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2006年10月30日 (月)

スピノスム、Fiddlewood、Citharexylum spinosumがやって来た

Img_9671_w Camera : Canon5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEG

最近、スピノスムという名前の木が家にやってきました。英語ではFiddlewood学名ではCitharexylum spinosumと言います。

私は残念ながらハワイには行ったことが無いのですが、そこでは20年前くらいから植栽されて、大木に育っている木が何本もあるそうです。ハワイに行ったことがある人なら、Fiddlewood(バイオリンの木)と言えば思い当たる木があるかも知れません。

Fiddlewoodという名前は、この木の原産地であるカリブ海の島々に住む人がこの木で楽器を作ることからきており、また学名も同じような意味のギリシャ語に由来するようです。

面白いのは、私の家に来たスピノスムを見るかぎりそんな大木になるようには思えません、小さな木の割に盛んに花を咲かせるからです。その姿だけを見るとブッシュに枝分かれし、少し枝が成長すると花を付ける木に見えるのです。

実際、この木の紹介にも大木とブッシュの両方の姿を紹介しております。私が思うに、熱帯の条件のもとではじめて大木になる木なのではないかと思います。

もっとも、これは私の勝手な解釈かも知れません、私としてはこの木を鉢植えで育てるしかなく、なるべく冬越を簡単に済ませ、小さな木で花を楽しみたいのです。だから温度が足りない地方では大木にならずに、代わりに多くの開花を促す方向に適応してくれると嬉しいのです。

今のところ、望み通りの生育をしています、現在も花を咲かせており、ゲッキツと似たような青っぽく強い香りを漂わせております。この花は昼も香りが強く、また花穂の根元から先に向かって開花が進むので花期も長く、お得感があります。

これから先長くお付き合いをして行きたいので、最初に無理に開花してくれなくとも良いのですが、とにかく資料が少ないので花穂を切ったりしないで、この木が咲かせたいようにに花を咲かせて、私も楽しんでおります。

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2006年10月28日 (土)

Hektor三兄弟  200/2.5, 250/2.8, 300/2.8

Img_5784_w 私がここで言うHektor三兄弟というのは、LeitZが以前作っていた中判用のプロジェクターレンズのことなのですが、これらが実際に兄弟のように一緒に暮らしていたかというと、そんな事はなかったのではないかと思います。
 同じ工場で生産されても、現役のプロジェクターレンズとして働いていた頃はお互いが出会うことなく、引退してアルミのマウントを外されてから、極東の園芸植物ファンの自宅でたまたま再会を果たしたのだと思います。

私がこれらのレンズを買った時はマウントがついていて、そのマウントからするとこれらのレンズはLeitz Prado 66、http://www.kameramuseum.de/projektoren/leitz/leitz-prado66.html で使われていたものと思います。ただ、このプロジェクターの標準レンズはHektor150mmF2.5ですから、この3兄弟はいずれも望遠投射用の交換レンズで、そのなかでも300mmにいたっては超マイナーなレンズだったのでは無いでしょうか。

今これらのレンズは、機会さえあれば安く手に入れることが出来ます。というのは普通プロジェクター用レンズは、専用コンデンサーレンズ、フォーカシングマウント、投射レンズの3点セットではじめて実用になるので、レンズ本体だけでは「使えないコ」なのです。なので、コンデンサーが逝かれた投射用レンズが安く手に入るという訳です。ただ絶対数は少ないので機会にめぐまれることが必要です。

実は、私を含めて今日これらのレンズを買おうとする人はスライドプロジェクター用の望遠投射用レンズとしてはなく、このレンズを使って写真を撮りたい人でしょう。200mmで6x7、250mm以上で4x5を楽にカバーします。

フイルムのサイズが大きくなるにしたがって、フイルムの平面性維持の問題も発生することもあり、レンズは通常絞って使うことになりますが、たまーに大きなフイルムのほとんどのエリアをアウトフォーカスにして、一点だけ合焦した写真を撮りたいなんて時もあるので、そんな時はこれらのレンズの出番です。

