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2006年12月30日 (土)

好きなシクラメンを探す楽しみ

Cycramen_wCamera : Hasselblad 201F, Lens : Tele Tessar 350mm F4, Film : RHP3

もう、懐メロの範疇に入ってしまうのですが、シクラメンのかほりという歌が流行って、シクラメンには香りがあるのかということが話題になりました。結論はかすかに有るということだったかと思います。

シクラメンの原種には香りがあるものが幾つかあるのですが、現在出回っているシクラメンは交配が進んだ園芸種で、より大きな花を咲かせるように工夫されてきたので、香りが消えてしまっていたのです。

この歌の影響でシクラメンに香りを戻す交配もすすみ、香りシクラメンという名前でホームセンターでも見られるようになりました。シクラメンは花期が長く、花の少ない冬の間、窓辺を飾ってくれるので良い香りがあればより価値が増すものと思います。

シクラメンに香りを復活させた交配は、原種を掛け戻したものでしょう。原種には良い香りを持っているものがいくつかあるからです。

中でもシクラメン・プルプラスケンス(Cyclamenpurpurascens)強い香りを持っていて、香りの質もスミレとすずらんを混ぜたような感じです。ただこの花はシクラメンのくせに夏に開花するので、横浜で5月の末頃開花されると「お前大丈夫か?」と心配になるし、あたりには香りの良い花がふんだんに咲いているし、ありがたさも半減です。キクラメン・プルプラスケンスは割と丈夫で涼しいところにおいておけば、横浜でも葉をつけたまま夏越し出来ます。ただ、水遣り等に注意が必要で、彼らには辛い季節であることにかわりありません。

また、シクラメン シリシウムCyclamen ciliciumには蜂蜜のような香りシクラメン シプリウムCyclamen cypriumは粉っぽい香りがあって、園芸種のシクラメンに粉っぽい香りが感じられる時はこの花の血かなぁと考えてしまいます。

原種のシクラメンについては、横山園芸という専門店がありここを検索すれば、かなりの情報が得られます。原種のシクラメンの魅力が満載のお勧めサイトです。

ところで、現在の私は育てていた原種も枯らし、園芸種の夏越しにもあまり神経質にしておりません。ホームセンターで毎年、普通のシクラメンから好みのシクラメンを探すことを楽しみにしております。シクラメンの原種も良いのですが、花が小さく花数も少ないのは否めません。シクラメンは基本的に種から育てられるので、ホームセンターで普通に売られている品種には、全ての花に別々の個性があります。同じものはありません。花の色、形、香り、それに葉の色、形、模様すべてに個性があります。花の香りについても、良い香りを強く漂わすものもあります。

初冬になるとホームセンターの店頭にならぶシクラメンの海に分け入って、両手に鉢花を抱えて、こっちよりこっちと、バーゲン品を買い漁るように選んで行くのは、下品な気もするのですが、楽しいですよ。

写真の品種は良い香りを持った八重咲きのシクラメンです。変わっていて面白い花ですが、やはりシクラメンはシンプルなものが一番好きです。良いお年を。

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2006年12月28日 (木)

ミセス・ハーバート・スティーブンソン、最後の一輪の美しさ

Mhs_w Camera : Hasselblad SWC/M, Lens: Biogon 38mmF4.5, Film : RVPF(雨上がりで花がうつむいてしまっています)

白いバラで一番好きなものは何と聞かれても、答えは見つかりません。しかし、それが晩秋か初冬ならば迷わずミセス・ハーバート・スティーブンソンと答えるでしょう。

どんなところが好きなのかというと、まず透明感です。このバラは白い花をつけるバラのなかでも花びらが純白に近い種類だと思います。その花びらが初冬の花だと薄くなり、透明感がでてくるのです。その姿は清楚で落ち着きがあり、斜めから射す冬の日差しが花びらを透かせると何とも言えない美しさが漂います。

また、花の香りも素晴らしいものがあります。このバラはティーローズ系の香りがあるのですが、その香りはペパーミントティーのような、きりりと爽快な感じがする香りです。この香りは、夏の朝にあってもさわやかな朝を演出してくれますが、初冬には気高ささえ感じるくらいに凛とした趣があります。

私はブッシュタイプを手に入れて、それがとても気に入ったのでつるバラの枝変わりを長い間さがしておりました。数年前に通信販売で手に入れることが出来たものの、何かのトラブルでその苗が届くのが送れ、春先に裸苗を植えざるを得なかったのですが、心配したとおり、根を十分に伸ばすことが出来ないまま枯れてしまいました。

