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2007年5月 5日 (土)

栗の木の下にはカタクリの花

Img_7729_w Camera : Canon EOS 5D, Lens : EF 24-105mm F4L

秋田県、鎌足地区のカタクリの群落を初めてみた時、カタクリは栗林に生えるから片栗って言うんだな、と本気で信じました。それほど自然に、圧倒的な群落でカタクリは栗林の下で咲いておりました。
実際はカタクリの名前の由来は諸説あるものの、栗の木の下に咲くから片栗という言われはありません。

この群落を説明する為に、次に考えたのは、農家の人が栗の収穫の裏作として片栗粉を作るために植えた、というもの、しかしこれも違いました。片栗粉を作るためにカタクリの根を毎回掘り起こしていたら、栗の木の根も傷むし、そもそもカタクリが根絶やしになってしまいます。

結局、正解は、自然繁殖。誰が仕組んだ訳でなく、カタクリがこの栗林の中に住み着いて、自然に繁殖していったものなのです。ここの栗林はカタクリにとって天国だったのです。

山間に作られた栗林は年中適度の湿気があり、栗の木の葉が展開するまでの間はカタクリの生育期であり、この間十分な日光が当たります。栗の木の葉が展開してからはカタクリの休眠期になり、この間は涼しく眠ることが出来ます。

周りに夏草が生えても農家の人に刈ってもらい蔓延られることは無く、寒い冬の前には栗の木の葉が上からお布団のように舞い降りて、寒風から守ってくれます、冬には雪が積もり冷たい外気を遮断してくれます。
農家の人がカタクリを育てたつもりがなくても、栗の木を育てることでカタクリも一緒に育っているのです。

カタクリの花が、ここ10年で人気になり、各地にカタクリの里みたいなところが現れました。もちろん、この巨大な群落もカタクリの里と呼ばれます。しかし、ここは本当は、栗の里なのです。このカタクリの合間に見える栗の木は西明寺栗という、日本最大の栗がなる栗の木です。本来この辺りはカタクリの里ではなく、日本一高級な栗の里として名前が売れるべき場所なのです。

この様相からしても、この地域は、まだまだ素朴なところです。カタクリの時期にはカタクリの保護費用として一人300円を徴収しますが、これだって収益事業になるものではないでしょう、カタクリを見に入ってくる人たちの為にトイレを作ったり、入場を制限したりする費用でやっとだと思います。もし、この費用を徴収して整備しなければ、地元の人たちは生活の糧である栗の木を観光客から守るために、入場を禁止するしか無くなるのですから、観光客と共存する為の費用です。

R0010035_w Camera : Ricoh Caplio GX100

ここのカタクリの花は、栗林の場所により早く咲く所と遅く咲くところがあり、この花にしては長く楽しめます。ただ、開花した時に雨に当たると花弁に水玉模様が出来てしまうので、良いコンディションの群落に会うためには運が必要かも知れません。

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