ちなみにHektor300mmF2.8の4x5での作例は拙Blogの「シノゴでサンニッパー」http://hanano-kaori.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_aaa7.htmlをご覧ください。

Img_5780_w これらのレンズは重く、用途が特殊な効果を狙ったものに限られるので使う機会もあまりありませんが、200mmなら、デジカメにつけて遊んでみようかなという気になります。部品取りした残骸のペンタックス67の接写リング3番にパーマセルで留めてヘリコイド接写リングをつけ、無限遠を調整する為1番の接写リングをさらに加えます。この状態でペンタックス67でも問題なく使えますが、ペンタックス67からペンタックス645さらにEOSへとコンバートして、デジカメのEOS5Dで簡単に遊べます。

Img_5770_w 個人的な思い込みでLeitzのレンズには、郷愁をさそるような絵が似合うと信じているので、手前のアクセントに焦点を合わせ、主題をボケで表現するような写真にはぴったりだと思います。そんな写真を撮りに田舎に行きたいのですが、チャンスが無くて、、近くの公園でボケをテストした作例を貼っておきます。

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2006年10月26日 (木)

アグライア、樹蘭、Chinese perfume tree、Agraia Odorataの情報を少し

Img_9968_w Camera : canon 5D, Lens : Zuiko 21mmF2,

写真の花は、アグライア、ジュラン(樹蘭)、Chinese perfume tree, Chinese rice flowerとか呼ばれますが、学名ではAglaia odorataといい中国南部からインドシナ方面に自生する樹木です。成長は遅いものの原産地では4,5mに達する木だそうです。

この木はあまりポピュラーな木ではないのですが、私は観葉植物の売り場で、Odorataという名前に反応して買いました。Odorataという名前は香りが良いことを表す学名で、この名前がついている以上、何か良い香りの部分があるはずです。

それは、数ヵ月後に現れました。観葉植物は無数の蕾をつけ、黄色に色づき、ネーブルオレンジに似た香りを発散し始めたのです。小さな小花は開かないで閉じたまま落花してゆくのですが、花全体から香りが発散されるようです。
また、一つ一つの花は小さいものの、大量の花が開花するので、部屋中、少し甘く、何となく爽やかで落ち着いた香りが漂ってくるのです。

この花は、不定期に年に数回開花します。おそらく新しい葉が何枚か展開したら花芽が作られるという周期を繰り返しているのではないかと思います。そのサイクルが木の全体でおこりますので、年に数回、木が花で覆われるように開花します。

黄色い花は数日で落花しますが、香りは維持します。一つ一つの花が小さいので、苦労しますが集めてみると良い香りが持続しているのが解ります。中国や、台湾ではこの花をジャスミンのようにお茶に入れて飲み、「六安茶」といいます。ジャスミン茶やキンモクセイの桂花茶とはまた違って、花の香りがトップに来ないで、下地になっているようなコシの強いお茶です。もっとも、私が飲んだ物は、横浜の中華街で特別六安茶というものでしたから、プアール茶に香りを移した「六安茶」とは少し違うのかもしれません。

また、東南アジアでは薬用にも用いているようですが、もちろん私は試していません。エッセンシャルオイルも作られているそうなのですが、これも私は試していません。

育て方はいたって簡単、冬を暖かくしてあげれば良いだけです。夏の間外にほうっておいても、虫もつかず病気にもなりません。これも私の宝物のうちの一つで、冬、室内で保護している時に開花した時など、花の香りが漂ってくると、幸せな気分になります。

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2006年10月24日 (火)

オーガスティンギュノッソに関するちょっとした出来事

Augustineguinoisseau_w Camera : Pentax 645, Lens : Avenon Macro 100mm F2.8, Fillm: EPR

