9.5インチのフィルム
先日、9.5インチのフィルムはもう作られていないだろうと書きましたが、訂正します。
まだ現役でAgfaがネガカラーフィルムを作っております。そして、これを使うカメラはZeiss RMK-A 15/23。レンズはZeiss Pleogon153mmF4。9.5インチのロールフィルムを使って歪みの無い9x9インチ四方の画像を写します。この画像はスキャンされ、デジタル化して地図の作成に使われているようです。
こういう世界になると、フィルムは最適な媒体かも知れません。9x9インチの画像素子は作れても、そのサイズの画像を電子処理をしながら連射しつづけるデジカメなんて無いでしょう。もしあったとしても、セスナに積んで空撮など出来っこ無いです。
ところで、前述のコダックの9.5インチフィルムはごく薄のESTARベースが使われております。これはモーターでロールフィルムを巻き取り、現像の時も薬品の中をモータードライブでくぐらせることを前提にしております。
したがって、フィルムは切断しにくく、カールもあります。表題の写真にも暗闇で無理に力をかけたので、変な方向に切れ目が出来、鋏で切り取った痕が見えます。真っ暗闇の狭い押し入れでこんなフィルムを操作するのは本当に苦しい作業です。
このフィルムを、同じように苦しい作業の末、9.5x8インチに切って8x10のホルダーに詰めて使おうとしたものの、ホルダーの引きブタを開けた瞬間にカメラ側にフィルムが落ちてしまった例もあるそうです。
その失敗を報告した人は結局9.5インチ四方のロールフイルムホルダーを作って、8x10カメラにあてがい撮影をしていたようですが、結局現像で行き詰ったようです。5インチくらいの幅ならステンレスの飯盒みたいなタンクで反復巻き取り方式で現像するタンクもあったのですが、さすがに9.5インチではやりにくいと思われます。考えられるのは、直系10CM長さ1m弱のドーナッツ状の塩ビ管、...これに数リットルの現像液を入れて....正気の沙汰とは思えない作業です。
私が手に入れたフィルムは、1991年に製造された18年ものビンテージフィルムですから、感光するかどうかさえ不明。ただ、低感度の空撮用のパナトミックーXでしたので、ある程度期待は持てます。とりあえず横に切って、ブローニーの裏紙に貼り付けて、パール3でテスト撮影して見ました。
ヘタッたミクロファインを使って22C、9分で現像してみたら、全く劣化していません。感度も充分、ISO50でもOKです。ベースも無色透明でカブリもありません。可能性だけなら、反転現像して9.5インチ幅の白黒スライドさえ出来そうです。
がぜんやる気が出てきました。
欲張らないで2枚撮りにすれば、8x10でロールフィルムとしても、短い塩ビタンクで現像できそう....。4x5は無理でも12x9なら、8枚撮りのロールフィルムが縦に1カット入れれれば出来そう......。4枚でも良いか....。
でも、とりあえず、フィルムを小分けにできる容器をさがすことが先決ですね。大きすぎて扱い辛いし、誤って感光させたら、全てがパアですから。
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コメント
ううん、kkさんはメーカーがフィルム生産やめても、昔のフィルムでいかようにも楽しめる人ですねぇ〜
わたしは、せいぜいフィルムと印画紙買いだめするくらいですから、なかなか凄い事だと思います。
投稿: ラ・ペルラ | 2009年10月14日 (水) 23時48分
ラ・ペルラさま今晩は
このサイズの巻物がフィルム遊び、最大の道具です。
8x10まで自由に切り出せるし、ロールフィルムも出来る。
122であろうが123であろうが自由自在です。
それに白黒であることも大事です。カラーはどうしても現像に制約が出てくるので好き勝手が出来ないのです。
投稿: kk | 2009年10月15日 (木) 00時33分
拝読したあと・・お疲れ様というコトバしか浮かびません(笑
好きこそものの上手なれ・・まさにその通りですね。
ボクなど、足下にも及びません。恐れ入りました。
投稿: SCR | 2009年10月15日 (木) 22時26分
SCRさま今晩は
私、今、フィルムホルダーを作ろうとしているのですが、設計図を正確に書けないのです。実際に作り始めると矛盾が露になります。
氏のようにちゃんと、計算して設計出来る人が羨ましい。
投稿: kk | 2009年10月15日 (木) 23時17分
以前8×10のズーム式ピンホール6連写カメラを作りましたが
6カットをシースに入れて掻き落とす式で、撮影済みポケットに
落とす時にフィルムに傷がついたりで実用になりませんでした。
ロールフィルムなら何か現像法を考えるとよさそうな気もします。
投稿: 610 | 2009年10月15日 (木) 23時34分
610さま今晩は
8x10だと9.5インチがフィルム幅になるので、120サイズのロールの長さ+で4枚いける勘定になります。でも現像方法が見つからない。このフィルムはペラペラなので、リールは難しそうです。
でも欲張らないで2枚撮りにすると、タンクも50cmくらいで良くなるので、現実味が出てきそうです。
その前に、ロール紙だとか、スプールのテストも必要。
順番的に、ロールフィルム、現像方法、撮影方法になるのかなぁ。
その前に、扱い易くするために小分けして保存する方法を見つけなくては。
投稿: kk | 2009年10月16日 (金) 00時03分
ロール紙には薄手の「ハーレムブラック」というのが完全遮光ですし
他にもう少しコシがあって遮光性の高いものなど1mSq位だったかで手に入ります。
スプールをどうするか、場合によっては真鍮パイプを加工してもいいのですが薄い鍔の加工が大変ですね。
現像は・・・
投稿: 610 | 2009年10月16日 (金) 15時23分
これは化け物ですね。しかも現役というのが凄いけど、デジでは代わりが出来ないのも納得です。プレオゴンてのはこういう物に使われているのか...
kkさんは随一の化け物遣いです...
投稿: lensmania | 2009年10月16日 (金) 18時54分
610さま今晩は
ありがとうございます。早速検索してみました。
この紙は使えそうです。
スプールは木製を考えております。
私は42cmのロールで精一杯だと思っているので、負荷もそんなにかからないだろうと思います。
現像は塩ビパイプを仕入れてきたので、とりあえず組んでみようかと思ってます。
lensmaniaさま今晩は
プレオゴンって凄まじいレンズですね、9x9インチの画像でほとんど歪みが無い。ご縁があれば.......。
自分でも恐ろしいです。
投稿: kk | 2009年10月16日 (金) 21時27分