1年くらい大きな鉢で育てればよかったと後悔しているのですが、後の祭りです。またいつか、クライミングのミセス・ハーバート・スティーブンソンを探して、再挑戦するつもりです。

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2006年12月25日 (月)

お花の香りでメリー クリスマス

Sonnarandmuttar_w_1 Camera : Hasselblad 201F, Lens : Sonnar 150mm F2.8 , Film : RVP

今年は暖冬のせいか、ウチの鉢花も狂い咲きを連発して、現在ウチの中は夜香木、芳香性ギボウシ(ソースウィート)、チュベローズ(!)の香りが漂っております。この調子で行くとお正月まで大丈夫\(@^0^@)/

写真は、背景に一応クリスマスツリーがあるのですが、何か変なボケ方ですね。HasselのF系Sonnar150mmで開放で撮るとこんな感じになります。

解像力が高い大口径レンズは、想像がつかないボケ方をする場合があって楽しみです。

ちゃんとした花の紹介記事を書きたいのですが、年末は忙しくて........。

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2006年12月24日 (日)

Elcan 6Inch F2.8

Img_6390_w 先日プロジェクター用P-Planar 150mm F3.5を4X5で撮影した場合の作例をシンビジウムの記事に載せました。今回は同じような焦点距離でLeitz Canadaが作製した航空撮影用カメラのレンズを紹介します。

このレンズは軍用偵察機に使われていたKE-28Bというカメラに付いていたものです。実物は委託を扱う中古カメラ屋に出てくることもあるし、またE-bayにはちょくちょく出てきます。

どんなカメラかというと、ガイドつきの70mmフイルムを使い6x6サイズの航空写真を撮るためのカメラで、軍用らしく小型で頑丈そうなボディです。KE-28Bと言うのはMaurer 製でシャッター速度が1/125から1/1000。もちろんKE-28AというカメラもあってこちらはCAI製1/30から1/1000までのシャッター速度が使えたようです。

今日、お目にかかることが出来るカメラがKE-28BばかりなのはそのレンズがLeitz製だったことが大きいでしょう。

Elcan2_w Camera : Speed Graphic, Lens : Elcan 6 Inch F2.8, Film :E100G VS, 1/70, F11

ところで、このレンズの最大の特徴はバックフォーカスの短さでしょう。150mm近い焦点距離にも関わらず、無限遠が結像するバックフォーカスは4cmほど、35mmの一眼レフでさえ使えない距離です。もし使うとしたら、写真のようにスピグラにつけて6X7のロールフイルムホルダーを使って撮影する方法が一番でしょう。こうするとぎりぎり6X7をカバーします。

Elcan_w Camera : Speed Graphic, Lens : Elcan 6 Inch F2.8, Film :E100G VS, 1/1000, F2.8

レンズの描写はどうでしょう、開放で撮ったものでもピントがあっている部分の解像感はなかなかの物があります。特筆すべき所は素晴らしい立体感です。少し絞ると上の写真のように解像度が増してきます。

出来れば、もっとテストしていろいろな条件での描写を見てみたいのですが、どうしても不便さと使い辛さで手が遠のきます。6X7ならPentaxの165mmが、6X6ならHasselbldのF系150mmF2.8の方が立体感はともかく、解像感では上のような気がするし、なにより使い易いですから。

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2006年12月23日 (土)

ホワイトクリスマスにはあまり良い思い出が無いのです

Img_7045_w Camera : Canon 5D, Lens : EF24-105mm F4 L

表題の写真のバラは神代植物園のホワイトクリスマスです。春の花なのですが、ご覧のとおり雨に打たれた後があります。遠くの蕾には開花する前にボールになっている蕾も見えます。ボールになるとは、開花せずに腐ってしまう病気のことです。

私の場合植物園に行く時、フイルムカメラとデジタルカメラを持って行って、フイルムカメラで花の表情をデジタルカメラで花のデータを同じ順番に記録することが多いのですが、このバラにはフイルムカメラで撮った写真が見つかりませんでした。

自分で育てたことがあるバラなので、その時の写真を探せばよいのですが、それすら見つかりません。ひょっとして撮っていないのかも。私にとってホワイトクリスマスは中途半端なバラだったのかもしれません。

もちろん、ホワイトクリスマス自体は遅くまで繰り返し咲く白バラの銘花です。棘も少なく、総じて育てやすい品種だと思います。ただ私は、個人的に冬に咲く白バラであれば、ミセス・ハーバート・スティーブンソンを選び、花の香りではダブル・デライトを選んだのです。

これらの花の香りはフルーティな香りで、特にホワイトクリスマスの場合、クリスマスの頃に咲けばフルーツのクリスマスケーキのように美味しそうに香るでしょう。

とても良いバラなのですが、写真もろくに残らないほど私とは縁が薄かったようです。思えばホワイトクリスマスが当たり前の地域で育ちながら、ホワイトクリスマス自体に良い思い出なんて無いものね。

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2006年12月21日 (木)

シンビジウム本来の香りは酸味がツンツン?