私はオーガスティンギュノッソ(Augustine Guinoisseau)を京阪園芸から通販で買ったのですが、最初に届いた花は全く別物。タッグを間違ってつけてしまったようです。

花を確認して全く違う花であることを確認し苦情を申し上げたところ、「バラに詳しいモンに変わる」ということで、バラに詳しいモンと電話でお話をしました。

「花びらが白くないのですか」「はい、深いローズピンクの花です」「あれは、ラ フランスというバラの枝変わりなのでたまに先祖がえりをすることがあるのですよ」「ラ フランスなら私も育てているので解ります、そんな程度でなく、花弁が厚い、深いローズピンクの花でした」。

お詫びと代品を送ってくれることは早々と申し出てくれ、話の大半は謎の間違いバラの名前あてっこにあてられました。とても興味深い話を聞くことが出来、楽しい時間をすごすことが出来たので、また間違いが来ないかなぁ、と待ってみてもそのようなタッグのミスはそのお店ではもうありませんでした。

後で、解ったことですが、その店には有名なバラのTVチャンピオンが勤務していて、店の人も自信と誇りを持って、詳しいモンに変わっていたようです。

このバラは会話の中にも出てきたように、ラ フランスの枝変わりなのですが、ラ フランスは現代バラの主流をなす、ハイブリッド ティローズの第一号のバラで、当時の人がバラの改良にみた夢がまさしく凝縮しているものです。

そんなバラが新たな贈り物をもらった結果が、白の花への枝変わりで、花弁の2種類のピンクが薄く退色し、白に近くなった花を咲かせる枝が現れ、ホワイト ラ フランスまたはオーガスティン ギュノッソと呼ばれるバラになりました。

この枝変わりはより魅力的な変化だと私は思います。白に近い薄ピンクの濃淡で色分けされた花弁は、このバラをこの上なく上品に演出します。とても素晴らしい香りを持つバラですが、もし香りが無くとも、このバラの魅力に影響するものではなかったと思うくらいです。

PS)相変わらず、変な撮影データですが、Pentax645のカメラにライカMマウントのレンズを取り付けるアダプターとCanonFDマウントのレンズを取り付けるアダプターを持っておりまして、ほとんど全てのレンズをPentax645で使うことが出来るのです。もちろん無限遠は来ませんけど。

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2006年10月22日 (日)

キンモクセイにまつわる後悔とささやかな思い出

Osmanthus_w Camera : Pentax 645, Lens : Tele Tessar 350mm F4, Film : RAPF

キンモクセイに対してはお詫びしなければならないことがあります。それはかつてトイレの芳香剤に「キンモクセイの香り」というものを使ってしまった事です。もちろん、「キンモクセイの香り」を選んだのは他のものと比べて香りが良いと思ったからなのですが、これは私にとって生涯悔やまれる過ちだったと思います。

芳香剤の「キンモクセイの香り」と本物のキンモクセイの花の香りは全然違います、しかし、全然違うくせに似ているのです。

トイレの芳香剤にキンモクセイの花と似た香りを選んだ罰は、自分の感覚を狂わせるという形で私に与えられました。キンモクセイの花の香りを素直に堪能出来なくなってしまっていたのです。キンモクセイの花の香りは、お茶にもお酒にも移される、食に関する嗜好品のフレーバーとして素晴らしいものであるにも関わらず、芳香剤の香りを連想してしまうのです。

考えてみれば、至極当たり前の事で、キンモクセイの生花の香りを楽しめるのは一年のうち秋の数日間だけ、それに反して芳香剤の香りには四六時中、季節感も無しに接する訳で、感覚が麻痺し、置き換わるのは当たり前の事なのです。

ただ、私の場合は少し事情が別なのかもしれません。北国から東京に出てきて一人暮らしをはじめ、そこで初めて出会った秋の香りに感動して、それに似た香りをトイレに置いた。狭いアパートの事で、その香りが部屋中に充満し、自分に染み付いた。私が連想するのは、トイレの匂いでもなんでもなく、その頃の寂しい自分の姿なのでしょう。

