Arsat C 500mm F5.6
表題のレンズはArsat 500mm F5.6。本来はKiev60用のレンズです。写真ではマウントを変更されF系ハッセルブラッドで使うようにアレンジされております。
このレンズはウクライナのアルセルナで1995年に作られ、その後、おそらくその年に絶版になっております。Kiev60用には500mmの焦点距離でF5.6のミラーレンズもあるせいか、一度もメジャーになることなく消えていったレンズです。
しかし、望遠レンズとしては良く出来ております。まず、何よりスペックの割に軽いレンズです。ペンタコンSixにはペンタゴン500mmF5.6というレンズがありますが、それに比べると重さは半分近く、1.6Kちょっとです。また、インナーフォーカスを採用しているので、全長はピントによって変りません、また自動絞りを採用しております。また低分散の特殊硝子が使われていて、色収差の軽減が図られております。このレンズが一般にはApo Arsat 500mmF5.6と呼ばれる由縁です。
このレンズのカタログを見ると、新品の値段も、395ドルから795ドルとマチマチに設定され、本当の値段さえ解りません。私のものはハッセルブラッド用に変換されてしまっているので、270ドル弱でしたが、素晴らしい工作で、マウントも三脚座もハッセルブラッドのものを加工して作り直されたものです。その部品代だけで、この値段に行きそうなので、レンズそのもののは、もともと安かったのかもしれません。
それでも売れなかったのは、レンズのボディーがKiev60だった為と思われます、あのボディーで超望遠を使うことは、あまり考えたくないことです。レンズがどんなに優秀でも、それを使いこなせるボディーが無ければ宝の持ち腐れです。あるいは、本当はコスト割れするような品物で、ラインアップの充実の為に無理に入れてしまったものの、量産する気は最初から無かったのかも知れません。
いずれにせよ、結果的に、出てきても高価なものでは無いけれど、極端に品薄なレンズになってしまいました、性能が良いだけに残念です。
作例1、Camera : Hasselblad 201F, Lens : Arsat 500mm F5.6, Film : Kodak VC400, Home made C41, F8 1/250
作例2、Camera : Hasselblad 201F , Lens : Arsat 500mm F5.6 + Mutar 2x : Film : Kodak VC400, Home made C41, F5.6 (F11) 1/250
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コメント
おっ!1000系頑張ってますね。
この500mm書いてられるように、画像拝見すると素性の良さが解ります。
平和島かな?、500mmだと高速の列車も1/250で止まってくれますね。
現像技術も素晴らしい~!
投稿: SCR | 2008年11月23日 (日) 21時29分
SCRさま今晩は
1000系も少なくなってきた感じです。
まだ長編成の快特があれば、押さえておきたいなぁ。
これは京急鶴見です。本当は横浜方面が良いのですが、逆光だったので、最初から厳しい条件を付けて印象が悪くなるのもイヤだったので、楽な方を撮りました。
露出は1段オーバーだったかも、それで足りないと思ったテレコン付きの方が丁度よかった感じです。
それにしても、望遠レンズのテストで、真っ先に鉄道が思い浮かぶのはやばいかも。
投稿: kk | 2008年11月24日 (月) 00時39分
初めて作例を見ました.すごいですね.知人がこれを使っているというだけで自慢できそうです.
投稿: lensmania | 2008年11月26日 (水) 00時42分
初めて作例を見ました.すごいですね.知人がこれを使っているというだけで自慢できそうです.
投稿: lensmania | 2008年11月26日 (水) 00時42分
lensmania さま今晩は
二枚目のムターとの組み合わせが泣かせるでしょ。
開放でテレコンつけて、1000mmでこれだけ写れば、何も言う事ありません。
ハッセルのアキュートでもピントが見やすいし。本当に良いレンズです。
思うに1995年はロシアショックの年、こんなレンズの製造ラインなんて瞬時に吹っ飛んだのでしょうね。
投稿: kk | 2008年11月26日 (水) 20時46分