イングリッシュ ローズの故郷
Camera : Yashica FX200, Lens : Vario Sonnar 28-70mm F3.5-4.5, Film : RDP2
いまや全世界を席巻したかに思えるイングリッシュローズの故郷は意外と地味なところにあります。もちろん良い意味で。数年前、デビット オースチン ガーデンを訪ねた時、まるで田舎の園芸農家が、自分の田畑に巨大な庭を造って、人を集めては作った農作物を売っているみたいなものだな、と思ったものでした。
ロンドンを旅行した時、ビックベンとか観光施設を見るのは退屈だからどこか植物園に行こうと思い、植物園が乗っているリストを見つけ、通行人に聞きました。「ここに行くにはどうすれば良いの」「とりあえずユーストン(Euston)の駅に行け、全てはそれからだ」。
ユーストンの駅に行って同じことを聞きました「とりあえずウルバーハンプトン(Wolverhampton)の駅に行け、全てはそれからだ。列車は一時間後に出る。」
列車は87型という電気機関車が牽引するMK3という客車でヴァージントレインと言います。ウルバーハンプトンという街は聞いたことが無かったものの、良く名前を聞くバーミンガムの近くです。バーミンガムを出ると列車は古い工業地帯を抜け、ウルバーハンプトンに着きます。
この間の光景は、産業革命当時の面影が残る、コークスで町中が着色されたようなものです。この淀んだ光景を見て列車は町外れの駅に着きます。そこからちょっと歩くといきなり明るい中世風の静かな街になり、このギャップは不思議で、ここにはまた行かなくてはなりませんね。
ウルバーハンプトンから目指すガーデンの近くまでバスがあるらしいのですが、時間的に悠長な事言ってられないのでタクシーです。道中は見事な田園風景で、直感的にやばそうに感じたので2時間後に迎えを頼みました。
想像した感じと違い、辺鄙なところにポツンと庭がある感じで、観光地とは程遠いイメージだったのです。何故こんなところにこんな施設なんか造ったのだろうと思いましたが、謎はすぐ解けました。
ここは、基本的に農場のプライベートの庭で、自宅兼、オフィス兼、農場兼、庭なのです。全世界のバラ地図を変えたバラはここで生まれて育ったのです。
グーグルの航空写真地図を見てみると、ガーデンはアルブライトン(Albrighton)の駅から歩いて行けないことはなさそうな距離です。航空写真で見ると、駅からの道のりではそんな辺鄙な感じはしません。それより面白いのは、この近くに空軍の博物館があっていろんな戦闘機が展示されていることです。
航空写真で確認できるそれらの爆撃機が実際に投下した爆弾の数はたかが知れています、しかし近くで生まれた航空写真では確認出来ない小さなバラ苗が、全世界の庭に平和に投下され続けているのは面白い対比です。
| 固定リンク
コメント