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2007年12月30日 (日)

良いお年を

20071228_1_w Camera : Hasselblad 500 C/M, Lens : Planar 100mm f3.5 CT, Film : TX, HC110 EI=400

今年の暮れはほんの少し余裕があったので、中野まで足を伸ばして見ました。なぜ中野?と言われると困るのですが、古いカメラが好きなおじさんにとってはある程度なじみのある土地です。

中野は銀座、新宿とならんで中古カメラ屋さんが多い土地なのです。とくにフジヤカメラは充実しておりました。ただ、さすがに面白いと思うものは、見つけて行くことは難しいと思います。ネットオークションが発達したせいか、面白い出物(ジャンクカメラ)は中古カメラ屋から姿を消しつつあります。

別に良いジャンクカメラの出物がなくても、中野は好きな街です。特に中野サンプラザは田舎から出てきた私にとって有名な建物のベンチマークみたいなものでした。他に立派な建物もあったのですが、国分寺の寮と会社を往復するだけの生活では、中央線から見える中野サンプラザは眩しいくらい輝いて見えたものでした。暮れに訪れたせいか、この建物はしみじみと懐かしく感じられます。

中野サンプラザの前のちょっと変った門松。綺麗なお嬢さん達が一生懸命飾り付けておりました。

来年もよろしくお願いいたします。良いお年を。

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モッキリの思い出

1976toyoshima_w Camera : Pentax SL, Lens : Super Takmar 55mm F1.8, Film : kodacrome 25

前回モッキリをちょっと話題にしましたが、どうもこの言葉は地域性があるようです。私は秋田県の生まれですが、そこでは使われておりました。もっとも実際の発音はもっとこもっていて切れが悪かったと思います。

表題の写真は私の実家の向かいにあった酒店さん。この家は今でも酒店を営んでいるのですが、店を新築しもう少し人通りのある反対側の通りに店を向けました。写真を撮ったのは今から30年以上前の事です。セミを小さな子供たちの為にとってあげようとしているしている酒店の娘さんも今は三児の母、自分の娘が写真の彼女くらいでしょうか。

この角度は私の実家の居間からで、フイルムのコマ数が2であるところをみると、カメラにコダクロームをつめて散歩に出ようとした時でしょう。当時、私は、身の回りの些細な光景をコダクロームで撮影し記録しておこうと考えていた、妙に老け込んだ高校生でした。

それはともかく、この酒店には毎日のようにモッキリに来る人々がおりました。人通りの少ない小路に店を構えておりましたが、この辺りには他に酒を置いている店は無く、ましてや飲食店など無かったのでみんなこの店にモッキリに来たのでした。

モッキリというのはおそらく「盛り切り一杯」のことで、コップに一合の日本酒を酒店で量り売りをしてもらい、それを飲んで帰ることであったと思います。そのため酒店にはベンチやテーブルが置かれ、裂きイカや冷奴、カンズメなどがおいてありました。冬はストーブにかけてある洗面器で御燗も出来ました。

今では考えられないことですが、当時は普通に猟師が鉄砲を自転車に括り付けて、この店に止めてお酒を飲んでいました。私も猟銃の側で普通に遊んでおりました。当時の猟師が使っていた銃は武器と言うより工芸品に近く、子供心に良いなぁー、欲しいなぁー、一回くらい撃たせてくれないかなぁーなんて思っておりました。実際、親戚に猟師がいる子供は引き金を引かせてもらったことがあったりして羨ましく思ったものでした。

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2007年12月29日 (土)

横浜の山手、酒屋でモッキリ

Img_1223_w Camera : Canon EOS 5d, lens : EF24-105 F4L (上下をトリミングしております)

表題の写真は横浜の元町から山手トンネルを抜けて、山手駅に向かう辺りの風景です。酒屋にはモッキリ用のカウンターが見えます。

関内、石川町、山手駅と続くあたりは、横浜の中でも最も横浜らしい街であります。洒落た洋館やレストラン、商店が並びます。しかし、一方で、昔からの生活感が色濃く残っている町並みでもあります。

例えば、山手駅から麦田町を経て山手トンネルをくぐり元町に抜けるコースを歩いて見ます。夕方だと、店先で魚を焼く煙、コロッケを上げる臭いが立ちこめ、買い物かごを持ったおばさんが立ち話をする姿があちこちで見られ、その脇を小型の専用路線バスがすり抜けて行くでしょう。幾つかある銭湯にはおじいさん、おばあさんが入ってゆきます。

