キンモクセイにまつわる後悔とささやかな思い出
Camera : Pentax 645, Lens : Tele Tessar 350mm F4, Film : RAPF
キンモクセイに対してはお詫びしなければならないことがあります。それはかつてトイレの芳香剤に「キンモクセイの香り」というものを使ってしまった事です。もちろん、「キンモクセイの香り」を選んだのは他のものと比べて香りが良いと思ったからなのですが、これは私にとって生涯悔やまれる過ちだったと思います。
芳香剤の「キンモクセイの香り」と本物のキンモクセイの花の香りは全然違います、しかし、全然違うくせに似ているのです。
トイレの芳香剤にキンモクセイの花と似た香りを選んだ罰は、自分の感覚を狂わせるという形で私に与えられました。キンモクセイの花の香りを素直に堪能出来なくなってしまっていたのです。キンモクセイの花の香りは、お茶にもお酒にも移される、食に関する嗜好品のフレーバーとして素晴らしいものであるにも関わらず、芳香剤の香りを連想してしまうのです。
考えてみれば、至極当たり前の事で、キンモクセイの生花の香りを楽しめるのは一年のうち秋の数日間だけ、それに反して芳香剤の香りには四六時中、季節感も無しに接する訳で、感覚が麻痺し、置き換わるのは当たり前の事なのです。
ただ、私の場合は少し事情が別なのかもしれません。北国から東京に出てきて一人暮らしをはじめ、そこで初めて出会った秋の香りに感動して、それに似た香りをトイレに置いた。狭いアパートの事で、その香りが部屋中に充満し、自分に染み付いた。私が連想するのは、トイレの匂いでもなんでもなく、その頃の寂しい自分の姿なのでしょう。
今は、横浜に住みつき、秋にはこの花の香りが漂うことに慣れました。太陽の光を浴びて輝くこの花が好きで、雨に打たれてアスファルトにオレンジの模様を描く姿も新鮮でしたが慣れました。それでも、たまにこの花の香りが漂うと、何ともいえない望郷と焦燥感を感じるのは、花の香りが芳香剤の香りを連想させ、それがトリガーとなって昔の事を思い出す為でしょうか。
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コメント
このキンモクセイも子どもが小さい頃植えた日本の苗木が3m程になり、秋になると香りを楽しませてくれます。
そうそう、ジンジャーはオレンジですので、
植える時期が分かれば地下茎ですのでいつでも分けられますよ。
投稿: staka | 2006年10月22日 (日) 08時15分
ジンジャーの写真を一枚アップしました。
投稿: staka | 2006年10月22日 (日) 09時17分
Staka さん
Blogの写真拝見しました。オレンジ色のジンジャー、別名ニクイロシュクシャが綺麗です。
実は、さっき近くの公園に私も見に行って写真を撮ってきました。近くにある白のコロナリウムはほとんど花が終わっていましたが、ニクイロシュクシャはこれから咲くものもありそうで、花期が長そうです。花も白よりしっかりして、香りも白ほど強くないものの、フルーティな感じがあり、良いですね。
デジカメにLeitzのプロジェクター用Hektor200mmをつけてふらふら散歩に出たので、せっかく綺麗に咲いていたニクイロシュクシャも怪しい記録になってしまいましたが。
投稿: kk | 2006年10月22日 (日) 13時00分
うちのジンジャーがニクイロジンジャーという事をはじめて知りました。シロと一緒に植えて、1~2年はどちらも咲いて、この2~3年はシロしか咲かなかったので、絶えてしまったと思っていました。花びらも細く観賞価値はシロのほうが勝っているからまあいいかと思っていたのですが、今年はシロぐらい立派な花が咲き、母親と驚いていたのですが、肥料と関係があるのでしょうか?
金木犀が終わると銀木犀、柊へと香る花がバトンタッチしていきますね
投稿: こう | 2006年10月22日 (日) 21時52分
ウチにあったジンジャーより公園のジンジャーの方が立派な花をつけていました。
絶対に違うのが日当たりの良さ。この花はひょっとしてかなりの日光を必要とするのではないでしょうか。
すぐ近くの公園にたくさん植栽されているので、自分の庭にはもういらないと思っていましたが、持っている人の話を聞くと、やはり羨ましいものがあります。
投稿: kk | 2006年10月23日 (月) 23時23分
そうですね、日当りが良いと葉がかなり大きくなり大きい程花も立派なようです。
増え過ぎた為に少し減らしても数年で元に戻ってしまいます。
私のところは、ハーブがメインなので、あまり増えすぎると困ってしまうのです。
投稿: staka | 2006年10月23日 (月) 23時36分