今は、横浜に住みつき、秋にはこの花の香りが漂うことに慣れました。太陽の光を浴びて輝くこの花が好きで、雨に打たれてアスファルトにオレンジの模様を描く姿も新鮮でしたが慣れました。それでも、たまにこの花の香りが漂うと、何ともいえない望郷と焦燥感を感じるのは、花の香りが芳香剤の香りを連想させ、それがトリガーとなって昔の事を思い出す為でしょうか。

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2006年10月21日 (土)

チョウセンアサガオに誤解も多いが、毒があるのは同じ事

Img_0082_w Camera : Canon 5D, Lens : Zuiko 21mm F2

まず、表題の写真の花はDatura meteloides、アメリカチョウセンアサガオと言います。日本名のチョウセンアサガオは外来のアサガオに似た花くらいの意味で、これを使った植物名にはチョウセンアサガオ、ヨウシュチョウセンアサガオ、ヤエチョウセンアサガオ、コダチチョウセンアサガオ等があります。

このうち、チョウセンアサガオDatura metelは華岡青洲が麻酔に使用したことで有名で、この植物群の代表のように使われますが、実際のには栽培が難しく、園芸的に見つけることは困難で、確実に花をみる為には、薬用植物がある植物園に行く必要があります。

ヨウシュチョウセンアサガオDatura tatulaはチョウセンアサガオによく似ていて、園芸的にまた雑草としてよく見かけますので、この花をチョウセンアサガオと思われる方もいると思いますが、違う植物です。しかし、花は何か清楚な感じがして、私は好きな花です。

ヤエチョウセンアサガオDatura fastuosaは園芸店でよく「ダチュラ何とか」例えば紫色の花ならば「ダチュラ パープルクイーン」と言う名前で売られる植物で、少し甘く、くどい感じの香りがあります。

コダチチョウセンアサガオ Brugmansiaはいわゆるエンゼルトランペットのことですが、この植物は、そもそもが別物でダチュラ属では無いので、後日また別表題で記事を書きます。

そして、アメリカチョウセンアサガオです。実はこの花が日本におけるダチュラの中心勢力ではないでしょうか、表題の写真も雑草化したものです。花は夕方から咲き始め、甘く、爽やかな感じもする、しかしザラザラとした香りがします。エンゼルトランペットと似た感じの香りです。開花シーズンも似ていて夏から咲き、盛夏は休みまた初秋から晩秋まで咲きます。香りは良いのですが、一種の胸苦しさがあり、夏よりは秋に合う香りだと思います。

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2006年10月17日 (火)

ジンジャーリリーの花は純白に美しく香る

Ginger Camera : Rolleiflex SL66, Lens : Kinoptik Paris 100mm F2, Film : RVP

旅先でジンジャーリリー(ジンジャー)の切花を楽しんでいたのに乗じて、ジンジャーリリーの話を少し。一般的にはジンジャーと呼ばれる花ですが、食物の生姜とは違う植物なので、ショウガ科ヘディキウム属のこの花を、別名の一つであるジンジャーリリーとここで呼びます。

前に住んでいた古い家の片隅にはミョウガが生えていて、シーズンには親戚の人がそれを採りに来ていました。私は出来ればその場所に花を植えたかったのですが、親戚がミョウガを楽しみにしているので、ミョウガを切る訳にはゆかず、仕方が無いとあきらめておりました。

ところが、ジンジャーリリーの球根が売られているのを見つけ、大喜びで、ミョウガの群の中に埋めました。

こうして、ジンジャーリリーは弱小の時にはミョウガに隠れ、やがてめきめきと成長しミョウガを押しのけ立派な花を咲かせて見せたのでした。

花が咲いてしまえば、美しい花だし、爽やかで素晴らしい香りもあるので、この「風変わりなミョウガ」は誰からも大切にされ、市民権を得たのでした。

もちろん、この花とミョウガの花は間違えようが無いのですが、ジンジャーリリーの花も食べることが出来ます。少し辛みがあるのですが、あの爽やかな香りがつーんと鼻を通ります。砂糖漬けか梅酒のようにジンジャー酒ができるかも知れません。

