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2006年11月30日 (木)

Tom Brenemanの厚い花弁は良い香りで満たされ

Tombreneman_w Camera : Pentax 645, Lens : SMC Pentax-A Macro 120mm F4, Film : E100G

このバラはTom Brenemanです。1950年にアメリカで紹介されたばらで、1948年に亡くなった俳優で、ラジオ番組のパーソナリティのトム ブレネマンさんにちなんだ名前かも知れません。

あまりポピュラーなバラではありませんが、ライラック ローズ ピンクの、弁質が厚く、重ねが中くらいの花を咲かせます。日本には割と適していて、特に深刻な問題はありません。私のうちのバラも根頭癌腫病にかかったものの治療した結果完治し、元気を回復しました。割と良く伸び、暗い葉と形の良い刺が綺麗に映えます。ただ、なんとなく寒冷地より暖地のほうが向いているバラであるような気がします。

そして、これもあまり知られていませんが、とても素晴らしい香りを持っております。香りの質はダマスクに、少しブルーローズのような発散する爽やかな感じが混じり、しっとりとした潤いも感じられるものです。切花にしても長い間香りを保つのもこのバラの香りの特徴です。

思うに、このバラの香りの性質はこの花の花弁の弁質によるものでは無いでしょうか。しっかりした質感の厚い花弁は、同く厚い花弁を持つ黒バラのビロード感とは違った、すべすべで、透明感があり、思わずほお擦りしたくなるような瑞々しさがあります。この花弁に大量の良い香りの成分が保持されていて、その為香りを失わないものだと思います。

私はこの花が咲くと、まず戸外で楽しみ、早々と切花にして部屋に飾ります。切花になったバラは部屋に潤いと素晴らしい香りをもたらしてくれます。そしてその香りは劣化せずに長い間私を楽しませてくれるのです。

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2006年11月28日 (火)

寒蘭は日本の貴重な香り

Kanran_w Camera : Pentax645, Lens : Kinoptik Paris 100mm F2, Film : RDP2

表題の写真は決してよく写っていないのですが、面白いのでこれを使うことにしました。何が面白いかというと、ピントのある花の後ろで萎んでいる花は、枯れてきたのではなく、受粉した為に萎んできたのです。最初は解らなかったのですが、この後この株を育てているうちに懐妊していたことを確認しました。

改めて見てみると、通常花が終わって萎んで行く姿と違ってなんとなく色気があるように思います。今思うと、萎んだ花に1枚くらいピントを持ってきてもよかったのに、当時はレンズの絞りを開けて花を撮ってみることを楽しんでいたので、この写真が確認できる精一杯なのは残念です。

その後、受粉しているのかも知れないと思い実ができるまでそのまま育てたのですが、純粋に花を楽しむのであれば、すぐ花枝を切った方が良いです。

寒蘭はこの後、春までかかって細長い実をつくり、極小の種子を作ります。ところが、この極小の種子を得たところで、通常は発芽しません。寒蘭の発芽は、風に飛ばされた種子が発芽を助ける土壌菌と出会って初めて可能とされています。

その為、寒蘭は出現する場所が決まっており、生育地が限られるのです。また、この性質が悪循環をも引き起こしております。寒蘭が実生によって増えるということは、わずかな変化が固体ごとにあることを意味していて、その変化によって名品が生まれ、高値で取引されますから、限りある自生地からさらに人によって掘り起こされることになります。

最近、土壌菌のある場所に寒蘭の種をばら撒いて自生地を取り戻そうとする人もおります、それを、自生種の汚染と考える人もおります。そもそも、自生地から誰も掘らなければ問題は無いのですが、この辺りの事情は難しくデリケートです。

私は、寒蘭の個体差による銘のことは何も知りません、わずかに気にする事といえば、日本産の寒蘭は中国産の寒蘭に比べて香りが高いので、日本産の香りの強く安い個体を探します。香りに関する事では、春蘭は中国のものが香りが強く、寒蘭は日本のものが香りが強いことは面白い現象で、何が原因なのか興味が尽きません。

いずれにせよ、日本の寒蘭が晩秋に馥郁と気高い感じの香りを放ちながら咲くということは、素晴らしいことで、願わくばこの事実だけは永遠に消えないでいて欲しいものです。

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2006年11月26日 (日)