お洒落なブティック風の店もあれば、こんな服、今時着る人なんているの?なんて感じの服を暗い店内にかけっぱなしの店もあります。そして、酒屋にはモッキリのカウンターがあり、スイカの入ったビンが置かれていたりします。

横浜は港町である為か、酒屋のモッキリ率が高いような気がします。それでも、酒屋自体がだんだん少なくなってきているので、モッキリも少なくなって来ました。私が最初に横浜にやってきた頃は、自宅の近くに何件か酒屋があり、イギリスのパブのように裂きイカを片手にビールやワンカップを、勤め帰りのおじさん達がモッキリしておりました。

お酒がもう少し飲めれば、横浜に残る酒屋のモッキリを写真に撮って行きたいと思っています。しかし、お酒が弱いので、計画はなかなか進みません。

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2007年12月25日 (火)

ユキンコアキラさんのパフォーマンス

R0010803_w Camera : Ricoh GX100, Lens : Ricoh Zoom 5.1-25.3mm F2.5-4.4

汐留で働くようになってから随分月日がたちました。汐留シオサイトのイベントも何度も見ている勘定になります。その割に印象に残っているものは少ないような。

そのなかで、季節のイベントに必ずと言ってよいほど現れて、そのたびに人だかりを作るのがユキンコアキラさん。ポップなリズムで踊りながら似顔絵を描くパフォーマンスです。今までスナップ写真を撮ったことは有りませんでしたが、今回は思うところがあって、撮ってみました。あれだけ激しく踊っていながら、絵筆を紙にあてがっている時は、見事に右足でバランスを取って筆を固定しております。

彼の描く似顔絵は独特の雰囲気がありますね。モデルを選ぶ時に彼の世界になじむ人を選ぶのか、また、誰でも彼の世界に置き換えてしまうのか解りませんが、似顔絵は各自のモデルに似ていながら、どの似顔絵も似顔絵同士、似ています。

写真はどうなのでしょう。ポートレイトは各自のモデルに似すぎるきらいがありますが、それでも同じ人が撮ったポートレイトを並べると、共通の世界観が見てとれるかもしれません。ただ、ポートレイトの場合、得てして撮影者の影を消してモデルを浮かばせようとするので、似顔絵ほどはっきり作者の世界観は出てこないでしょうけど。

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2007年12月23日 (日)

汐汲坂の銀杏

Nikkor40_1_w Camera : Zenza Bronica EC, Lens : Nikkor 40mm F4, Film : E100VS

私がフェリスの坂と呼んでいる横浜の坂道は汐汲坂と言うのだそうです。横浜の中でもっとも横浜らしい一角ですが、私が好きな季節は晩秋から初冬。銀杏の葉が色づく頃です。このあたりには銀杏の大木が多いのですが、私は、この坂道の銀杏が大好きなのです。

そうは言っても、この坂は結構急な坂道で、人の往来も多く、道路に落ちた銀杏の葉で車がスリップして事故につながる危険性もあり、単純に銀杏の落葉を愛でる訳にはいかないでしょうけど。

銀杏の落葉が原因で事故が起きないよう願い、銀杏と坂道の共存を願う次第です。

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2007年12月22日 (土)

空いた穴は埋まらない.....か

Img_0759_w 先日、中古カメラ屋さんでジャンクのジナーボードが破格値で売られていたのでちょっと大人買いをしてしまいました。

私のような、工作下手がリンホフボード受けを自作するのは大変で、予めリンホフボードの受け穴が、しかも段差をつけて彫られているプレートはとてもありがたいのです。

これまで、リンホフボードを受けるプレートを作る時は、アルミ版に糸鋸で円をくりぬいて、鑢でしこしこと調整しておりました。これがなかなか手間のかかる作業なのです。それでも工場で正確な機械で開けられた穴には叶いません。

これらのボードはスイス製のジナー純正ボードを加工したものですから、素材の質も東急ハンズで買うアルミの平版より高級感があります。私にとって良い買い物でした。

ところで、このボードが安い理由は、間違って穴を開けてしまったからでしょう。このボードはジナーとリンホフの変換ボードになる予定だったハズ。ところが何処か規格外に穴を開けてしまったので、いきなりジャンクになったものと思われます。