Synbijiumu_w Camera : Speed Graphic 4x5, Lens : P-planar 150mm F3.5, Film : EPN

何かの本で、花を贈る場合は値段がはっきり解るものを贈るのが基本である、と言う記事を読んだことがあります。歌舞伎役者が胡蝶蘭に囲まれてインタビューを受けている写真なんかを見ると、いかにも高そうで、ああこれがその基本かぁ、と思ってしまいます。

胡蝶蘭が高価な花の贈り物だとしたら、シンビジウムはお値段的にも気さくな時節の挨拶といったところでしょうか、シクラメンとシンビジウムはお歳暮で花を贈る場合には定番商品だと思います。

特にシンビジウムは花期が長く、また植え込みに土を使っていないせいか、輸送にも適していて贈り物には最適です。

そんなことから、シンビジウムはあまり自分では買うことが無いのですが、歳末のホームセンターで気に入ったシンビジウムがあると真剣に悩んでしまいます。欲しい、でも置く場所が無いと。これを買ったら、頑張って育てても次の開花は再来年の春、だから来年の暮れにはまた、咲いているシンビジウムを見つけて欲しくなるに違いない。困ったと。

さらに、ポンとどこからともなく、あまり好みでは無いシンビジウムをお歳暮でいただいたりすると、嬉しい気持ちが複雑に交錯してしまいます。

結局、シンビジウムはなるべく買わずにホームセンターで風物詩として楽しんでおります。そこでは色々なシンビジウムが楽しめ、香りの良い品種もたまにあります。

香りの強いシンビジウムは黄色系のものに多く、また一番多い香りはツンツンするような酸味の強い系統である気がします。東洋蘭を思わせる爽やかさを感じさせる場合もありますが、それでも少しは酸味を感じますので、そんな香りの原種があったのだと思います。

最近はおもむろに東洋蘭交配種として香りを売り物にしている品種もあります。しかし、これらの品種は開花が遅く、ホームセンターを飾るのは春口です。

個人的には、シンビジウムは暮れにホームセンターを飾る鉢花が一番綺麗で魅力的だと思います。

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2006年12月19日 (火)

パンジーの香りを哲学的に感じてみる

Panji_w Camera : Pentax 67, Lens : SMC Takumar 55mm F3.5, Film : RDP3

雪が降らない所では、パンジーやビオラは秋から春にかけ花壇の縁取りに最適な花なので、ホームセンターの売り場を覆うほど大量に出回ります。この時ホームセンターの園芸コーナーの辺りに漂う何気に良い香りはパンジーの花の香りです。

この香りは冬の訪れを予告するように、枯れ葉のような香りと、日向くさい香りと、花であることを主張するフローラルな香りが混じったような香りです。良い香りなのですが、誰でもうっとりといった単純な良い香りではありません。

パンジーの花がそこに在り、その香りに気が付こうとする人に滲みて来る哲学的な香りのように思います。欧州に、パンジーに香りが無いのは、香りを探って自分を摘みに来る人から身を守るために、神様に祈った結果であるという話があるとのことです。

パンジーは一般的には香りの無い花だと思われているのです。しかし、パンジーが溢れているホームセンターでは、警戒を解いて本来の香りをほんのりと発散するのかも知れません。

写真のパンジーは、フレンジがあることから、「シャロン」またはシャロンの交配種だと思います。パンジーの中では最も香りが強い品種のうちの一つです。

シャロンは花の模様も派手なので群植するには濃すぎる嫌いがありますが、その代わり少ない株で見ごたえがあります。また咲き始めから終わりまで花の変化を楽しむことも出来ます。もちろんパンジーの香りも、澄み切った冬の香りから生物の息吹を感じる春の香りまで変化をたのしむこともできます。パンジーの香りを感じてみたい人にはお勧めの品種です。

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2006年12月17日 (日)

Nikkor-H 5 cm F3.5, Nikkor-O.C 50mm F2.8, Zenzanon MC 50mm F2.8

Img_6125_w 表題の写真はゼンザブロニカの50mm広角レンズです。左からZenzanon MC 50mm F2.8, Nikkor-H 5cm F3.5, Nikkor-O C 50mm F2.8です。

