ベビーパール、子泣きじじい説
camera : Baby Pearl, Lens : Hexar 50mm F4.5, Film : Macophot UP100
一枚目には傷が、2枚目にはニュートリングがあるのですが、修正してません
ベビーパールは昭和9年から昭和25年にかけて作成されたベスト判のハーフカメラで、画面サイズが3cmX4cmあります。作成した会社は六櫻社、その後、小西六、コニカ、コニカミノルタとなり、カメラの製造を止めてしまいましたが、当時はカメラのリーディングカンパニーです。
16年もの間作られたカメラですが、製造会社の名前が六櫻社から小西六に変わること、間に太平洋戦争を挟むこと、ついているレンズの違い、圧板の違いによってある程度年代がわかりそうです。
私のものは、社名が六櫻社、レンズがHexar Ser.I 50mm F4.5、圧板が取り外し式、カメラのフレームのふちが銀色塗装であること、さらにカメラの内側に昭和11年に発売されたさくらクロームASA50のイラストがある事から、昭和11年から12年のセミクロームモデルでは無いかと思います。昭和12年からはレンズがHexar Ser.I 50mm F3.8になります。
このカメラ「清掃したら置物にはなる」という事で買いましたが、「絶対に使ってやる」と心に決めておりました。清掃するうちなんとなく使えそうになりましたので、この状態でとりあえず試写してみることにしました。基本はジャンクカメラだったので、スローシャッターのメンテナンス等が本当は必要だし、光線漏れのテストの意味もありました。
ベスト判のフイルムは、レモン社ではブローニーを切断したものが手に入りますが、クロアチア製のエフケというフイルム、またはそのOEMのマコという名のフイルムがもっと安く手に入ります。ブローニーを切断したフイルムの裏紙がどうなっているか、私は見たことが無いし、今回は初めてなので、マコのUP100を使って試写してみることにしました。はじめからベスト判用につくられているフイルムなら、ベスト判カメラにあった裏紙がついているはずです。
改めてフイルムを見てみると、その細さにまず驚きます。この細さから想像するに、ものすごい巻き癖がついているはずです、ハーフならまだしも、ベスト判のフルサイズで使ったら、平面性はまず当てにしないほうが良いでしょう。さらにこの細さはまた別の影響を与えます。
最初はスムーズに回っていた巻上げが、だんだん重くなり、最後にはフイルムが切れるのではないかと思うくらい重くなります。そもそも握力が強くない人は巻くことが出来なくなるでしょう。つまり小さな歯車を回すうちは、小さな力ですむものが、大きくなると強い回す力が必要になるという、理科で習ったことがあるような、無いような原理が働くのです。この感覚はまるで、妖怪子泣きじじいをおんぶした感覚に似ております。(実際におんぶしたことは無いけど)
さらに、このまき癖は現像時にも影響して、唯一の現像道具であるパターソンのリールに巻くにも苦労します。結局、このカメラ、置物にするのが一番正しく、あえて使う時はダークバックを持参のうえ、14枚程度であきらめ、ダークバックの中で蓋を開けてフイルムを巻き取る。現像時にはフイルムのお尻を大胆に切って、少しでも巻き癖を減らして巻き込む。これでどうでしょう。
今回の試写で、条件によって光線漏れが発生し、またフイルムに傷が付く場合もあることが解りました。結局置物になるかも知れませんが、近くオーバーホールの旅に出てもらうつもりです。何といっても大戦を乗り越えたカメラです、大切にしなくては。
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コメント
ひと月以上ぶりに覗いてみたら、なんと新作が。しかも凄い題名で目を疑ってしまいました(爆
いえ、失礼しました。閉じてしまわれたかと駄目元で開いてよかった。
今後とも期待しています。ええ、この路線も好きなものですから、ってよくご存知ですね…
投稿: lensmania | 2007年4月14日 (土) 20時07分
図鑑的な部分も大切なのですが、やっぱりBlogは続けた方が面白い。と言うことで(ToT)ゞ
ポツポツやって行きます。
投稿: kk | 2007年4月14日 (土) 22時55分