試みに、隣に自分が持っていたホースマンとリンホフの変換ボードを置いてみると、メインの穴の位置は全く同じです。実際にリンホフボードをあてがって見ると、上の留め金の位置関係も適切と思われます。あるとしたら下の留め金を付ける小さなネジの穴が、少し上下左右にぶれたとしか思えません。小さなミスでも、工業製品としては失格なのでしょう。一度開けた穴は埋まりませんから。

しかし、私は素人なので、空いている穴を好き勝手に埋めてしまう予定です。こんだけでかい穴が開いていると、ダメなのはコンパウンドの5番シャッターくらいでユニバーサルの5番だって楽勝で収まります。空いている穴は.....難しい事を言わなければ...埋め放題なのです。

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2007年12月19日 (水)

ちびっ子ゲレンデ

Img_1842_w Camera : canon EOS 5D, Lens : EF24-105 F4L

この墓場で子供の頃よくスキーをして遊びました。塔婆をポールに見立ててスラロームをしたりとか。今では考えられないことですね。実際、実家に帰ってもここでスキーをしている子供たちは見たことがありません。

古い友人と昔話をする時、何故、ここがちびっ子ゲレンデとして廃れてしまったのか話題になります。

「昔は今より雪が多かったよな」「今では下手したら積もんないからなー」

「墓も昔は小さかった」「雪の下に隠れていたよなー」「あと、墓だか何だか解んないものも結構あって、今より墓も少なかった」

「それに墓石も弱かったよなー」「そうそう、昔は墓石にぶつかっても墓石の方が倒れた、今の墓石だとこっちが怪我をしそうだ」

「子供も外で遊ばなくなったしな」「昔はとにかく外に居た、長靴の中もびっしょりで、足が白くなっていた」「そして家に帰ってあがると、赤くなって痛痒くなるんだよなー」「長靴にアノラックそして毛糸の手袋が基本だったな」「そういえば、毛糸の手袋で雪球を作ると毛糸が挟まって上手く出来なかった」「冷たいけど素手が一番、雪球を投げる時のコントロールも良かった」

「そういえば、最近雪合戦もあまり見たことがないな」「せっかくの墓場なのに?」「そもそも最近の子供は墓場で遊ばなくなったんだな」「せっかくの墓場なのに」

PS:この記事は、この当時の心象風景の写真が先にあり、その写真を使う為に書いたもので、この時のこの場所の景色ではありませんでした。

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2007年12月16日 (日)

Super Speed Graphic に Planar 135mm

Img_0757_w この週末、本来であれば、庭木を剪定したり、家の内外を片付けたりと、しなくてはならない事が沢山ありました。天気も良かった。でもそんな時は、得てして何もしたく無いものなのですね。

せめて、遊びくらい、前からしたかった事を一つくらいしようと思い、整備していたSuper Speed Graphicのテストをしてみました。

同時に、中古で買ったフイルムホルダーのテストと、アメリカのFRという古いベークライトの現像タンクも使えるかどうかテストしてみたかったし、Pyrocatでアクロスのシートフイルムを静止現像したらどうなるかテストして見たいと思っていたので、そのテストも兼ねます。あと、4x5を手持ちのスナップ用に使った場合の使い勝手もね。

ところで、Super Speed Graphicと言うカメラはGraflexが作っていたスピードグラフィックいわゆるスピグラの最終モデルで、それまでのスピグラと違いレンズシャッターで1/1000を可能にしたモデルです。

このモデルはそれまでの木製のボディから一転、金属製のボディに変更。「あおり」の機能を充実させ、バックはレボルビングできるように進化しております。この手のカメラとしてはテクノロジー満載のカメラです。

私が手に入れた固体はいわゆるジャンクで、各種のパーツが無い状況でした。それでも私はこのカメラにある期待を込めておりました。それはPlanar135mmを使って手持ちで撮影する4x5カメラとして使う事でした。

このカメラはもともと、Rodenstockが作ったOptar135mmを標準レンズにする前提で作られており、レンジファインダーの距離計変換カムもスポーツファインダーも135mmにあわせて作られております。これを整備すれば、大判レンズのくせに開放で撮っても面白いPlanar135mmのプラットホームに出来ると思ったわけであります。

20071215_1_w 結果はどうかというと、普通に使えます。スポーツファインダーで何となく構図を決めてレンジファインダーでピントを合わせて撮影できます。ただレンズが大きすぎて収納出来ません、携帯に不便です。またグラフマチックを使えば別ですが、通常のフイルムホルダーだとホルダーの交換が煩わしいです。4x5のスナップはいらいらするだけで不向きなような気がします。もちろん画質はアホみたいに凄い解像度なので、現場の証拠写真としては良いでしょうが。

また、このカットでは下のほうに現像ムラの点が出ております。何が原因か見当もつきません。

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2007年12月15日 (土)

紅葉は冬の風物詩になる?