花は短日性なので横浜では9月がピークですが、ベトナムでは今がシーズンでした。またこちらの花は切花にすると水揚げが今ひとつなような気がしていたのですが、ベトナムでは充分水を吸い上げ立派な花を見せてくれました。ダイナミックに根元から切花にすることがコツなのかも知れません。

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2006年10月15日 (日)

ベトナムの香りの良い花、ほんの一部ですが

先週、ココログのタイマー機能を使って、記事を一つアップデートしたものの、私自身は仕事でベトナムに行っておりました。

記事を書く気力が無いので、現地で仕事の合間に見つけた香りの良い花の写真と、こんな名前かなーという程度の精度で名前をあげてみます。どーしても解らないものもあるので、どなたか解る方がおれば、教えていただければ幸いです。

現地は、オートバイの排気ガスで空気が悪く、また、ホテルの近くの湖も水質が悪く悪臭もまじっていたので、花の香りの印象も影響受けています。

すべての写真で、カメラはCanon20D、レンズはEF24-105mmF4Lです。

Img_5636_w 1.ホテルの客室でジンジャーの花。ホテルの周りに花売りが沢山いたので、散歩の途中で買い求め、部屋に連れ込んでは、プラスティックのゴミ箱に活けていた、悪質な客。

Img_5750_w 2.ホテルの近くは高級住宅地の様相で、BMW750が留まる門の外には、キバナキョウチクトウが植えられておりました。キャラメルのような甘さがちょっと混じる良い香りです。

Img_5676_w 3.おなじみのプリメイラ。やはりこの花はお寺によく合います。非常に大きな木に成長していて、良い香りを漂わせます。この香りがすると、不思議に、頭がスッキリします。

Img_5652_w 4.おそらく、Fragrant ixoraというサンダンカの仲間の花だと思います。こちらもお寺にありましたが、スタージャスミンのような香りでした。

Img_5621_w 5.この植物の名前は解りません、民家の庭に植えられていたのですが、いずれマメ科の植物で白い花はスイートピーを少し酸っぱくしたような香りでした。花後に大きな鞘ができますが用途は不明です。

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2006年10月12日 (木)

アマゾンリリーは花嫁の花

Img_0003_w Camera : Canon 5D, Lens :Macro Planar 100mm F2.8 AEG

花嫁が手に持つブーケにはいろいろな花が考えられますが、アマゾンリリーは外せない、と私は思います。

それは、純白の花びらと中央に入る緑のアクセントがとても新鮮で初々しい、この花の姿からなのですが、花言葉も「清らかな心」だそうで、まさしく花嫁の花にふさわしいのではないでしょうか。

アマゾンリリーという名前は英語での呼び名からきているのですが、正式にはユーチャリスといいます。

私は長い間この花のこの名前には違和感を覚えていました、花嫁が持つ初々しい花に、アマゾンは少し強すぎる名前に覚えたためです。

それは、おそらく、「アマゾン」に「アマゾネス」を連想したためでしょう。

子孫を残す為に一時的に男を必要とし、用が済めば邪魔者として始末してしまうという、伝説のアマゾネス。一度、連想してしまうとイメージが先行して、アマゾンリリーを持った花嫁が不気味に笑っているようにも思えてきます。