SMC Pentax-A 645 35mm F3.5

A35_1_w Camera : Pentax 645, Lens : SMC Pentax A645 35mm F3.5, Film : Fortia

私が自分でメインカメラだと思っているカメラはPentax645です。AEだし、ワインダーも付いていて便利です。もちろん機動性で言えば35mm一眼レフはもっと優れています。ただ、私は写真をプリントすることは無く、もっぱらベットにもぐってライトボックスとルーペで鑑賞するだけなので、35mmだと小さくて見づらいのです。645だと見易さが違います。

メインカメラがPentax645である以上、私の持っているレンズは原則的にPentax645で撮影が可能です。その為に怪しげなアダプターを買ったり作ったりしてきました。その結果メインカメラでありながら、本来のレンズで撮影することはほとんど無いと言う皮肉な結果になっております。

数えるのも怖いくらい訳の解らないレンズを保有していながら、メインカメラの純正レンズは2本だけ、一本はマクロの120mm、そしてもう一本が広角の35mmです。

両方とも素晴らしいレンズなのですが、特に35mmはPentax645を持って旅に出る時は必ず携行するレンズです。

超広角だけはアダプターを使っても上位フォーマットのカメラレンズに同等の焦点距離のレンズは無いというだけでなく、このレンズは645フォーマットの超広角レンズとして優れているからです。

特に超広角の割に逆光に強いことは最大の美点です。もともと超広角はフードをつけても強い光源が入ってしまうことが多く、またレンズ自体が構成枚数が多いので、逆光での撮影はかなり気を使います。ところがこのレンズはコーティングが優れているせいか、逆光でもコントラストを失いにくいのです。

しかし、そのコーティングによほど自信があるのか、純正フードはほとんど冗談のようです。レンズを中古で買った時にフードが付いてなかったので、カメラ屋さんで純正のフードを取り寄せてもらったのですが、箱を開封してそのフードを見た瞬間、思いました。これで何をしろと?結局一度も使っておりません。そして転用方法もまだ見つかっておりません。

表題の写真はとある臨港鉄道の駅です。昔は港があれば、そこには鉄道が引かれていて貨車が無造作に置かれていましたが、今はそんな光景も見られなくなりました。港町を訪れる度にとりあえず探すのですが。

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2006年11月25日 (土)

月下美人は本当に「月下の美人であります」

Img_4141_w camera : Canon 20D, Lens : Distagon 21mm F2.8

月下美人という名前は、昭和天皇が皇太子の時分に台湾を訪問した時、当時の台湾総督の田健次郎さんが「月下の美人であります」と答えたところから定着したとのことです。残念ながら昭和天皇がそれを聞いて、「あ、そう」と言ったかどうかは確認できていません。

しかし、これを花の名前の由来とするには、少々乱暴です。なぜなら当時月下美人と言う意味の呼び名が台湾の一部にあって、田さんがそれを知っていたのかも知りません。
花がある以上何らかの呼び名があるはずですから。

ただ、その時からこの花を月下美人と言うように広まったのは事実でしょう。見事なくらいぴったりの美しい名前です。そして、その時の光景を映画のシーンのように想像してみると、学者肌の昭和天皇と、陛下を前に美しい花を挟んで緊張する高級官僚の姿がユーモラスでさえあります。

もしその名前をその場で思いついたにしても、この花に対する理解と好意がなければ生まれない名前です。少なくとも、夜に咲き出し数時間しか持たないことは知っていたでしょう。実際この花を育てると、どうしてこの花は、こんな手の込んだ花を咲かせ、そのくせ短く終えるのか不思議になります。まるで、時間が経って美しさを維持することがもう難しいと悟った瞬間、花の命を終えているようでもあります。

花は受粉の手助けをしてくれる動物や昆虫を引き寄せるためにあり、その手段として、甘い蜜を持ち、香りを持ち、目立つ色や形を持つもので、であればなにもそこまで美にこだわる必要は何のです。なのにこの花はそこに徹底的なこだわりがあるように思えます。

それは、花の開花が春から秋にかけて不定期にあるにも関わらず、真夏の蒸し暑い夜は避けていことからも言えます。そんな夜はどうしても花の痛みが早いですからね。また、この花は葉の先に小さな突起のような花芽を見つけた時から、開花まで結構時間がかかります。特に開花を待つと長く感じます。そのくせ、蕾が生長して上をむき出し開花の兆候が現れて、今夜が開花かな、と楽しみにして仕事に出かけると、そんな時に限って帰宅が深夜になり、しぼみかけた花を確認して悲しい気分になったりするのです。

しかし、運良く開花に立ち会うと、月夜に映える蒼白いベールを重ねたような花のイメージどおりの、新鮮で青っぽく、少し胡椒が利いているような静かで気品のある香りを楽しむことも出来ます。秋の月夜に開花に立ち会えた時など、時間を止めたいくらいに幸せです。