Img_1022_w Camera : Canon 20D, lens : EFS 10-22

近年、横浜の紅葉がだんだん遅くなってきたように思います。私は北国生まれなので、秋になれば広葉樹は一気に紅葉し、山は錦に色づいて燃え上がり、瞬く間に燃え尽きて枯山になるのが常識でした。だから横浜の紅葉はダラダラとだらしなく思ったものです、が、それでも近年よりはマシでした。

最近は広葉樹に向かって「お前らやる気あんのかよー」と言いたい。「何をボヤボヤしてんだ、あーん」とか言ってやりたい。それくらいやる気が無いくせに、気が付いたら落葉していたりして、「ふーーーん、そうくるのか」とか思ったりします。

しかし、これは温暖化が進んでいるせいであって、広葉樹に罪は無いのです。そのうち、紅葉は冬の風物詩になるかも知れません。

「寒いね」「寒くなったね」「ああ、寒いはずだ、紅葉が始まっている」「もうすっかり冬だね」なんて会話が当たり前になるかも知れません。

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2007年12月12日 (水)

犬を見ながら考えた事

20071122_1_w Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens : Planar 80mm F2.8, Film : TX, EI=400, HC-110

飼い主がカフェでお茶を飲む間、彼(彼女?)は少しの間、自由に動き回ることが許されたみたいです。気ままに走り回り、転げまわっておりました。

これが土佐犬ならば洒落にならないのでしょうが、この犬の場合、道を歩く人々から、こっちにおいでと方々から誘いを受け、あっちにふらふらこっちにふらふらしておりました。そのうち飼い主が呼び戻そうとするものの、気にするそぶりもありません。その様子が妙に似つかわしくて、気ままに振舞う事が似合うことは、犬にとっても、人間にとっても得な事であるなぁ、なんて、とりとめもない事を考え始めました。

考えてみると、犬は、同じ犬というのは間違いと思えるほどいろいろな種類があり、また雑種もいるので、容姿、性格は千差万別と言う事になるでしょう。だから、こんな容姿の犬はこんな性格なんて、当てはめること自体無駄な事と思われます。

ただ何となく、こんな容姿の犬はこんな性格。みたいな分析は真実味があるかも知れません。キャンキャン吼えるセントバーナード犬など想像すら出来ませんしね。少なくとも、漢字の名前だけで人の性格を分析するプログラムよりは真実味があるでしょう。

この犬はおそらく、フレンチブルドックという種類。だとすると性格は「性格は物静かで繊細、しかし、活発で好奇心も旺盛、顔に似合わず賢い」ということになります。そう知るとだんだん、この犬の性格がそんな風に思えてくるから不思議です。

Photo 真実味の無いハズの脳内メーカーの結果でさえ、そう言われると、自分の脳内はこうなっているのだと、だんだん本当の事のように思えてくるのですから。

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2007年12月 9日 (日)

マートルのクリスマスリース

Img_0741_w Camera : Canon EOS 5D, Lens : EF24-105 F4L

今年もマートル(銀梅花)の実がだんだん熟して来ました。マートルは夏に白い花を咲かせますが、この花は清楚で良い感じの香りでヒトを喜ばせる以上にミツバチが喜び、雨上がりで虫が空腹の時など、花の変わりにミツバチが咲いているような状況になります。

当然のように秋になると実がつき、紫色に熟してくるのですが、この実は冬になると、ヒヨドリがついばみにやってきます。マートルの実は甘味があるのですが、同時に少し薬くさい感じがあり、鳥達も食べ物が少なくなった頃「しゃーねーなー」みたいな感じでこの実に手を出すのです。

そして...、お腹いっぱい食べると、隣の家に電気を引き込む電線に留まって、その下にある白い車めがけて、紫色のウンコをするのです。

最初は私も、どうして隣の車に紫色のシミがついているのか原因は解らなかったのですが、ある時そのシミが付く瞬間を目撃してしまいました。すまないという気持ちと、出来れば隣人には原因を悟られたく無いという気持ちが交錯して、鳥を遠くに追っ払ったのですが、こんな時って、私以上に、隣人は因果関係に気が付いているのでしょうね。

