Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX f2.8, 1/10, PC-TEA 500mlの水に5ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.1ml、18C 20分 攪拌5回
PC-TEAは現像主薬のフェニドンと現像補助薬のビタミンC、それに溶媒兼現像促進薬のTEAだけというシンプルな現像液なのですが、TEAの扱いにくさと処方のしきたりの難しさがあり、結構敷居の高い現像液です。今回、縁があってこの現像液を処方して実際にお使いになっているSCRさんから、分けて頂いたので、これを使っていろいろ試しております。
この現像液の特徴はなんと言っても、抜群の保存性だと思いますが、現像の性格も興味深いものがあります。ビタミンCが主薬のフェニドンにすごい活力を与えているように思えるのです。ビタミンパワーを感じさせるに十分な働きです。
また、亜硫酸ナトリウムが入ってないので、本来のフイルムの粒状性ががストレートに出てくるようです。亜硫酸ナトリウムは通常どんな現像液にも形を変えて入っていて、現像液の酸化防止の役割をするのですが、銀粒子を溶解させる働きもあり、結果として銀粒子を小さくし、微粒子現像の効果があるのです。
Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX f2.8, 1/10, HC-110 500mlの水に5ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.1ml、18C 20分 攪拌5回
同じ希釈比率で同じ現像時間をかけたHC-110と比較してみると、HC-110のほうがずいぶん柔らかな感じがします。この違いはPQ現像主薬とPC現像主薬の差、また薄いながらも亜硫酸ナトリウムの働きの差だと思います。
ビタミンCは素早くフェニドンを回復させているのに対し、ハイドロキノンはフェニドンを回復させる速度が遅く、結果として、疲弊した明部の近くのフェニドンの現像能力が落ち、その間に暗部の現像が進んでいるのかも知れません。あるいはこれは、HC-110のフェニドンが実際はDimezone という派生製品である事もその効果を引き出していることも考えられます。また、HC-110は水分は少なく、亜硫酸ナトリウムはそのままの形では入っていないもののジエタノールアミン・二酸化硫黄錯体という形で入っております。その濃度は100倍希釈で薄められているものの、全く無いPC-TEAに比べて、銀粒子の溶解効果が出ているのかも知れません。
Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX f2.8, 1/10, PyrocatHD A:3ml B: 3ml 500ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.5ml、18C 30分 攪拌4回
参考までにPyrocatHDでの現像結果を加えて見ます。しかしPyrocatHDは全く別の発想の現像液で、ネガがまず茶色に染色されてしまいます。明部に染色を加えてコントラストを上げ見た目の粒状性を向上させております。特に半静止現像をすると、現像液の部分的な疲弊が顕著で不自然なくらい境界が強調されます。
実は、今回はPC-TEAで通常の50倍希釈も同じようにテストして見ました。結果は100倍希釈より暗部が綺麗に落ちて行きます。ビタミンCの活力理論で行けば予想通りなのです。しかし、この件に関してはフイルムを変えてもっと色々テストをしてみたいと思っております。今回は以前のTriXに比べて濃度が薄くなったTXをベースに行っているので、TMYやアクロスでもやってみない事には、まだ、なんとも言えません。
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