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2008年5月 3日 (土)

ミネシックス III S

Img_3653_w ミネシックスというカメラは今は無き高嶺光学というメーカーが、1955年から1957までの間の数年間、作っていたカメラです。高嶺光学はこの3年間に4回モデルチェンジしております。この回数は今のデジタルカメラのモデルチェンジにも劣らないスピードですが、ブローニーの蛇腹カメラの終焉の時であり、メーカーの社運をかけて改良を続けた結果でしょう。

Img_3660_w 結局このような努力にも関わらず、カメラはライカ版の小型カメラの時代になり、中小のメーカーは淘汰されて行きます。ミネシックスは最初の機種からヘリコイド繰り出しによるレンジファインダー式の高級蛇腹カメラでしたが、そのなかでも異色なのがこのIIISモデルです。

Img_3664_w 他の機種が赤窓式の6x6,645兼用であるのに対し、III Sは自動まき止め式6x6専用です。さらにこの機種のレンズはズノー光学のレンズが使われています。
これが次のモデルのスーパーミネシックスになると、内蔵露出計との競合の関係からか、また赤窓式に戻ってしまいます。

当時、露出計内臓の威光は今では考えられないくらい良いものだったでしょうし、645のニーズは欠かせないものだったのでしょう。今から思えば、IIISからスーパーにスペックダウンしたように見えますが、当時のマーケッティング上は必然的な進化だったものと思われます。しかし、フイルムも高感度のものが安くなり、露出計も中途半端なものは要らない時代になると、IIIS型のスペックが圧倒的に高級品に見えるのです。

このカメラの美点である自動まき止めは、現在のフイルムでもきっちりコマ割されます。この点はコマ間がちゃんと取れないイコンタのスーパーシックスと比べて優れております。また距離計と連動するピント合わせもヘリコイド式なので、この点でも前玉回転式のスーパーシックスよりすぐれております。

2008429_4_w Camera : Mine six III S, Lens : Zunow Zuminor 7.5cm F3.5, Film : TMY-2 EI=400, F=5.6 1/50Sec

また、このカメラの最大の特徴であるズノー光学のレンズですが、これはズノー光学が製作したものではないとの噂があります。その根拠は当時のズノー光学にはライカ版の50mmF1.1のレンズは作れても75mmF3.5のレンズを作るノウハウが無かったとか、マニアックで高度なレンズを製作していたズノー光学が75mmF3.5等という凡庸なレンズをつくるはずが無いといったところでしょうか。

このカメラのつくりでは、このレンズでぎりぎり、1mmの余裕もありません。どんなメーカーでもこのカメラのレンズを作るとしたらこのスペックしかありえないのです。しかし、カメラは短期間にモデルチェンジをしていることから、ズノーが自由に設計したレンズに合わせてボディーを作ったということは考えられないので、設計は巷間でうわさの通り、大船光学で設計された既存のものを使ったことは十分考えられます。

ただ、あれだけ独創的なレンズやカメラを作ったメーカーが、名前だけ貸すような商売をしたとは思えません。堂々とズノー光学の名前とシリアルナンバーをレンズの全面に出しております。したがって、製造はズノー光学が行っていたのではないかと思います。もっとも、大船光学は由緒ある光学専門メーカーだったので、製造を任せて検査だけを行ってシリアルをつけたとしても、ありえる話だと思います。

2008429_1_w Camera : Mine six III S, Lens : Zunow Zuminor 7.5cm F3.5, Film : TMY-2 EI=400, F=3.5 1/50sec

いづれにしても、ズノー光学の名前で世にだされ、宣伝に使われ、製品として残ったレンズであることは確かです。

2008427_2_w Camera : Mine six III S, Lens : Zunow Zuminor 7.5cm F3.5, Film : RVPF, F=3.5 1/50sec

レンズの印象はテッサーよりヘキサーに近い感じがします。柔らかな繊細さを持っております。リバーサルカラーで撮った場合、カラーバランスは少し黄色に傾く傾向があるようです。左の作例は最短でのパララックスを見る為に撮ったショットですが、結構ずれてます。スキャナーで補正していますが、原版は何となく黄色っぽい発色をしております。

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コメント

赤窓が無いのかな?
だとすれば、スゴイ。

投稿: 會津 | 2008年5月 3日 (土) 20時06分

會津さま、今晩は。

ちょうどパール3を6x6にしたような感じです。巻き上げの感じが軽快で信頼できるのが良いです。

投稿: kk | 2008年5月 3日 (土) 21時06分

素晴らしいカメラをお持ちですね。なるほどパール3を
66にした感じですか、ズノーのレンズが優秀か
貴殿の撮影技術か、たぶん両方素晴らしいから1枚目の
様な画像が取れるんですね。
文化財っていう感じですね。

投稿: SCR | 2008年5月 3日 (土) 23時59分

SCR さま、今晩は。
私はSCRさまのような定番試写スポットが欲しいのですが、なかなかなくて....。

その中で、この商店街は生活の場なので、夕飯のおかずを買いながらよく撮影します。

このカメラはなまじっかズノーなんて銘の入ったレンズをつけているからあまり見かけませんが、使いやすいカメラです。マミヤ6よりすこし小さいところが良いです。あと、フイルムの圧版の面でもマミヤ6より良いかもしれません。

投稿: kk | 2008年5月 4日 (日) 00時25分

蕨狩りに行ったり、妙な修理や製作でバタバタしていて見落としておりました。
このメーカーのカメラ、写友の父親の遺品で修理させられております。
本当によく写るカメラで写友は展覧会用の作品を作っております。
先日ズノー付のがヤフーオークションで出ていましたがどんどん上がるのでしっぽを巻きました。
レンズ設計とか製造は例えばニコンなどフラグシップ機以外のレンズは外注で、1枚磨くのに10円単位の下請け価格なので下請けが泣きつくと「そんな苦情を言う時間を持っているなら自分の工場にに帰って磨いてこい」といわれるのだそうでした。
そのころ埼玉県のある光学メーカーと連携して光学認識装置を作っていましたのでその工場に行って聞いた話です。

投稿: 610 | 2008年5月 8日 (木) 06時41分

610さま、今晩は。
==>先日ズノー付のがヤフーオークションで...。
えへへへ....。

25Kでしたが、適正価格だと思います。
私の価値観ではパール IIIやミネシックスはスーパーイコンタの仲間より上です。だから良かったと喜んでおります。

ニコンの話からするとズノーもそうだったのでしょうね。
ドイツの有名光学メーカーも含めて、多かれ少なかれ皆そのようなものなのでしょう。


投稿: kk | 2008年5月 8日 (木) 20時14分

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