しかし、それはある意味で当たっているかも知れません、花嫁はどうしたって、強く、たくましく、厳しく、辛らつに育ってゆくのですから。

そういえば、この花もとても良い香りがあるのですが、その香りはミルキーで少しバニラが入っているような甘い香りに、ブラックペッパーの香りを入れる事を忘れていません。

耐寒性が無いので、冬は保護してあげる必要がありますが、花が無い時も観葉植物として楽しめます。ただ、葉は大きく場所をとるのでそれなりの覚悟は必要です。

私も一度育てましたが、鉢が小さかったせいか、年に一度の開花にこぎつけるのが精一杯で、地植えに挑戦してみたものの、やはり枯れてしまいました。

切花では、ブライダルブーケ用に周年市場に出ており、また周期的に手ごろな価格で切花を手に入れることが出来ます。切花でも日持ちが良い方なので、私はもっぱらこの花は切花で楽しんでおります。

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2006年10月 9日 (月)

キヤノンが作った中判カメラ

Img_0036_w 写真のカメラは、X-Ray Canon CX-60、レンズはR-Serenar 100mm F1.5と言います。キヤノンが作った6x6のブローニーカメラです。

このカメラについて、現在情報は無いのですが、X線のCRTを撮影する目的で、キヤノンが作ったカメラとレンズだと思われます。もともとキヤノンは、X線の間接撮影用のカメラを精機光学工業の時代から作っていたのですが、カメラの名前がCanon Camera Co. Ltd、レンズの名前がR-Serenarであることを考えると、キヤノンに会社名を変えた1947年からレンズ名をキャノンに統一した1953年の間に製作されたものでしょうか。

使い方は、120のフイルムを入れてスタートマークを合わせ、巻き上げダイヤルを回すと一枚目で止まります。一枚目を撮影して、ロックを解除し、またダイヤルを回すと2枚目で止まります。カメラ側はちょうど、フイルムホルダーと同じ構造です。

違いは、真中に遮光板があり、これを引き下げて撮影します。遮光版は抜き去ることが出来ない構造になっていて、撮影時には下げ、それ以外は上げておきます。私のカメラはこの遮光版がさびていて、下げることが出来なくなっていました。

Img_0030_w カメラのほかに見える装置は、ピントを調節する装置です。カメラと同じレンズマウントがついていて、同じフランジ位置にスクリーンを差し込むようになっています。

思うに、このカメラは巨大で重いレンズを使うため、レンズ側を固定して、スクリーンを取り付け、レンズの90mmまで繰り出せるヘリコイドを使ってピントを合わせ、スクリーンをカメラに取替え、遮光版を移動させ、撮影すると言った手順で撮影が行われていたのではないでしょうか。

このピント確認装置にトレーシングペーパーを差し込んで、ピントを確認してみましたが、思ったとおり、ヘリコイドを最短にしても無限遠は来ません、トレーシングペーパーをもっとレンズに近づけると、まばゆいばかりの遠景が結像するのですが、残念ながらその時にイメージサークルは6x6をカバーしていません。

R-Serenarレンズは、とにかく巨大で重く、EOSマウントを貼り付けても、EOS5Dのペンタプリズムにぶつかって装着出来ないくらいです。

このカメラはシャッターが無いので、通常の撮影は出来ないのですが、何とかしてこのレンズを6x6で撮影してあげたくていろいろ考えた挙句、結局Pentacon Sixが最適という結論になりました。

以下がその理由。

1/1000までのフォーカルプレンシャッターを持っている。一眼レフなのでピントの確認が容易。レンズマウントの周りに余計な出っ張りがなく、レンズをマウントし易い。フランジバックが比較的短い。

Serenar_w こうして考えると、Pentacon Sixってすごいカメラなんですね。そして、左の写真がPentacon Sixを使って撮った写真です。シャッター速度は1/500、フイルムはRDP3.。このレンズが生まれて初めて目にした生の花だったのかも知れません。

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2006年10月 7日 (土)

ベラドンナリリーはセレブなご令嬢

Img_0008_w Camera : Canon5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEG (2枚目も)

