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2011年1月 9日 (日)

四天王御江戸鏑

Dscf1490_w 今月は国立劇場で、復活顔見世狂言がかかっているので楽しみにしておりました。

顔見世狂言と言うのは、昔の江戸三座で新しい座組みが出来ると、そのお披露目の目的で組まれた芝居のことで、いくつかのお約束のもとで、それぞれの役者に花を持たせて、マンネリな趣向でしかし毎回新しい脚本で、上演されていたお芝居のことです。

それらの多くは、現代の鑑賞に堪えられないと言われておりますが、私は、かつて、市川猿之助丈が1996年の国立劇場で「四天王楓江戸粧」を当時の顔見世の通りに演じた芝居の印象が強烈に残っており、今月の四天王御江戸鏑にも期待をかけていたのです。

しかし、今日観劇した限りにおいては、期待ハズレでありました。もちろん、菊五郎丈をはじめとした役者さんに問題がある訳ではなく、そもそも大本の芝居が面白くない。面白くない話をいくら凝った演出をしても、綺麗な舞台装置を使っても空回り感が強くなるだけです。

「四天王楓江戸粧」は1804年に鶴屋南北が立作者となって書いた芝居、「四天王御江戸鏑」は1815年に福森久助が立作者となって書いた芝居です。

当時はライバルだったのかも知れませんが、4世鶴屋南北は現代の感覚でもあっと驚く斬新な展開があったり、耽美的な退廃感があったり、ワクワクするような大悪人が出てきたりするのですが、今回の芝居ではそんなものはかけらも出てきません。歌舞伎の脚本は補綴という作業によってある程度、書き換えられますが、あくまでも補綴であるので、土台になるものがつまらなければ、救いようがありません。

4世鶴屋南北の土台なら、この新しい演出によって、また、舞台装置によって、さらに役者の演技によって素晴らしい世界を作ってくれたものと思われます。

ああ、「四天王楓江戸粧」をもう一度見たい。それは無理でもせめて、鶴屋南北の顔見世狂言「 四天王産湯玉川」の一番目と「戻橋背御摂」の二番目を綯交ぜにした「御贔屓繋馬」をもう一度見たいなぁ。

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