この月下美人を蒼白く、気高く、香りが漂ってくるようなイメージで写真を撮るにはどうしたら良いのか、いろいろ考えるのですが、なかなか納得の行くものは撮れません。写真で撮る場合には月の光で輝く雲を背景にして月夜の演出にしたいのですが、そんな美しい雲がある月夜に月下美人が咲く確立は低いし、そもそも光が溢れる都会では無理なのかもしれません。

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2006年11月23日 (木)

午後のティタイムにはソンブレユの香りを

Sombreuil_w Camera : Rolleiflex SL66SE, Lens : Kinoptik Paris 100mm F2, Film :EPR

バラの香りの分類にティーローズの香りというものがあります。その典型的な香りは紅茶の缶を開けた時に感じる芳香とされます。

おそらくその通りなのでしょう、しかし実際ティーローズの香りとして有名な銘花は何らかのフルーツフレーバーが混じっていて、香りに変化と奥深さがあります。

その為、紅茶の缶を開けた時とはフルーツフレーバーティの缶を開けた時の香りで、どんなフルーツフレーバーが入っているかは缶を開けた時のお楽しみです。

このようなフルーツフレーバーが入ったたティーローズの香りで最も好きな香りの一つがソンブレイユ(Sombreuil)の花の香りです。この花の香りは甘く、マスカットのような新鮮な印象も感じられます。

このバラは細くしなやかな枝の割りに、重ねの多い重そうな花が咲きます。その為支柱かなにかに誘引してつるバラとして育てた方が良いと思います。うまく肥培すると、連続的に開花してゆき、おいしそうな香りをたっぷりと振りまいてくれます。

私はこのバラに関しても秋の花が好きで、夏の間は開花させずに、秋のためにエネルギーを蓄えてもらいます。こうして花のシーズンを秋に引き伸ばしても、このバラは結構寒さに強く晩秋まで開花を繰り返します。

ただ、秋の花は小ぶりで、特にこの花の場合薄平たく咲くので、花に賑わいとボリュームを求めるならば、やはり春の花です。

この花の名前はフランス革命のヒロインの姓からとられたものですが、暗さを表す意味もあるそうです。そのことから夏の夜の暗闇に浮かびあがる様子が一番美しいという人もおります。私は、秋の夕暮れに残照を浴びてたたずむ姿が一番ではないかと思うのですが。

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2006年11月21日 (火)

エンゼルトランペットは新しく歳時記になる?

Img_0100_w Camera : Canon 5D, Lens : Zuiko 21mm F2

エンゼルトランペット(Brugmansia )が通販の園芸業者によって日本に新しい植木として紹介されてから10年は経ってないと思います。それまでは一部の愛好家が育てていたくらいでしたが、ここ数年で本当に普及しました。

当初、通販業者がエンゼルトランペットを売り出した頃、育てるポイントとして、春から地植えにしても冬は木を切り詰めて、大きな鉢に移植し軒下で水分を控えて越冬させる。こんな注意が育て方のポイントとして書かれておりました。今でも基本は同じです。

ところが、横浜のような暖地では植えっぱなしにしても十分に越冬します。ホームセンターでも販売されるようになると、そこで鉢植えを買った愛好家でも無い普通の人が、普通に地植えをしたら、普通に越冬し、普通に成長しているのです。温度さえ注意すれば本来丈夫で成長の早い植物なのです。

あまり手間がかからず、洋風のデザインの家の庭木として似合い、花の形が人目を引き、年に数回開花し、花の香りが良いことでこの植物は日本の暖地では完全に庭木としての市民権を得たようです。

花の色は各種があります。また耐寒性は劣る気がしますが八重というか二重のカンタブという品種もあります。

そのどのタイプの花にも共通してある性質は、夕方から強い香りを発散させる事。その香りは爽やかな感じもするのですが、刺激が強すぎてざらざらした感じの香りに思われることもあります。鉢植えを部屋に置いたりすると、はじめは良い香りに感じてもだんだん気持ちが悪くなってきます。

それでも秋の夕暮れにこの花の香りが漂ってくる時は、何となく郷愁を感じてしまうようなそんな一面もある香りです。やがて、この香りは沈丁花、クスノキ、金木犀とならんで季節の風物詩になる日が来るかも知れません。

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2006年11月19日 (日)