もともとゼンザブロニカの50mm広角レンズは真中のNikkor-Hで、とても性能の良いレンズでしたが、口径が82mmと大きいことからか、設計を一新して口径が77mmのNikkor-Oにモデルチェンジし、明るさもF3.5からF2.8に変わりました。写真のレンズはこのNikkor-Oの最終バージョンのマルチコートモデルです。

これに加えて、Zenzanon MC50mmは新設計の口径67mmのマルチコートレンズとしてラインアップに乗りました。Nikkor-Oに比べてもかなり小型のレンズであることが解ります。

作例として開放でもみじを撮った写真を載せてみましたが、短時間で撮ったつもりでも林の中は光がころころと変わり、全く別の条件で撮ったようになってしまいました。

Nikkor50mmf35_w Nikkor-H、このレンズはモノコートのレンズですが、設計に余裕が感じられ、新設計になったNikkor-Oよりも逆光に対する耐性は上のような気がします。ボケ方も自然な感じで、私のお気に入りのレンズです。

Nikkor50mmf28_w Nikkor-O.C、実はNikkor-Oも持っていますが、マルチコートでも逆光に対する耐性はあまり変わらないのではないかと思います。いずれにせよ逆光には弱いのでフードは必須です。純正フードはとにかく大きいので持ち出すのが億劫なのですが仕方がありません。この弱点以外は、解像度が高い緻密な描写をしてくれるレンズです。

Zenzanon50_w Zenzanon MC、このレンズはNikkorに比べるとこんなに小さくて良いの?と心配になるくらい小型の広角レンズです。逆光には弱いのですが、レンズの口径が67mmなのでフードはいろいろ工夫が出来ます。充分なハレ切れをしてあげればコントラストの高い、くっきりとした描写をします。Nikkorに比べて少し寒色の傾向がありまたボケ方も少し煩く感じます。風景を撮るには最も適したレンズではないかと思います。

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2006年12月16日 (土)

玉椿の花は、窓辺に置いた小さな香水ビン

Tamatubaki_w Camera: Pentax645 Lens: Macro Pentax-A 120mm  F4, Film:RVP

もう、ムーミンというアニメの名前を出しても知っている人は少ないかも知れません。あのムーミンにニョロニョロという不思議な生き物が出ておりました。玉椿を見るたび、私はあのニョロニョロを思い出します。もともと玉椿という優雅な名前は、椿の蕾を重ねたような多肉植物の形から来ています。そんな形のものが地面から何本も生える様子は、私にとってまさしくニョロニョロなのです。

しかし、この優雅な名前はこの植物にとって、厄介なことになったかもしれません。「玉椿」で検索してヒットするモノは色々あるものの、この花の優先順位は低い状況です。また、多肉植物の愛好家に玉椿が欲しいと言ってもなかなか通じません、特徴を説明してやっと、「ああ、クラッスラの事か」と理解してもらえた事があったくらいです。

この植物の学名は、弁慶草や金のなる木の仲間でクラッスラのCrassula teres(たぶんその変種のbarkyiが玉椿では)。英語での名前は、Rattlesnake Tail(ガラガラヘビの尻尾)。玉椿はもとより、ニュロニョロだって優雅な名前に思えます。

冬場、本体が十分成長すると頭部にきらきらして肉質の厚い、そして細やかな、白い花を咲かせます。その花の香りは、何とかジャスミンと言われる植物にありがちな、青みが少なく、潤いがあるジャスミン香で、花が小さい割には強い香りです。

多肉植物なので、それなりに花期も長く、本体も小さいので、窓辺に小さな香水瓶をおいた感じで部屋に香りをふりまきます。

夏越しさえ上手くすれば、丈夫に育つ植物だし、小型の鉢で育ち、水やりの管理もそれほど神経質にしなくとも良いし、部屋に入れても虫が湧いてくるみたいな心配も要りません。良いペット植物になってくれる植物だと思います。

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2006年12月14日 (木)

サッターズ ゴールドの香りはマンゴ ピーチ ティ?