秋風が吹き始めると、それまで休眠させていたベラドンナリリーの鉢に水をやり、来る日も来る日もじーっと見つめる、そんな日が続きます。

花芽が出てくるか、葉が出てくるか緊張が走ります。でも花芽が出る時は、そんなに待たずに出てくるので、ずーっと音沙汰が無い時は、悪い知らせであるのでしょう。やがて、葉が展開してきて、今年もやはり開花は拝めなかったことを確認させます。

ベラドンナリリーはホンアマリリスとも呼ばれる球根植物なのですが、秋口に茎を伸ばして開花し、開花が終了した後に葉が展開し、翌年の初夏まで成長し休眠に入るサイクルを持っております。

ホンアマリリスというのは本当のアマリリスの意味で、春に咲くヒペアストラムが一般にアマリリスと呼ばれて久しい為、それと区別する呼び名です。本来のアマリリスなのだから、正々堂々とアマリリスを名乗ってもよさそうなのですが、この植物はベラドンナリリーという美しい別名をもっているので、この呼び名が一般的になっております。

Img_0023_w 花はピンクのものが一般的ですが、白花の選抜種もあります。とくに白花は蕾の薄緑と開花中の白、咲き終わりにピンクに変色してゆく姿が同時に展開して何とも美しく開花がすすみます。

花の香りは高級石鹸のような調合された感じの香りで、きりっとして上品です。この香りは結構強く、確実にベラドンナリリーの花が咲いていることを香りで告げます。

花の容姿も香りも高級感が漂います。こうしてみると、気安く咲かない性質も、花の価値を高めるものに思えてきます。

この花は、他の属との交配を行ったり、開花しやすい性質の個体を選抜して来たりして、開花しにくい欠点を克服する努力が進められてきました。個人的には、気難しく気高い花のままでも良い、と思うのですが。

Img_0020_w Camera : Canon 5D, Lens : SMC pentax 67 soft 120mm F3.5 (おきて破りのベラドンナリリーの花束)

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2006年10月 5日 (木)

マダガスカルジャスミンへの憧れの思い出

Img_9680_w Camera : Canon5D , Lens : Pentax 67 softfocus 120mm F3.5

何とかジャスミンという名前の植物は沢山ありますが、その中で最も本当のジャスミンだと思われている偽者ナンバーワンはマダガスカルジャスミンでしょう。

偽者と書きましたが、マダガスカルジャスミンはジャスミンの偽者になるつもりは全く無く、マダガスカル原産のステファノティスを人間が勝手にそう呼んでいるだけです。

そのような植物がたくさんある中で、このマダガスカルジャスミンがジャスミンだと思われるナンバーワンとなるには、何らかの理由があることでしょう。

実は、私もジャスミンという植物はマダガスカルジャスミンだと思っていました。北国に住む園芸植物趣味の少年にとっては、行灯仕立てで洋風のリビングに飾られるマダガスカルジャスミンは、高級、ハイソサイティ、上流、偉そうなものの象徴で、雑誌にそのような写真をみつける度に、いいなぁーなんて思っていたのでした。

何も先入観が無い状況で、普通に見れば、マダガスカルジャスミンはとても優雅な植物で、行灯仕立ての鉢植えは美しいものなのです。そして、室内に飾られるその行灯仕立ての白い花はかぐわしい甘い香りをあたりに漂わせているのです。

その香りは、ジャスミンと比べると強すぎない分上品であります。ロウ質の白い花に相応しく、香りにしっとり感があり、インテリアの一部として捉えれば、リビングにとって最適のパートナーになるでしょう。

こんな高級感とジャスミンの名前を一部に持つことで、本家を凌ぐほどよりジャスミンらしい植物になっていったのではないでしょうか。

ところで、表題の写真はつい最近撮ったものです。マダガスカルジャスミンは長日植物なので、電照栽培された鉢花が春先に出回り、夏には自然開花のものが出回ります。それが売れ残り、枯れかかって捨て値で置かれているものを購入して手当てしてあげると、また蔓を伸ばし、日に当たり、花芽が分化して9月でも開花するのです。手当てといっても水をあげて、自由気ままに蔓を伸ばしているだけ、つまり放置しているだけなのですが。