S-Planar 74mm F4 M1:1

Img_5986_w 表題の写真のレンズはS-Planar 74mm F4, M 1:1と言います。M 1:1とあるのは、このレンズは等倍で使う為のものだと言うことを意味しています。その為にレンズ自体の明るさはF4でありながら露出の目盛りはF8から始まっております。等倍では露出倍数がかかり通常のF4が露出倍数でF8になるのです。

このレンズはライカスクリューマウントでしたので、L39-M42変換アダプターを入れて、一番小型のM42ヘリコイドをつけています。この状況で35mm一眼レフで無限遠が来ます。

もっとも、このレンズは本来半導体ステッパーレンズで、工業用につくられた高解像力、ゼロディストーションのレンズです。等倍で全く歪みが無いように設計されているので、写真の世界では中判スライドの複製には便利だったようです、しかし、野外でマクロレンズとして使われた評判は聞いておりません。

Splanar74_w Camera : Pentax 645, Lens : S-planar 74mm F4, Film : EPP

実際、このレンズで辺りの花を撮ってみると、6x6では拡大倍率が小さいことからイメージサークルが足りません。645がやっとです。またピントが来ているところはギンギンにシャープなのですが、ボケが硬すぎる嫌いがあります。

結局、このレンズは花や虫を撮るためには不適格でした。何か鉱物とかの光物だと素晴らしい能力を発揮しそうなのですが。

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2006年11月18日 (土)

マダガスカルブッドレアの本当の名はBuddleia paniculataだと思う

Img_5966_w Camera : Canon5D, lens : Apo Macro Elmarit 100mm F2.8

この花は、マダガスカル ブッドレアという名前で手に入れ、またこの名前で少しですが検索できます。ただ、英語っぽくBuddleia Madagascariensisで検索すると、マダガスカル原産の違った種類のブッドレアがヒットしてきます。本当はマダガスカルブッドレアと呼んでは誤解を招く木だったかも知れません。

一番近いものはBuddleia paniculataだと解り、ブッドレアはBuddleja とも書くので両方を検索して調べた結果、やはりこの花はBuddleia paniculataで間違い無いと思います。ブータン、インド、南中国あたりが原産地でしょうか。

いずれにしても情報は少ないので、横浜で実際に育てて見た状況で、経験的な幾つかの情報を伝えてみます。

まず、この木は熱帯か亜熱帯地方で育つ木であることは確かです。しかし、ある程度の耐寒性はあり、横浜では冬に室内で保護することで充分越冬します。

いかにも温室コナジラミの被害に会いそうな姿なのですが、実際に格好の餌食になるので注意が必要です。

典型的な陽樹なので日当たりは花付きを左右します。枝ぶりは自由奔放な格好で伸びますが、成長自体は遅い方です。したがって剪定も伸びすぎたらつめる程度です。鉢植え全体の容姿については、あまり期待できません。

花は枝の先に3本の花穂が成長して、子猫の尻尾のような形に白い小さな花が密集して咲きます。私のうちでは主に秋から冬にかけて花が咲きますが、春にも開花するので、本来周年開花か不定期開花する性質ではないかと思われます。ただ真夏は休みます。

この花の魅力はなんといっても素晴らしい香りです。ブッドレアの仲間といっても通常見られるブッドレアとは全く別の香りです。

上品で、柔らかな香りですが何か懐かしさを感じさせる香りです。小春日和の陽だまりで着物姿の美しい女性とすれ違う、その情景に漂う香りままさにこの花の香りです。もっともそれは、私がこの花の香りから妄想した情景なのですが。

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2006年11月16日 (木)

スターリング シルバーは銀無垢のバラ

Img_6660_w Camera : Canon 5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEG

青いバラはバラの育成家にとって夢だそうで、より青に近いバラが出来たといっては大騒ぎになります。青い花はいろいろありますが、例えばデルフィニウムの青色を持つバラが誕生したとして、私は魅力を感じません。

そんなに真っ青なバラの花束をもらっても寒いだろ、と思う訳です。青バラの作出は育成家の永遠の夢として、実現しなくとも良いと思うのです。

悪いことに、元々青い花色を出す色素が無く「見果てぬ夢」であったはずの青バラを、遺伝子組み換えで、パンジーの色素を移植して作ってしまった輩が最近現れ、後はどうやって濃縮するからしいのですが、何かが根本から違うような気がします。

ただ、その夢があったので、スターリングシルバーが生まれてきたのは事実です。このバラこそが、数ある「普通の青バラ」のルーツで、今ある全ての「普通の青バラ」はこのバラの血を引いているものといっても過言ではないでしょうし、またこのタイプのバラだけが持つ、特有の爽やかなダマスク風の香りは、このバラの香りがそうだったからで、このバラの香りが子孫に見え隠れ、アレンジされているのです。