隣家に迷惑をかけている以上、ほうっておく訳には行かないので、翌年から初冬のうちに実を取るか、実ごと枝を剪定することにしました。

マートルはどちらかというと、葉に良い香りの香気成分があり、剪定している間中良い香りが漂ってきます。何となく全部捨てるのはもったいなくなり、クリスマスリースを作ることにしました。土台は同じく剪定したジャスミンのつるを使います。

ジャスミンのつるで輪を作り、その間に剪定したマートルの枝を差し込んで行きます。所々をビニール針金で止めて、終わりです。ちょっと不恰好ですが、良い感じの香りがするリースの出来上がりです。

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2007年12月 8日 (土)

餘部鉄橋を見た後で

Ine_w Camera : Hasselblad SWC, Lens : Biogon 38mm F4.5, Film : EPP

先日の餘部鉄橋の続きを見ていたら、ちょっと変わった海辺の家が写っておりました。思うにこれは伊根の舟屋の一部です。どうして餘部鉄橋から伊根なのでしょう。記憶をたどって見ました。
あの朝、出雲を逃したことで、若干へこみながら朝ごはんを頂きました。どんな料理だったか忘れましたが素朴で美味しかった記憶があります。そのあと、とりあえず餘部の駅に行き、来た列車に乗り豊岡まで行ったはずです。おそらく北近畿タンゴ鉄道を見ようと思っていたと思われます。そこで列車を見ながらレンタカーを借り、海沿いに走ったのだと思います。表題の写真は伊根に着いた時の状況、今にも降りだしそうです。というかこの後は雨でした。

実は、デジタルカメラのファイルを見れば、行動は分単位で解ります。また、そのうちデジカメにGPS機能がつけば、何時に何処で撮った写真かまで解るようになり、行動経路まで記録出来るでしょう。しかし、スリーブのネガやポジを見て、過ぎた日の行動を回想するほうが楽しいです。

記憶が蘇って来ました。あの日は、豊岡でレンタカーを借り、伊根、天橋立、久美浜を回ってレンタカーを返し豊岡で泊まろうと考えました。しかし、駅に戻ってみるとと大阪行きの「はまかぜ」に間に合うことが解り、とにかく「はまかぜ」に乗ることにしました。外見の塗装は変わっていても中身は一緒、子供の頃よく乗った181系の「つばさ」そのものです。もちろん「つばさ」といっても現在の山形新幹線ではなく、東京・上野から秋田を結んで走っていた特急列車です。私が子供の頃、この特急列車はまだディーゼル特急で、東北本線を485系の「やまびこ」や「ひばり」583系の「はつかり」等の電車特急と、結構いい勝負で疾走しておりました。
車内を見回しただけでも懐かしいのに、播但線から東海道本線に入り、エンジンを唸らせながら回復運転の高速走行に入ると、それは板谷峠を越えて東北本線を疾走する往年の「つばさ」にそっくりで、思わず涙が零れて来そうです。「はまかぜ」の車内でターボ音が混じるエンジンの爆音を聞きながら感涙にひたる中年親父の光景など、あってはならない光景ですから、大阪駅まで我慢です。

大阪に着いてしまえば、宿は探せばはいくらでもあります。改めてデジカメのファイルを見てみると、おおむねアタリでした。

Img_0796_w 餘部の駅に登っております。時刻は7時27分。平日じゃないの?という突っ込みは止めましょう。
Img_0829_w 豊岡の駅をうろうろしてます。時計は8時50分
Img_0898_w 伊根の舟屋を俯瞰しております。時刻は12時50分
Img_0984_w 久美浜で夕暮れの海を眺めていたようです。時刻は16時42分
Img_1001_w この「はまかぜ」に乗って大阪に着きました。時刻は20時14分。この時間なら宿探しも楽勝。

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2007年12月 6日 (木)

PC-TEAにふらふら

2007123_2_w Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX  f2.8, 1/10, PC-TEA 500mlの水に5ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.1ml、18C 20分 攪拌5回