Sutters_w Camera : Rolleiflex SL 35E, Lens : Makro Planar 60mm F2.8 HFT, Film : TREBI

昔パラソルチョコレートというお菓子がありました。今でもあるかも知れませんが、最近ご無沙汰しております。サッターズ ゴールドの蕾を見るたび、私はあのパラソルチョコレートを思い出してしまいます。
花の蕾がとんがった三角錐だし、赤と濃黄の縞模様がピエロの持つ傘のようにメルヘンチックです。

Img_6487_w この花はいったん開いてしまうと花の命は短いので、蕾のうちが一番の楽しみです。花が開くと、蕾のうちは赤い縞だった部分が広がって、黄色の花に入る赤いぼかし、または血管のような赤い筋になります。

その赤い筋が血流と関係していてSutterというのはそんな意味で、黄色の花にはしる赤い筋が花の名前の由来になっている、と、何かの本で見たような記憶があって思い込んでおりました。
ところが今回Sutter's Goldでググッてみると、最初にでてくるのはSutter Gold Mining Companyでアメリカの金鉱会社です。

Sutterというのはスイスからアメリカに来た移民の名前であったのですが、この方の水車小屋で金が見つかったことによって、アメリカに有名なゴールドラッシュが起こり、現在は地名にもなっております。単純に考えるとアメリカの金の発見をお祝いして、それにちなんだ名前とも思いますが、金の発見は1848年このバラの紹介は1950年、百年の差があるし、金の発見を祝うならもっとふさわしい純黄のバラがあるでしょう。このバラの特徴は、黄色の花びらに走る赤い筋。この赤は無視することが出来ません。

今度は、Sutter's Gold Bloodで検索すると、また、山ほどヒットします。金鉱開発の歴史は犠牲者の発生なくしては語れないものなので、おそらく、このバラの名前は黄色が黄金。花びらに走る赤い筋が犠牲者の血に染まった川なのかも知れません。最も金鉱というものの本質を表現するバラなのでしょう。

名前の詮索はそれくらいにして、単純に花の話に戻りますと、この花は綺麗な蕾と、開花の進行が少し早すぎる花、黄色の花びらに赤のぼかしか筋が入りますが、これは季節によって変化します。これだけでも興味がありますが、さらにもうひとつ。この花はティーローズ系の香りを持つハイブリッド ティローズの中でもっとも素晴らしい香りを持つものの一つなのです。

そんな香りかと言うと、ネクタリンと紅茶を混ぜた感じの香りです。フルーツフレバーティのなかで、ネクタリンティというものがあったなら、こんな感じの香りだと思います。もし確実にあるものでブレンドするならば、ピーチティーとマンゴティをブレンドして缶に詰め蓋を開けてみてください。そこにはきっとサッターズ ゴールドの花の香りが....あるかも知れません。

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2006年12月12日 (火)

ポリクセナは健気で律儀な小球根植物

Mp100aej1_w Camera : Canon5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEJ
晩秋になるたび、物置の片隅にごみのように置いてある小鉢から、紫色のつぼみがでているのを発見して、あわてて窓辺に移し、水をあげるということを繰り返しております。
小鉢の中でひそかに活動をはじめたのは、ポリクセナ・エンシフォリア(Polyxena ensifolia )。紫色の小花を、葉が伸びるのと競争するように葉の上にまたは葉の間から咲かせます。

私としては、「すっかり忘れていてすまんかった」という気分なのですが、そのおかげで、先に葉が伸びること無く、葉と花がちょうど良いバランスで咲くのかもしれません。

この小球根は、このように晩秋に花を咲かせ、葉を伸ばし春先に枯れ休眠に入ります。ぞんざいな扱いをされながら毎年花をみせてくれる、律儀で健気な植物であります。

ポリクセナにはオドラタという品種があり、同じような性質で白い花を咲かせます。最初はそのオドラタを育てておりました。香りが良いという意味の学名をもつ白い花は、少しのジャスミンの香りに、酸味の無いフルーツを加えたような香りで、ビワの花の香りとも似ているのですが、それより弱く、香りを感じる時間と感じない時間がありました。

エンシフォリアの香りは、花色から連想できるように、オドラタで混ぜてみた、酸味の無いフルーツをラズベリーに置き換えたら近くなるかも知れません。この花にふさわしい、けなげで、つつましい良い香りであります。それでもオドラタよりも印象に残る香りです。

とにかく、これらの花は小さく群植しても目立たないので、やはり小さな鉢に1球植えして、花が咲いたら小さな鉢を寄せ集めてディスプレーして楽しむのが良いかと思います。本当に、場所をとらないし、水遣りが大変な夏場は休眠してくれ、花の少ない晩秋に目覚めて花を見せてくれる健気で律儀な小球根植物であります。

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2006年12月10日 (日)

