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2011年7月31日 (日)

不道徳教育講座、面白いです

Epson2011731 私のイメージの三島由紀夫は、独特の美的感性が伺われるいくつかの小説の作家、そして、江戸歌舞伎の雰囲気を現代に伝えることが出来る歌舞伎の戯曲作家であり、「不道徳教育講座」のような洒落たエッセイがある事は、知りませんでした。

この本は1958年に書かれたものですが、今、引用しても、ハッとするような新鮮な感覚、知識、機知、ユーモアーが溢れております。なにより文章のリズムが明快で素晴らしい。本の内容は、各種の不道徳と思われている事柄に、さまざまな分析を加え逆説的な効果を見出していく、と言ったものです。

ところで、この本の出版は1969年であり、筆者のあとがきに、

「当時はすこぶる奇矯の言と思われたものが、十年後の今日では常識化しているというところに、読者は世相の推移を、本書を通じて、如実に感ずることができるかも知れない。」とあり、ある時代、非常識と思われたものが常識化し、今日、常識と思われていたものが、実は非常識と狂気に蝕まれてはいないと、誰も保障できない、としています。

また、「十年前の日本が今よりずっと「偽善」の横行していた社会だったと言う事である。その鼻持ちならない平和主義的偽善を打破するためには、こういう軽薄な逆説、多少品の悪い揶揄の精神が必要だった。」とし、軽い気持ちで、面白おかしく書いた気持ちの裏に重い苛立ちのあったことは否めない。とあります。

このあとがきから1年半で三島由紀夫は自決することになるのですが、このあとがきを書いている時点でも、偽善が横行した社会を感じ、苛立ちを持っていたのではないでしょうか。

この本が書かれてから50年後の今はどうでしょう、偽善はさらに進化しているように思います。この本の表紙カバーのデザインでさえ、現在真似るにはエネルギー不足と思えます。

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