PC-TEAは現像主薬のフェニドンと現像補助薬のビタミンC、それに溶媒兼現像促進薬のTEAだけというシンプルな現像液なのですが、TEAの扱いにくさと処方のしきたりの難しさがあり、結構敷居の高い現像液です。今回、縁があってこの現像液を処方して実際にお使いになっているSCRさんから、分けて頂いたので、これを使っていろいろ試しております。

この現像液の特徴はなんと言っても、抜群の保存性だと思いますが、現像の性格も興味深いものがあります。ビタミンCが主薬のフェニドンにすごい活力を与えているように思えるのです。ビタミンパワーを感じさせるに十分な働きです。

また、亜硫酸ナトリウムが入ってないので、本来のフイルムの粒状性ががストレートに出てくるようです。亜硫酸ナトリウムは通常どんな現像液にも形を変えて入っていて、現像液の酸化防止の役割をするのですが、銀粒子を溶解させる働きもあり、結果として銀粒子を小さくし、微粒子現像の効果があるのです。

2007124_1_w Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX  f2.8, 1/10, HC-110  500mlの水に5ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.1ml、18C 20分 攪拌5回

同じ希釈比率で同じ現像時間をかけたHC-110と比較してみると、HC-110のほうがずいぶん柔らかな感じがします。この違いはPQ現像主薬とPC現像主薬の差、また薄いながらも亜硫酸ナトリウムの働きの差だと思います。

ビタミンCは素早くフェニドンを回復させているのに対し、ハイドロキノンはフェニドンを回復させる速度が遅く、結果として、疲弊した明部の近くのフェニドンの現像能力が落ち、その間に暗部の現像が進んでいるのかも知れません。あるいはこれは、HC-110のフェニドンが実際はDimezone という派生製品である事もその効果を引き出していることも考えられます。また、HC-110は水分は少なく、亜硫酸ナトリウムはそのままの形では入っていないもののジエタノールアミン・二酸化硫黄錯体という形で入っております。その濃度は100倍希釈で薄められているものの、全く無いPC-TEAに比べて、銀粒子の溶解効果が出ているのかも知れません。

20071128_4_w Camera : Rolleiflex 2.8C, Lens: Planar 80mm f2.8, Film : TX  f2.8, 1/10, PyrocatHD A:3ml B: 3ml  500ml + 0.1% ヨウ化カリウム 0.5ml、18C 30分 攪拌4回

参考までにPyrocatHDでの現像結果を加えて見ます。しかしPyrocatHDは全く別の発想の現像液で、ネガがまず茶色に染色されてしまいます。明部に染色を加えてコントラストを上げ見た目の粒状性を向上させております。特に半静止現像をすると、現像液の部分的な疲弊が顕著で不自然なくらい境界が強調されます。

20071130_1_w 実は、今回はPC-TEAで通常の50倍希釈も同じようにテストして見ました。結果は100倍希釈より暗部が綺麗に落ちて行きます。ビタミンCの活力理論で行けば予想通りなのです。しかし、この件に関してはフイルムを変えてもっと色々テストをしてみたいと思っております。今回は以前のTriXに比べて濃度が薄くなったTXをベースに行っているので、TMYやアクロスでもやってみない事には、まだ、なんとも言えません。

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2007年12月 5日 (水)

餘部鉄橋へ蟹を食べに行った日

Amarube_2_w Camera : Hasselblad SWC, Lens : Biogon C non T, Film : E100VS

数年前、おそらく2004年の12月。さすがに寝台特急「出雲」も181系の「はまかぜ」も、餘部鉄橋そのものも、もう危ない。健在なうちに見に行かなくては、蟹を食べに行かなくては。と思い立ち餘部鉄橋まで旅をしたことがありました。

近所の宿を予約しようとしたのですが、蟹のシーズンで、かつ、怪しい中年オヤジの一人旅なので、警戒され、なかなか上手く取れなく、結局鉄橋の真下の民宿がOKしてくれました。

確かに、最後の思い出に蟹をたらふく食って首をくくられたら、旅館も大変でしょうから、中年オヤジの一人旅は警戒されて大変なのです。団体のオヤジなら逆に温泉街では歓迎されるでしょうけど。

この餘部鉄橋もいよいよ最後の時が近づいてきました。架け替え工事が始まっております。私が訪れた時は、まず181系の「はまかぜ」から消えてゆくかも知れないと思っていましたが、これは最後まで残りそうです。