このバラは1957年生まれですが、登場した時はさぞやセンセーショナルを引き起こしたことだったでしょう、スタシルマニアが生まれ切花は買い占められたと聞きます。

スターリングシルバー(sterling silver)とは、本来Silver925の事で、Silver925は銀92.5%、銅7.5%の合金で、硬度の問題で実質この合金で作られたものが銀製品となるそうです。

だからこのバラの名前は「銀無垢のバラ」といった感じです。今後、パンジーの青い色素を濃縮した青バラが幅をきかせるようになったら、正々堂々と銀バラとして売り出せば良いのです。

このバラは長い間欲しかったバラですが、青みに負けて来た為かショップで見かけることはありませんでした。だから京阪園芸のリストにこのバラのクライミングを見つけた時は本当に嬉しく思いました。写真のバラは春の花ですが、ウチでは今も咲いております。

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2006年11月14日 (火)

Massonia pygmaea、多肉植物の良い香り

Img_5837_w Camera : Canon5D , Lens : Macro Planar 100mm F2.8

多肉植物という園芸趣味のカテゴリーがあります。この世界も蘭に負けず劣らずマニアックな世界なので、なるべく深入りしないで、香りの良い2,3の植物を愛好することにとどまっております。

今回紹介する花はその一つで、マッソニアといいます。マッソニアにもいろいろあるので、正式にはMassonia Pygmaeaです。この花は11月に葉の間から白い花を咲かせ、この花が良い香りをもちます。一般的にはジャスミンに似た良い香りとして紹介されています。

この香りの印象は人にもよると思いますが、私は駄菓子にこんな感じの匂いのものがあったなーなんて思い出します。懐かしいお菓子のフレーバーを感じさせる系統の香りです。私自身はこの香りをジャスミンに似ていると言うのには抵抗がありますが、マダガスカルジャスミンに溶かしバターの香りと、スグリの香りを混ぜたらこんな感じの香りになるかも知れません。

この花はかなり長く咲き続けますが、香りが強いのは咲き始めで、その後だんだん香りは弱くなって行くような気がします。

多肉植物の愛好者によると、この植物はシンメトリーに葉が開いて、その間からこんもり花が咲く様子が良いのだそうです。写真の状態では葉が立ちすぎて失格かも知れません。

多肉植物は夏越しが難しく、前に求めた株は枯らせてしまいました。夏に断水をするとのことでしたが、その時は完全に干乾びてしまったのでした。今度が二度目の挑戦です。

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2006年11月12日 (日)

Angenieux 100mm F3.5

Angenieux100_2_w Camera :目測式蛇腹カメラ Lens : Angenieux 100mm F3.5, Film : 期限切れ2年ものリアラエース

私は「写真を撮りに出かける」ということはあまりありません。花や木を見に行きそれを記録するためにカメラを持って行くことが一番多く、次に鉄道風景を見に行きそれを記録するためカメラを、その次に.....以下略、なのです。

つまり、何が言いたいかというと、「写真を撮るのは記録する為で、記録さえ出来れば機材は何でも良い」ハズなのです。

Angenieux100_5_w その割に、使いにくそうなカメラやレンズばっかりこのBlogに出てくるのは何故でしょう。どうせ撮る記録なら変な機材で撮ったほうが面白いと、どこかで思って居るせいだと思います。

今回紹介するレンズは、Angenieux 100mmF3.5。Kodak Modele 42というカメラに付いていたものです。過去形なのは、このレンズは別のカメラに付け直されていたからです。何故このようになったかと言うと、本来のカメラのファインダーがあまりにも酷い為、レンズが家出して、さまよい歩いている為です。

それでは、Angenieux 100mmF3.5はKodakのカメラに不釣合いなくらい良いレンズかというと、少なくともシャープさでは近代のレンズに全く叶いません。良い雰囲気はありますが。

さらに、新たな宿主も赤窓式、目測のカメラですので、Kodakと何処が違うのだとも思うのです。しかし、そんなことを言い出すと、元々、記録の為にカメラを使うなら、目測式カメラなど持つほうがおかしいという矛盾点に、また突き当たってしまいます。

Angenieux100_3_w 結局、楽しければ良いのです。

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2006年11月11日 (土)

イランイランの香りが漂う夜に、妖しい夢を見る

Img_9991_w Camera : canon 5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEG

イランイランは花の中の花という意味なのだそうです。通常、「何とかの中の何とか」は特定の何とかを代表するようなものを指すわけで、さしずめイランイランは全ての花を代表するような花ということになります。