Nikkor-D.C 40mm F4 & MC Zenzanon 40mm F4

Img_6120_w_1 実は、このBlogの前にYahoo Blogで同じ内容の物を書いており、前身のBlogを数えると、一年になり、香りの良い花も、私が育てたことがある品種はあとわずかです。本来ならば12月で最後にすべきなのですが、このBlogは2月から始めているので、1月までは旧Blogの記事を手直しして書き足し1月で終了することにしました。

この記事も去年の12月に書いた物の焼き直しですが、基本は同じです。

フォーカルプレーンシャッター、ゼンザブロニカのレンズにはNikkorとZenzanonの2種類が用意されております。もともとNikkorにない焦点距離をZenzanonがカバーする形でしたが、そのうち同じ焦点距離のレンズが作成されています。Nikkorの供給不足を補う予定のようでしたが、結果的に供給不足は起こらず、Nikkorに対して、廉価版という位置づけで、並行して存在したようです。

40mmの超広角の焦点距離にもNikkorとZenzanonがありました。しかし、この2つの広角レンズは全く違った外観を持っています。Nikkor_D.C 40mmF4(マルチコーティングバージョン、以下N)は口径90mmの巨大レンズ、MC Zenzanon 40mmF4(以下Z)は口径67mm、標準レンズと、大きさは変わりません。Nは8群10枚、Zは7群9のレンズ構成でZのほうが1枚少なくなっています。

同じ物を同じ条件で撮ってみると、
1.zのほうが画角が広い
2.Zのほうが寒色Nが暖色
ということが直感的に解ります。

私個人の感覚としては、
1.Nは逆光に強いZは弱い
2.コントラストはZのほうが強い
3.ゆがみはNの方が少ない
4.階調の豊かさはNが上、
と感じています。

そして、どう使い分けているかというと、その時の気分でいい加減に使い分けているのが現状です。順光で風景を撮る分にはZの方が携帯性に優れメリハリの強い描写になります、しかし逆光になるとコントラストが低下するので注意が必要です。

Nikkor40_w1 Zenzanon40_w1 Nikkor40_w2 Zenzanon40_w2 写真は上から N40、Z40、N40、Z40です、フイルムは最初2枚がEPR,後2枚がE100VSです。
上の2枚は同じ条件で撮影したものですが、下の2枚は違った日に撮影したものです。ただ発色の違いは解りやすく出ていると思います。

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2006年12月 9日 (土)

柊の白い花と、ホーリーの赤い実でクリスマス

Img_1598_w Camera : Canon5D, Lens : Distagon 21mm

日本の暖地が原産地の柊は英語でFalse Holly(ホーリーモドキ?)と言い、西洋が原産のHollyは日本語で西洋ヒイラギと言います。共通点は葉に鋸歯があって痛そうな点だけで、全く別な木ですが、お互いを自分に似た木だと思っております。

痛そう度で言うと柊の方が上なのですが、その柊の鋸歯も年とともに無くなって、丸くなります。人間のように分別がついて丸くなった訳ではなく、大きくなって食べられるリスクが少なくなったので棘をつくる必要が無くなっただけです。本来は刺々しく振舞うほうがエネルギーを消耗し、疲れることなのでしょう。

この木は他の花が少ない11月から白い小さな花を咲かせますが、葉の刺々しさからは想像がつかないような、甘く、しっとりと重い、ジャスミンの花の香りにも少し似ている香りを持っています。

この木は雄木と雌木があり、昆虫が少ない季節に雄花の花粉を雌花まで運んでもらう必要があるので、花のありかをしっかりと蜂に知らせる必要がある為か、木から降り注がれるように香りが広がってゆきます。

さすがに柊は日本が自生地なので、近縁種のキンモクセイのように何処を見ても雄木ばかりということは無いものの、植栽にみる柊の大多数は雄花です。ですから、香りで花のありかを知らせても、大多数の雄花の花粉は雌花に届かないのが現状です。

写真の柊は去年の12月、クリスマス前に東京の汐留は日本テレビの前で撮ったものです。この柊はクリスマスどころか新年になっても咲き続けました。残念ながらこの柊は夏には撤去され、現在はありません。クリスマスには柊の白い花とホーリーの赤い実がそろっていたら、電飾など不要なくらい美しい装飾になると思うのですが。

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2006年12月 7日 (木)

アンナ パブロワは孤高のプリマドンナのようなバラ

Img_6064_w_1 Camera : Canon5D, Lens : Planar 55mm F1.2 MMG

伝説の名優六代目尾上菊五郎さんが、バレエ公演の瀕死の白鳥を見て感動し、バレリーナに「息を詰めて幕切れを迎えているように思えるが、もし幕が閉まらなかったら?」と聞いたところ「私は死ぬことになります」とそのバレリーナは答えたとか。六代目も、そうなったら本当にこの人は死ぬだろうなと思ったとか。この伝説のバレリーナがアンナ パブロワ(Anna Pavlova)さんです。

