
猿之助キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
と、襲名興行にもかかわらず、正直そう感じた瞬間でした。
もちろん、せりふに聞こえにくいところもあります。でも「石川五右衛門!」では、鳥肌が立ちました。
その後は、エンノスケワールド一直線。これ、これ、この感じ。もう長い間ごぶさただったこの感じ。あの頃、歌舞伎には過剰とも思われたこの熱狂。本当に、この8年間寂しかった......。
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