ところが、植木を育て蕾が開花しても、黄緑色の地味な花で、花の中の花をうたうほどの容姿ではありません。この花が花の中の花と呼ばれるのは、原産地ではほぼ周年開花することと、その花が素晴らしい香りを持っていること、とりわけ、女性がこの花を使ったレイで楽しむように、女性になじみが深いことが最大の理由だと思います。

花の香りに性別があるわけではないのですが、この花の香りは女性が身につける香りに相応しいものです。1920年代には女性らしい香りとして、いろいろテストされた結果、後にシャネルの5番として世に出る香水がこの花を主原料に作られ、その香水は、1950年代にマリリンモンローがこの香水だけを身につけてベットに入り、その香りを伝説にしました。 

これは商業広告としてのイメージの世界だけではなく、この香りには実際に媚薬的な要素があるようです。インドネシアではこの花を新郎新婦のベットに敷き詰める習慣があるとのことです。

私も、この花の香りが漂ってくるとオンナっぽさを感じます。一時期、自分の部屋で耐寒性の無い植物を保護していたことがあるのですが、この花の香りが漂ってきた時は閉口しました。なかなか寝付けないし、寝入っても妖しい夢にうなされて何度も夜中に目を覚ましました。結局、部屋から追い出すことに。

この木は常緑で、本来大きな木になるのですが、柔軟性があり、鉢で小型に育てても、暖房のある部屋で越冬させると、冬でも花をつけてしまうのです。

実際、寝室で越冬させて悪い夢を見るのは嫌ですから、室内の廊下とか縁側で越冬させるのが良いと思います。この場合葉は落ちてしまうのですが、春になるとちゃんと新しい葉が芽吹いてきます。その場合、開花は秋です。

Img_9994_w 表題の写真は花が大きく、昼でも香る品種、左の写真はウチで何年も育てている品種です。こちらのほうが地味ですが香りは強く感じます。特に夜。元気が無くなってきたので、今年は大胆に切り戻してみました。今年、ちゃんと越冬すれば良いのですが。

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2006年11月 9日 (木)

ハイブリッドのブバルディアにBouvardia longifloraの面影を探す毎日

Bubaldia_w Camera : Pentax645, Lens: SMC Pentax Macro 100mmF4 for 6x7, Film : RVPF

もし許されるなら、もう一度やり直したい。毎年秋が深まるにつれ、何年も前の、ブバルディと一緒だった短い秋を思い出します。ブバルディアといってもスイートブバルディア(Bouvardia longiflora)のことですが....。

行きつけのホームセンターの店頭に、ブバルディアとして鉢花が並んでいるのを見た時、それがスイートブバルディア(Bouvardia longiflora)であることに私はすぐ気がつきました。図鑑でしか見たことがなかったものの、花の形がよく見るブバルディアと明らかに違います。即座に2鉢購入し抑えをいれて、夕方に香りを確認してからまた現れ、3鉢追加しました。

それからというもの、毎夜毎夜家に帰るとスイートブバルディアの鉢をテーブルに並べて、花と香りを楽しみながらこの植物を観察して個体を維持する方法を考えました。

まず、この植物はみるからに耐寒性が強くなさそうです。また根が細く密集していることから、根腐れを簡単に起こすでしょう。しかし、これらの鉢花は挿し木で増やされたものに見えるので、いざとなったら挿し木が出来そうです。

それらのことを確認しながら育てたのですが、この植物は花後に切り戻してやると面白いようにまた花芽を付けて開花します。いつのまにか個体を維持する努力より、どうやって長く開花させるかに目標は切り替わってしまいました。5株もあればそのうち2株は開花をあきらめて、薬品を散布すればよかったのです。結果的に5株ともハダニの被害が出て、ハダニの被害を防ぐため葉に霧吹きで水をかけてあげたのですが、今度は葉に病気が出て、すべてが枯れてしまいました。

私が見たスイートブバルディアは、園芸専門店でも、通信販売でも、植物園でもこれが最後です。あれからは見ておりません。理由はいくつか考えられるのですが、まず何よりも育てにくいことだと思います。また、ブバルディアは交配が進んでいて、各種の花色、切花用、八重の花等の品種がどんどん出てきており、園芸農家もそのような観賞価値が高いハイブリッドの新品種を育てたほうが市場価値が高いこともあるでしょう。

