百の谷鉄道
チェントヴァッリは百の谷という意味ですから、チェントヴァッリ鉄道は百の谷鉄道と言えるでしょう。個人的には、これが百でなく千で「千の谷鉄道」ならば、日本でもっと人気が出たのに、惜しいなぁ、と思います。日本的な感覚では、100は「無数」的な感覚は薄いものの、1000だと「無数」の感覚になり、谷がいっぱいあるんだよ、と言った、こちらでの意味により近い感覚になります。
この鉄道はスイスのロカルノ(locarno)とイタリアのドモドッソラ(Domodossola)を結ぶ鉄道ですが、正式にはスイス側がFartイタリア側がSSIFという私鉄です。そのスイス側の起点のロカルノですが、この街はスイスの街というより、イタリアの街に近い感じがします。写真は駅前からロカルノ湖を写したものですが、対岸にある山がなければ、そのままリベエラ海岸の街です。暖かく、太陽がまぶしい。
国鉄のロカルノ駅はこんな感じ、プッシュ プルの折り返しではなく、前の列車の機関車が待機線で待ち次の列車の先頭に立って牽いて行きます。
チェントヴァッリ鉄道のロカルノ駅は国鉄駅の地下にあります。電車は2両連接の江ノ電のような感じです。江ノ電との違いは1等、2等がありボックスシートなこと、トイレがあること等です。路面電車風ではありますが、50Kmちょっとを2時間弱で結ぶ中距離電車です。
私が乗ったのはスイス側のFartの車両ですが、ドアの窓ガラスが下の方まで大きく開いているのが特徴的です。
電車はロカルノを出ると路面電車風に街中をはしりますが、やがてロカルノ湖に注ぐ川沿いに沢を上って行きます。ロカルノを出る列車は左側が谷、右側が山側で進むので座席は左側が良いようです。
ある程度勾配を登ると川はだんだん深い谷底を流れるようになります。デッキのドアの窓ガラスがこの辺りで本領を発揮して、谷底がそこから良く見えます。
ドアにはドイツ語とイタリア語で「寄りかかるな」と書いておりますが、そんな気には到底なれません。
やがて列車は高原状の地形に出て、いくつかの村の中を通り抜けます。
今度は、右側を谷に左側を山にしてドモドッソルに向かって降りて行きます。ドモドッソル側はロカルノ側より展望が開けていて、右手の遠くにはアルプスが見える感じです。
やがて谷筋から尾根筋にでて、尾根を九十九折に降りて行きます。尾根を下るにつれて、車窓にはのどかな田園風景が現れてきます。この写真は左側の窓から撮ったものです、左の窓から右の車窓が撮れてしまうのです。
そのうち平地を走る線路が左に見えてくると、列車は左に大きくヘヤピンカーブして山を下り、ドモドッソラに入って行きます。この先の駅に対向電車が入ってきました。SSIFの電車のようです。
良く見ると電車の後に2軸の客車を連結しているような。乗りたいなぁ。
ドモドッソラの街は古い、田舎の小都市に感じられます。観光都市のロカルノから着くとより素朴に見えます。しかし鉄道駅のホームに出ると、交通の要所であることが一目両全です。スイスやドイツの交流機関車とイタリアの直流機関車がワンサカおります。ここはイタリアですが、シンプロントンネルの向こうのブリーグ(Brig)からこの駅までスイス国鉄が運行を担当していて、この駅で運行が分かれるのです。
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コメント
こんにちは、ステキな名前の路線ですね。
空気感が素晴らしい画像の数々、相当な枚数を撮られた
のでしょうね。
アテンド無しでこうやって列車を乗り継いで旅をするには
周到な計画があってのことだと思いますが、またノウハウを
ご教示下さいませ!笑
投稿: SCR | 2008年3月24日 (月) 13時07分
SCRさま、今晩は
SCRさまからも鉄の匂いがするので...だから何となくお解かりになると思うのですが。
私、世界中どこでも、言葉は解らなくても、生きている線路の側にいる限り、何とかなる、と思ってしまうヒトなのです。
この辺りの旅行の計画で考えた事は、アルプスをジグザグに行ったり来たりしてみたい。それだけです。後は線路の側にいれば何とかなる..と。
投稿: kk | 2008年3月24日 (月) 21時31分
おなじ列車の旅でも、お撮りになった列車も、駅も、景観も、センスが違いますね。
オイラのような汚いなりの旅行者は乗ることができません。
投稿: 會津 | 2008年3月24日 (月) 23時02分
會津さま、今晩は。
かなり観光を意識した鉄道ですね。私は鉄道が好きなので、なるべく長く残ってもらう為に、彼らの術中にホイホイはまって、お金を落としてゆくのです。
投稿: kk | 2008年3月25日 (火) 00時25分