Papitolによる低温フィルム現像
Camera : 5x7 box camera, Lens : Nikkor-w 150mm f5.6, Film: Royal pan, Papitol-c
有効期限が切れた古いフィルムを現像する場合、一番適した現像液はHC110です。古いフィルムはベースフォッグが発生し、コントラストが低下し、感度も下がっているので、強力な現像能力を持った現像液で、短時間に現像することが必要になるからです。また、ベースフォッグを抑えるには、温度を低くすることも有効です。HC110だと、この要求を自在にコントロールできるのです。
しかし、残念なことにHC110は日本では取扱いが無くなり、海外から取り寄せるしかありません。現像液の有効期限は無視出来るとしても、海外から取り寄せストックしておくことは容易ではないです。
そこで、この用途の現像液を自分で処方するか、既存の現像液を探すか、する必要があります。この時、思い当たるのがパピトールです。
パピトールは印画紙用の現像液ですが、希釈してフィルム現像で使用しても問題無いことを先人が証明しております。ならば、この希釈倍率と温度を調整して、古フィルム用の現像液ができないかと考えました。これが使えれば、コストパフォーマンスに優れた古フィルム用の現像液が出来上がります。
パピトールは8L用の2剤に分けた粉末で市販されております。MSDSを見ると、A剤が現像液で、B剤がPH調整薬のように思えます。また、A剤を見ると、おそらく、主薬はここに出ない分量のフェニドンでしょう。とすれば、アルカリを弱めれば、メトールをフェニドンに置き換えたD-19みたいなモンになる訳で、D-19は古フィルム現像で使用される代表的な現像液だから、ぴったりの現像液になるはずです。
そこで、A剤を溶かして、加えるB剤を加減して、手ごろな現像液を作れば良いのですが、そのテーマはまた後に探るとして、とりあえず、オリジナルのパピトールでどんな感じに仕上るか興味津々です。
それに、空気に触れることを前提にして強いアルカリを持つ印画紙現像液は、瓶詰めにすれば保存性も良く、ある程度の期間なら希釈現像原液として十分使えます。そこで、全量を2Lのお湯に溶かし。
ペットボトルに小分けして、4倍濃縮液を作り、保存します。
使うフィルムと条件は決まっているので、現像方法を固定し、ちょうど良い希釈倍率を探せば良いのです。とりあえず、EI=100で撮影した期限切れ25年モノのRoyal Panを4倍濃縮原液を1:20、15Cで現像してみました。
先のHC110に比べて、コントラストが少し強くなるものの、粒子は細かく見えます。ネガはパピトールの方が薄い感じに仕上がります。
私は個人的にハイライトが飛ばないHC110の方が好きですが、薄めで、コントラストが高く、微粒子感のあるネガが好きな人には、パピトールもお勧めです。
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コメント
面白いチャレンジをされておられますね。
パピトールなどの印画紙現像薬でフィルム現像するなんて
そんな人が居るとは思いませんでした・・笑
投稿: SCR | 2010年11月29日 (月) 14時46分
SCR さま今晩は
私の場合、良い師匠に恵まれておりますから、
後を追ってゆくだけです、笑。
投稿: kk | 2010年11月29日 (月) 22時04分