それは、あの時から解っていたことでした。だからこそ何とかして種を維持したかったのです。それが一時の欲に負けて失敗したのでした。

ところで、毎夜毎夜、テーブルに並べては頬杖をついて眺めて楽しんだスイートブバルディアの香りはどんな香りかというと、マダガスカルジャスミンに代表される何とかジャスミンの香りに似たものです。ただこのタイプの香りのなかで一番上品なバランスをもっていて、また花の大きさの割りに強い香りです。

写真はハイブリッドのブバルディアです。実はこのようなハイブリッドにもBouvardia longifloraの血は混じっていて、香りを少しだけど持つものもあります。私はこのようなハイブリッドのブバルディを見つけては、Bouvardia longifloraの面影を探す今日この頃なのです。

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2006年11月 7日 (火)

ドフトボルケは私の一番

Duftwolke_w Camera : Pentax645, Lens : S-Planar 120mm F5.6 CT, Film : EPR

香りに対する印象は個人個人に、敏感さ、好き嫌い、思い入れ、偏見があるので、一番好きな香りのバラは?と聞くと千差万別の答えが返ってくるでしょう。

ただ、好きな香りのバラを5つ挙げて下さいと聞かれると、ドフトボルケを知っている人ならば必ず、その5つの中にドフトボルケを入れてくるものと思います。

ちなみに、私の一番はこのドフトボルケ(Duftwolke)、英語名で言うFregrant Cloud。どちらも香りの雲という意味の名前で、まさしくこのバラを表す相応しい名前です。

休日の朝、太陽に誘われて庭に出てみると、良い香りが漂ってきて「ああ、ドフトボルケが咲いたのか」と気が付き、バラの方を振り向いて花を確認します。早速、鋏を探して枝を切りコップに挿して家に持ち帰り、そのコップを何処に行くにも持ち回り、その日一日を幸せな気分で過ごすことが出来るのです。

ドフトボルケの香りは基本的にはダマスクとフルーツ香をミックスした香りです。しかし、そのブレンドの配合、選択は絶品で、これは神様がくれた贈り物と思えます。ドフトボルケの香りをダマスクという人やフルーツという人がおりますが、それは、香りを受け入れる人の個人的な嗜好の差で、それぞれの香りを互いに生かし合い、高め合うブレンドである証拠だと思うのです。

私が愛して止まないドフトボルケの香りですが、この香りはやはり秋の方が良いです。秋の乾いた空気にドフトボルケのフルーティダマスクの香りは良く合います。この写真は秋の花ですが、この時は、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!といった感じでした。

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2006年11月 5日 (日)

デジカメ版、悲しい時

Img_5898_w Camera : Canon5D, Lens : Mir 20mm F3.5

本日は、お日柄も良く、暇でしたので、庭の整理もかねて植木の記録を撮っておりました。先日の旅行から同じコンパクトフラッシュを使っていたので、容量が満杯になり、一度引き上げたものの、夕日がつるバラを照らして綺麗だったので、数枚を削除してまた記録したのですが、PCにダウンロードしようとしたところ、「CFを初期化してください」のメッセージが、つまりデータが全部壊れたということなのでしょうね。

実は、EOS5Dで、このような事が起こるのはこれが2回目で、原因は解りません。ただ、はっきりしているのは、コンパクトフラッシュの全てのデータが消失した事です。

デジタルはこのような事があるのが宿命なので、頻繁にバックアップを取るとか、バックアップのバックアップを取るとか、バックアップのバックアップのバックアップを...(以下略)しているのですが、少し油断するとこんなことになります。

フイルムカメラでも蓋を開けてしまったとか、ブローニーフイルムでは巻き取ったフイルムが手から滑り落ちて、「お代官様、おたわむれを..」状況になったりして、記録を失うことがあります。ただ、フイルムカメラの被害は限定的で、また原因があきらかに自分のミスにあるので諦めがつきます。

しかし、デジタルの場合は被害があまりにも大きく、また原因も解らないので「何でなんだよぉー」「どうしてしまったんだよぉー」と悲しい思いと、やり場の無い憤りに襲われます。

写真はデータが壊れる前に唯一JPEGに変換していた写真。この後の撮影で全てのデータが壊れました。これだけ残ってもねぇー的な一枚なのですが、記念に。ちなみにバラはスターリングシルバーと言います。

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2006年11月 4日 (土)

ルクリアという名が好き、アッサムニオイザクラも悪くないけど

Lukuria2_w Camera : Rolleiflex SL66SE, Lens : Kinoptik Paris 100mm F2, Film : RAPF