最初に消えたのは「出雲」でした。民宿の窓から二日酔いの頭で、真上の餘部鉄橋を通過する出雲をボーゼンと眺めて見送った光景を今でも思い出します。蟹の食いすぎ、日本酒の飲みすぎ、一人旅で屋根のあるところに泊まると、どうしても油断してしまうのですね。

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2007年12月 2日 (日)

遅ればせながら桂の葉について

Img_0633_w Camera : Canon EOS 5D, Lens : EF100-400mm F4.5-5.6 L

ほんらい、桂は真っ先に葉が黄色に黄葉し、はらはらと落葉して行く広葉樹です。ところが私の家のちかくにある桂は黄葉が遅く、この木を基準に各地の桂を見に行こうとすると、いつも手遅れなのです。

桂は日本由来の木で学名も、カツラ(Cercidiphyllum japonicum Sieb. et Zucc)。黄葉や落葉時に、マルトールとい物質を出すためカラメルのような甘い香りを発散します。日本中に分布すると言っても北国に多く南に行くにしたがって少なくなって行きます、また水分が好きなようで谷や沼地に多く分布します。

生命力が強く寿命も長いためか巨木も多く、故事や神事にもいろいろ出てくるでしょうが、私的には、この木に一番ふさわしい「まつわり話」は「愛染桂」だと思います。ハート型の葉は新緑も黄色く色づいた黄葉も綺麗です。おまけに秋口からカラメルのようなメープルシロップを使ったお菓子のようなそんな感じの甘い香りを一面に発散させます。この香りは成分を抽出して食品添加物として香料に使われるくらいお菓子に相性の良いものです。

葉の形、色彩、甘い香り等、縁結びの木に相応しい小道具だし、巨木に育つ生命力の強さや寿命の長さ等、結ばれた恋愛にとって嬉しいシンボルです。

面白いことに、桂の木がどうしてそこに発生したのか、また葉がどうして枯れる頃香りを発する必要があるのか、そのあたりはまだ不明です。このあたりの謎も色恋の縁と同じで、何故そこに、どうしてそうなるのか、合理的に説明できないところと同じものがありますね。

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2007年12月 1日 (土)

Rolleiflex 2.8C Planar 80mm F2.8

Img_0737_w Rolleiflexは二眼レフの名機なので、カメラについての情報はあちこちにあります。専門的なサイトもあるので、今更私のような者が言うことなど無いのですが、今回、初めてこの有名二眼レフを手にすることが出来ました。私が手にしたのはRolleiflex2.8C。

80mmの焦点距離のレンズが付いているシリーズで3番目のモデルです。Rolleiflexはこの2.8Cからxenotar80mm F2.8かPlanar80mm F2.8のレンズを装着するようになりました。ちなみに最初の2.8AがTessar 80mm F2.8二番目の2.8BがBiometar 80mm F2.8です。私が手にしたのは正確には2.8Cのタイプ2のモデルで2.8Cはこのタイプ2からPlanarも選択できるようになりました。

XenotarかPlanar付きを選ぶということは贅沢な悩みでどちらも優れたレンズです。風評ではXenotarの方が優れているという評が目に付きますが、私はGraflex XL用、Hasselblad用、Rolleiflex SL用とPlanarの80mmを使ってきていたので、馴染みがあり、またそれぞれのPlanar80mmの違いに興味があり、もし、Rolleiflexを手に入れるとしたら絶対Planar付き、それも2.8Cと決めておりました。

2.8Cにこだわる理由は、何より2.8Cまでが円形の絞りであることでした。しかし、私のこだわりは世界的には一般的でなく、製作年次が古く、またそこそこ台数も作られて希少性も無い2.8Cは結構安く手に入れることが出来るのも魅力です。

しかし、古いと言っても、機械的な精度に変わりは無く、スムーズに全ての操作が流れ、その精密感に圧倒されます。操作すること自体が快感です。ただ、シャッターのストロークが深いので右手でレリーズするとオーバーアクションになって手ぶれを起こしそうなので、左手でレリーズしております。

また、ストラップの皮と金具が弱そうなので布紐に変え、またフードはつけっぱなしにして、椅子の足キャップをテイクレンズのキャップにし、ビューレンズの方は43mmのプラスティックのレンズキャップの下側を削って使っております。スクリーンはガラス面が綺麗なせいかあまり見難さを感じていないので、とりあえずそのままです。しかし、いつか取り替えてしまうかも知れません。

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