SEMFLEX standard T950
SEMFLEXはフランスで作られた二眼レフのカメラで多くのバリエーションがあります。写真のカメラはタイプ2またはスタンダード T950という名前で呼ばれてのものです。T950とは1950年型を意味するものと思われますが、初期型のタイプ1が短期間でタイプ2に置き換わっているところを見ると、プロトタイプが量産型に置き換わったかのようにも見えます。レンズはトリプレットのSom Berthiot 75mmF4.5が付いております。
ところでSEMFLEXのSEMは会社の名前でSociete des Establissements Modernesの頭文字なのですが、この名前は「近代的な工場の会社」みたいな意味で、当時ドイツの二眼レフの老舗のRolleiに真っ向から対抗するべく製作された量産型大衆機という位置づけがこのカメラの本来の姿だと思います。
SEMFLEXはこの後、赤窓式からセミオートへと進化し、レンズもテッサー型のSom Berthiot Flor 75mm F3.5またはAngenieux75mm F3.5のものへと進化しました。正確に言うと最初から高級バージョンで用意されていたテッサータイプのSom Berthiot 75mm F3.5が標準になり、新たにAngenieuxが加わりF4.5のトリプレットが消えた事になります。
もともとの位置づけがフランスの大衆機だったせいか、日本ではRolleiほど見かけません、廉価版二眼レフならば国産で良いものが山ほど出ていたので、輸入するならネームバリューのある高級機のRolleiだったのかも知れませんね。
私はSemflexの中ではトリプレットのSom Berthiot 75mm F4.5付きのものしか使ったことがありませんが、なかなか良く写ります。シャープな描写をするくせに何か柔らかさがあります。また、カラーのポジフイルムを使うとフランスのレンズらしく、少し寒色の発色傾向があるので、カラーのポジを使う時はコダックのフイルムと相性が良いような気がします。(作例のフイルムはAcros)
描写もさることながら、小さく、シンプルなデザインのこのカメラはとても小粋な感じがして、使っていても楽しめる事が最大の美点ではないでしょうか。
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コメント
ずいぶんおしゃれなデザインの二眼レフですね。
女の人が使うととても似合いそうです。
仏蘭西のエスプリというものか。
投稿: 會津 | 2007年9月22日 (土) 19時15分
會津 さま
実は私、現在仏蘭西系で働いております。
些細な物でも、彼らがデザインした物は、特にグレーの使い方で、際立ったセンスの良さを感じます。
このカメラも仏蘭西らしさが出ているデザインですね。
投稿: kk | 2007年9月22日 (土) 22時59分