毎年、秋になると「アッサムニオイザクラ」という名前の花が鉢花で出回ります。これは、インドのアッサム地方にも自生するルクリアという植物の和名です。とても上品で爽やかな感じのする香りの花を咲かせるので、園芸店でこの鉢花が出回ると、漂う香りで解ります。私もこの花の香りを園芸店で感じると秋の深まりを感じるようになりました。

ところで、この花は3月頃また出回ります。秋に咲いた花を切り戻して暖かなところで育てれば、3月頃また開花するのです。3月に出回るものは秋の売れ残りをまた開花させたものかもしれません。

商業園芸の世界は、先んじて開花株を市場に送り出すように仕向けられているので、アッサムニオイザクラも店頭に出回る株は、薬品で矮化処理され、早い時期から短日環境で育てられているので、秋の開花は作られたものなのです。だから秋の開花の枝を剪定すると、冷涼で日当たりの良い環境で新芽を伸ばし、充実した新芽に日照時間が12時間以内なら花芽が分化されるという普通のリズムでもう一度開花するという訳なのです。

ところで、2年目からはどうかというと、矮化処理が外れるので徒長しやすくなるのを抑え、初夏に剪定、水遣りに注意して、秋口にはダンボール箱をかぶせ短日処理をすると何とか開花すると思います。ただ、夏が蒸し暑く残暑も厳しいところでは、かなり困難な作業になるでしょう。

人によっては、人工的な矮化と開花に反感を持つ人がいるかも知れません、しかし、この花は日本で普通に観賞される為にこれだけの手間が必要なのです。ただ、この花はその手間を正当化する魅力を持っています。

私は特にこの花の蕾が好きで、花が開いてしまう度、少し残念な気持ちになるほどです。また、ルクリアという名前の響きはこの丸く愛らしい蕾に似合う名前と信じております。だから、丸い蕾を沢山つけた鉢花が手ごろな値段で売られていると、「か、カワイイ」と理性を奪われ、買って帰らずには居られないのです。

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2006年11月 1日 (水)

オシロイバナは身近だけれど素晴らしい花

Img_0145_w Camera : Canon5D, Lens : EF24-105 F4L

あまり馴染みの無い花が続いたので、身近な花について記事を書いてみようと思います。身近の花はオシロイバナ。盛夏から晩秋まで花を咲かせております。

本来この花が評価される時期は盛夏ではないかと思います。というのは花が少ない時期に毎日花を咲かせるし、蒸し暑い夜を良い香りで慰めてくれます。私はオシロイバナの香りについて感心するのは、盛夏の蒸し暑い夜に、まったく嫌味のない香りであることです。蒸し暑い真夏の夜には、例え良い香りでも、強かったり、バランスが悪かったりすると嫌味を感じたりうっとうしさを感じたりします。それが、オシロイバナの香りはすんなり受け入れることができるのです。

この花が日本にやってきたのは、江戸時代の初期の頃でしょうか、何かの本で江戸の庶民は縁台の側にこの花を植えて暑気払いをしたと書いてあったと思います。この花のはんなりとした柔らかい香りが夏の夜の不快さを和らげるのだと思います。

もしかしたら、子供の頃種をつぶしておしろいのような粉を出して遊んだ情景が、この花の香りとともに浮かんで、気分を静めるのかもしれません。この花は子供の遊びで種をとられても、十分なくらい沢山の花を咲かせ、種を作ります。

ところで、種苗店でオシロイバナの種を買えばおそらく混合と書かれていることでしょう。この花は種で増殖されるために、花色を固定して販売できないのです。最近は絞りが入った花の種もありますが、どのような絞り模様の花がどの花色をベースにして咲くか、種が保証するものではありません。

もし、この場所にこの色のオシロイバナが欲しいと思えば、種を買ってプランターに撒き、育てて花を咲かせ、好みの色の花の茎をマークし、冬になり地上部が枯れたら掘りあげれば、球根のような芋のような根塊ができていますから、それを所定の場所に植えれば、その根塊から昨年よりも丈夫な芽がでてきます。根塊が庭では越冬できない地域に住んでいる人は、鉢にいれて室内で保護して、春に庭に戻せばよいのです。

実は、私のうちにオシロイバナはありません、近所の道路端に沢山咲いているので、それを楽しんでいるのです。道端のオシロイバナで楽しませてもらうからには花色の好みは申しません。

しかし、ご近所にピンクの絞りのオシロイバナが群生していた家があって、通るたびに羨ましいと思っておりました。その家が建替えのために取り壊され、整地されて行く様子を眺めて、根塊がー、根塊がぁー、コンカイがあああぁ、と寂しく、心の中で叫んだことを思い出します。

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