そして、越冬させずに、また花を見たければ来年の夏にホームセンターの処分品を物色するのでしょう。かつてあれほど憧れた植物に対して失礼なのですが、春よりも夏の終わりに、私はこの花を見たいのです。冬の置き場を苦労して探すより、新しく処分品を買うほうが、効率が良いのです。本当に失礼な話なのですが。

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2006年10月 3日 (火)

パパメイアンは黒バラ三兄弟の長男、香りも重く実直。

Papameilland_w Camera : Rolleiflex SL66SE, Lens *kinoptik Paris 100mm F2, Film : RVP

パパメイアン(Papa Meilland)は、バラの香りを愛する人にとって欠かす事ができない品種です。

表題の写真はフイルムがRVPなので、赤が強く出すぎて本来の黒赤がよく表現されていないのですが、ビロードの花びらの質感はまずまずです。黒赤のバラの花色を表現するにはRAPFやEPNのような色を強調しないフイルムを使う必要がありますね。

もっとも、この花も夏の終わりの花なので、パパメイアンの花の中では赤みが強く、平咲きのような様相で咲いています。

パパメイアンは同じ木の花でも、咲く時期によって変化が激しく、花色では、気温が高いと赤く、低いと黒っぽい花になります。また気温が高ければ蕾から開花までの時間が短く平咲きのような花になり、じっくり蕾が養分を溜め込めれば立派な整形花となります。

花の香りは、黒バラに相応しく濃いダマスクの香りです。パパメイアンのダマスク香は同じ黒バラのダマスク香に比べて重く、少しウエットな潤いがあるように感じられます。

このバラはクライスラーインペリアルhttp://hanano-kaori.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_1de5.htmlを母に、シャルルマルランを父に持つ黒バラ三兄弟の長男で、ミスターリンカーン、オクラホマの兄にあたります。この一家は誰もが、素晴らしいダマスク香を持っているのですが、みんな微妙に香りの印象が異なるので、比べてみるのも楽しいかも知れません。

この中で、ミスターリンカーンが横に広がる感じ、オクラホマが自由奔放な感じなのに対し、パパメイアンが重く実直な感じなのは、やはり三兄弟の長男だからでしょうか。

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2006年10月 1日 (日)

秋の夜長には、月の光と虫の音、そしてゲッキツの香り

Gekkitsu_w Camera : Pentax 645, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEJ, Film : RVP (MP100は645を楽勝でカバーします)

別に開花期は決まってないけれど、この季節にはこの花が欲しいといった、理想の組み合わせに、秋に咲くゲッキツの花があります。

この花の開花期は6月から9月と幅広いので、何時咲いてもおかしくないのですが、出来れば秋のお彼岸過ぎに咲いて欲しい花です。

残念ながら、私の鉢花は今年は開花が早く、夏には咲き終わってしまいました。暑いところに置いていた為かも知れません。

何故、この花は秋が良いかというと、この花の香りが秋の夜にとても良く似合うからです。青っぽい柑橘系の香りです。ゲッキツという名前も漢字で書くと月橘で、月夜の晩に柑橘系の香りを発することにちなんでつけられています。またの名を九里香と言うのは、その香りが強く、遠くまで届くことからです。

実際、月夜の晩に虫の音を聞きながら、月光に輝く照葉とそのなかから星のように浮き出る白い花を愛で、ひんやりとした夜露に青い柑橘の香りが漂う様は優雅で、贅沢な気分にさせてくれます。

沖縄では生垣に出来るということですから、ゲッキツが咲く月夜は素敵なことでしょう。生垣は無理でも鉢植えにすれば、美しい照葉を鑑賞する観葉植物として楽しめます、シルクジャスミンという名前の観葉植物はホームセンターで簡単に見つけることが出来ますが、このシルクジャスミンがゲッキツなのです。

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