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2010年11月15日 (月)

成田屋が和藤内を務める国性爺合戦

R0013859_w 今回、日中関係がちょっとおかしいこの時期にどうして国性爺合戦なんだ、と思いながら、団十郎丈の和藤内見たさに、国立劇場に行ってまいりました。

国性爺合戦は近松門左衛門作の歌舞伎作品でありますが、本来は文楽です。歌舞伎で上演すると通しで上演しても、三段目までです。1998年12月の歌舞伎座で曲がりなりにも五段目まで上演したのが、歌舞伎では唯一の記録ではないでしょうか。あのような舞台はもう永久に無理でしょう。ひょっとしたら、いつか海老蔵丈がやってくれるかも知れませんが。

この演目は通常三段目までを通し狂言としているところが曲者で、役柄的に言えば、ここで命を落とす、錦祥女と渚のほうが主役の和藤内より出番が多くなります。そして、この芝居の印象は錦祥女もさることながら、渚の役者の出来に左右される気がします。今回は錦祥女を務める藤十郎丈は、1993年10月の国立劇場の同公演では渚を務めていて!素晴らしかった。今回の東蔵丈も良かったけれど。ちなみに、藤十郎丈が今回演じた、錦祥女のほうは........ごめんなさい、前回の継母である渚のイメージがダブってしまいますね。

一方、和藤内は、紅流しの場での名せりふ「南無三、紅が流るる」で決まる数分間が、全体を通しての見所です。ここでの団十郎丈はいかにも丈らしくて結構でございました。わざわざ見に来たかいがあったというものです。せりふ的には1993年の富十郎丈の和藤内の活舌は忘れられませんが。

もともと、和藤内なんて言う変な名前は和(わ)でも唐(とう)でも無い(ない)意味の洒落であって、このしゃれっ気が身上です。だから、和藤内は荒事である必要があり、荒事であるから、この突っ込みどころが満載の演目を持たせているものと思います。現実離れしていた方が良いのです。

私にしても、荒事の和藤内を見たさにこの演目を見ているのであり。それ以外の事柄、「ニッポン」が多すぎる台詞、重症患者の前でおふざけをしながら、主役の着替えを待つ演出等々、はっきり言って、「痛い」のです。

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コメント

「国性爺合戦」って鄭芝龍の息子鄭成功の話が元だったのですか。
全くの無知で何のお芝居だろうと思っていましや。
鄭芝龍親子の話は素晴らしくダイナミックな話の小説で読んでいたので
近々もう一度読んでみようと思っていたところでした。
ところで今月26日~29日上京しますが息子が朝霞に家を建てたので
一度は見てやらねばいけないかとの付き合いです。
JFCの掲示板はご覧になれますか?

投稿: 610 | 2010年11月15日 (月) 13時03分

610 さま今晩は

そうなんです。国性爺って、国姓爺鄭成功のパロディです。
当時、大ヒットした狂言ですが、現代人からは???みたいな感じがします。

610さまこちらにいらっしゃるのですか、会いたいなぁ。JFCの掲示板、覗き方を思い出してみますね。

投稿: kk | 2010年11月15日 (月) 21時16分

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