この高名なバレリーナと同じ名前を持つバラが表題の写真のアンナ パブロワです。著名な育成家のPeter Bealesさんが作出したものの花つきが悪いので試験床に植えっぱなしだったところを、友人で当時アンナ パブロワの伝記を執筆中だったKeith Moneyさんに見初められ、アンナ パブロワと名づけて世に出すよう説得され、この名前が付いたとのことです。

画家であり写真家でもあるKeithさんにとって、このバラのどんなところが、アンナ パブロワのイメージだったのか興味があります。が、自らカタログに書いたコピーを原文のまま引用すると次の通りです。

There is a real period charm about the full, slightly frilled petals with their shades of face-powder-pink, all set off with the darkest possible leaves, strongly circular.
it is quite haunting: the nearest I can get to describing it would be to imaging a picnic of fresh fruit salad with Turkish delight and served under a flowering May tree.

Anna_w 左の写真のように、初夏の可憐で美しい開花の様子が、イメージとして重なったものと想像されます。(Pentax645,Distagon50mmF2.8,RAPF)

ところが私は個人的に、勝手ながらも、このバラが初冬に寒さに耐えながら、最後の花を咲かせる様子に孤高のバレリーナの名前を重ねてしまいます。初冬の斜光をスポットライトにして、凛として咲く花の姿には感銘を受けます。この姿を見たいがために、手入れを怠って放置しているというのは言い訳に過ぎないとしても、このバラはこの姿を見せてくれるだけでもう十分すぎるくらい価値があります。それに、この一輪だけで庭中にバラの香りが漂います。

アンナ パブロワは素晴らしい香りの銘花でもあるのですが、特に初冬の冷たい空気に漂う香りは、凛々しく、肝がすわった、孤高な感じがするものです。夏の花ならば、爽やかに発散するタイプのモダンなダマスク香で、フリルがついたような可愛い花とよくお似合いな香りと表現するのが正しいでしょう。

英国のBeales社のホームページでは香りを紹介するのではなく、アンケートになっており、あなたはこの香りをどう感じましたかという問い合わせに選択肢から答える形です。残念ながら「凛々しく、肝が据わった、孤高な感じ」なんて言う選択肢は無く、中で一番近いと思われるDeep and Heavyを選択してみたら、これが一番メジャーな答えでした。

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2006年12月 5日 (火)

姫月下美人は月下美人の仲間、でも誇り高い原種です

Img_7831_w Camera : Canon5D, Lens : Apo Macro Elmarit 100mm F2.8,

最近ちまたでは美人がいっぱいです。私の知るところでも月下美人、姫月下美人、満月美人、食用月下美人、歌麿美人、十三夜美人、恵比寿美人などなど。つまり月下美人の仲間はXX美人になるのです。
このうち原種は月下美人と姫月下美人なのですが、これを交配したのが満月美人。また近縁種と交配して歌麿美人や十三夜美人などが生まれました。

おもしろいのは食用月下美人で、これはいわゆる月下美人です。しかし、日本で出回っていた在来月下美人と別の遺伝子をもった種で、この種類が在来種から受粉することによって結実します。それで、この系統を食用月下美人と呼びます。

ちょっと複雑ですが、通常このようなサボテンは栄養増殖されたクローンなので、この食用月下美人以外のすべての月下美人は昭和天皇がご覧になった花も、今日ホームセンターで売られる月下美人も、遺伝子的に全く同一のものだったのです。

食用月下美人が持ち込まれて初めて、自分以外の月下美人が現れたことになります。その自分以外の月下美人を食用と言われては、月下美人の心境も複雑なものがあると推察します。

私の知る限りの美人を集めて、その素性をまとめてみました。

月下美人 Epiphyllum Oxypetalum
食用月下美人 Epiphyllum Oxypetalum
姫月下美人 Epiphyllum Pumilum
満月美人 Epiphyllum Oxypetalum X Epiohyllum Pumilum
歌麿美人 Epiphyllum Oxypetalum X Epiohyllum Pittieri
十三夜美人 Epiphyllum hybrid?

