ローズウォーターの香り
バラのエッセンシャルオイルのうち最も高級なものはオットーと言われる水蒸気蒸留法で抽出されるものです。しかし、この方法だとエッセンシャルオイルをIkg採るのに必要な花が3トンも要るとか。
バラの花の香りは夜明けの開花直後が一番高いので、香料つくりには、それを判別して人間の手で摘まれます。それにエッセンシャルオイルを作るバラは主に春咲きのロサ ダマッセナですから、春の一時期、恐ろしく労働集約的な作業でそれは作られていることになります。
ところで、水蒸気蒸留法でオイルを捕ると、副産物として冷却された水、フローラルウォーターが捕れます。もちろんそれも商品になりますが、オットーに比べると、非常に安価です。
油分として分離した香りと水中に残った香りですから、本当は成分が異なるのかも知れません。しかし分離しきれなかったエッセンシャルオイルの成分もフローラルウォーターに残っているわけですから、私に言わせれば、元の花の香りをより忠実に残しているのはフローラルウォーターのほうなんじゃないかなと思っております。
特にバラの場合、ローズウォーターの香りの方が優しく新鮮な感じがして、もとの花、ロサ ダマッセナの生花の香りに近いように思います。
ロサ ダマッセナの主要な生産地である、モロッコ、ブルガリア、トルコのローズウォーターを集めてみました。写真は左からこの順番に並んでおります。
実は、この3本は全く違った香りをもっておりちょっと驚きです。モロッコのものは蒸留水との事ですが、調香がされているかのように、ちょっと不自然に整ったダマスクの香りです。ブルガリアのものはいかにも大量に出た蒸留水を再蒸留して濃度を高めたような、濃くすこし荒い香りです。最後にトルコのものですが、これはちょっと製法が違うようです。副産物ではなく、主力製品として作っているもののようです。水は蒸留水ではなくイオン交換水、それにバラの抽出液を混ぜて作られております。香りは自然なバラの香りに最も近いものですが、香りの持続性はこの3本の中で一番低いようです。
それに、このローズウォーターだけは、はっきり食用に出来ることを箱に記されております。飲んでみると、ほのかに甘いのですが、イケナイモノを飲んでしまったような後ろめたい気分になります。
モロッコのものは外用のみとはっきり記入されております。飲んでみたって美味しくない。ちょっとエグイ感じだし、調香されたような香りでもあるので、深追いしません。
ブルガリアのものは外用のみとも書かれておりません。でも、エグ味が強すぎて飲めたものではありません。このままでは誤飲さえおこさないレベルです。
おそらく、トルコのこのメーカー(OTACI)のローズウォーターの水がイオン交換水なのは偶然では無く、飲めるローズウォーターを目指した結果なのだと思います。
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コメント
写真・カメラ好きのなかではKKさんが一番香りや匂いに敏感なのでしょうね。
わたしも女の匂いには敏感で・・・などと冗談もさいきんは多忙で言えなくなりました。
投稿: ら・ぺるら | 2011年11月 5日 (土) 00時30分
ら・ぺるら さま、お早うございます
ご多忙ですか、それは良いことなのでは?
私の業界はいよいよ混迷を深めてまいりまして、虚業とは言ったものだと、感じております。
投稿: kk | 2011年11月 5日 (土) 08時52分
お久しぶりです。花の事は詳しくないのですが、以前、仕事で「ローズソフトクリーム」を撮影しまして、終了後試食してみたのですが、バラの香りがしました。コレってもしかしてこの液体がソフトクリームに入っているんですかね?。担当者に聞くと「ローズエッセンスが入ってる」と言ってました。
投稿: グライフ | 2011年11月 5日 (土) 15時43分
グライフ さま今晩は
おそらく、このローズウォーターと塩漬け花びらの粉末が入っているのでは。
トルコ産のローズウォーターは妙に甘くて、クセになりそうな味ですよ。
投稿: kk | 2011年11月 5日 (土) 21時02分