もちろん、これからもどんどん美人は生まれて行くと思います。近縁種や交配種の名前にことごとく自分の名前を影響させてしまう、月下美人という名前はそれほどインパクトの強いネーミングだったのです。

個人的にいうと、このうち姫月下美人だけは、この影響から逃してあげたかったのです。こちらも原種だし、月下美人と少し違った性質もあります。なによりも多花性で花期が長く条件さえ合えば周年開花するのではないでしょうか。花は月下美人より小さいのですが、香りは月下美人よりも強く漂います。

表題の写真は朝に撮ったものですが、姫月下美人の花は月下美人の花と違い朝日を見ることが出来るのです。

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2006年12月 3日 (日)

木枯らしが吹けばブロニカの季節

Img_6032_w どういう訳か、晩秋から冬の間はブロニカを使いたくなります。ブロニカといっても数年前まで製造されていたレンズシャッターのブロニカではなく、フォーカルプレンシャッターのゼンザブロニカのことです。

おそらく、昔のフイルムとブロニカの標準レンズであったブロニカニッコールの重く渋い発色の組み合わせがなんとなく「寒い季節」を連想させて、それが身に染み付いてしまったためだと思います。

もちろん、ブロニカニッコールでも華やかな発色のE100VSとか、ベルビア兄弟のフイルムを使えば、軽く華やかな感じに写ります。

しかし、カメラを選ぶということはある程度期待するイメージがあって、たとえば晩秋にブロニカを選べば、自分は重く渋いイメージを求めて、ブロニカにそれを期待しているのです。そういうイメージに応えてくれるカメラは実は非常に貴重な存在で、また、何度かそのカメラによって期待通りのイメージが得られると、それはだんだん信仰に変わって、無くてはならないものになるのです。

私のブロニカはまさにそんな存在で、晩秋からはHasselもRolleiもほったらかして、同じ6x6ならゼンザブロニカになるのです。

写真のゼンザブロニカは、ポピュラーなフォーカルプレン機の三世代機種。S2,EC,EC-TLです。そして、それにつけているレンズはあまりポピュラーでは無いブロニカの標準レンズたち。左から順に、

MC Zenzanon 80mm F2.8、これはカール ツアイス イエナ製と表記されております。

MC Zenzanon 80mm F2.4、これは富岡光学製と言われております。

MC Zenzanon 75mm F2.8、これは東京光学製と言われております。

こうやって並べてみると、コーティングも全く別々であることが良く解り面白いですね。

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2006年12月 2日 (土)

ビワの花の香りには思いやりがいっぱい

Biwa_w Camera : Pentax 67, Lens : SMC Takumar 55mm F3.5, Film : RDP3

ビワは東洋風の果物で、いかにも昔から日本にあった果物に思えますが、この果物が日本に定着したのは明治の中頃からです。つまり平家物語を語る琵琶法師は琵琶を弾いてもビワを食べることは無かったはずです。

この果物がビワと呼ばれるのは、楽器の琵琶に形が似ているからでしょうし、楽器の琵琶はもともとビーワとかいう発音で呼ばれる外来のものです。しかし、琵琶もビワも日本の風土になじみ、あたかも、最初からそこにあったかのような風情です。そしてビワの花も、花の香りも日本の風情にあっています。

ビワの花は11月からぽつぽつと冬の間長期にわたって咲き、白い地味な花を咲かせます。しかし、この白い地味な花は、冬の空気に良く馴染み、良い香りをあたりに漂わせます。その香りは、梅餡で作った桜餅があったなら、こんな香りだろうと思われるものです。桜の葉の塩漬けが持つような乾いた感じの甘さと梅の実が持つような酸味が混じったような香りです。

この香りは冬の空気に乗って、越冬する蜂に届きます。食料の少ない冬をすごさなければならない蜂にとって、この香りは天から流れる香りに思えるかも知れません。ビワの花が冬の間ぽつぽつと咲くのは、気温が低くつぼみの生長が遅いせいだけでなく、こうした越冬中の蜂を受粉の媒介に頼み、蜂へ蜜や花粉を切らさないで供給するためかも知れません。美しい共存の姿です。

最近、犬なみの優れた嗅覚を持つミツバチを訓練して、火薬の匂いを覚えさせ、テロ対策に使える見通しがたったと言うニュースを見ました。ミツバチにとっては迷惑な話ですが、ミツバチを狙って火薬は爆発しないので、テロから人命を守るためには非常に有効な手段だと思います。

ただ、訓練によって火薬の匂いを美味しい匂いと感じるようになってしまったミツバチにも、引退して余生を送る時が来たならば、せめてビワの花の香りでも嗅がせてあげたいものです。

Img_6017_w1 中判の広角レンズでは蜂が小さすぎるので、デジカメで撮ったものを追加します。なかなかダイナミックに蜜を吸ってます。(5D,AME100mm、トリミング)

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