荒廃のイメージの中で輝くマツヨイグサの花
Camera : EOS5D, Lens : EF24-105F4L
本当は、横浜は、みなとみらいの工事現場で、月夜のマツヨイグサを撮るか、富士山をバックに「月見草」として写真を撮るか、どちらかにしたかったのですが、機会がありませんでした。似たようなもので、かすかに利尻富士が頭を出す抜海の海岸に咲くマツヨイグサの朝のひと時をどうぞ。というか、この草はこんなところにまで生活圏を延ばしているのです。
それぐらい何処にでも生えていて、また場所によっては景観を壊しています。それは、この草が生えていること自体が荒廃を感じさせる為ではないでしょうか。太宰治が富士には月見草が似合うと思ったのはこの荒廃感と富士山の対比を愛でたのかと思っていましたが、富士に負けない位気丈に立っていてその力強さに感動した、みたいなことが書かれてますから、思ったよりストレートな理由でした。ただ、そこまで特徴を明らかにした以上、やっぱり月見草でなくマツヨイグサだろうと思います。
もっと恣意的に間違えたと思われるのは、竹久夢二の宵待草です、「待てど暮らせど 来ぬひとを 宵待草の やるせなさ 今宵は月も 出ぬそうな」。この場合は何といっても宵待草でなければならないでしょう。
この宵待草は囲われ美人愛妾を連想させます。受動的なやるせなさが漂います。これが待宵草だとよーし夜だ、稼ぐぞぉーみたいな、ヨタカのイメージになってしまいます。
ところで、肝心のマツヨイグサは何?と言われるとちょっと困ります。マツヨイクサ(萎んだ花が赤かったらマツヨイグサかも)、オオマツヨイグサ(大きく美しい品種、それもそのはず元は園芸品種、太宰の月見草も、竹久の宵待草もこれではないかと)、メマツヨイグサ(月見草オイルはこの花の種子から)、アレチマツヨイグサ(メマツヨイグサと同じと考えても良いかも)、コマツヨイクサ(小さな花が萎むとかなり赤い感じになる)、ツキミソウ(どうも日本と合わないらしく、だんだん衰退した白い花を咲かせる品種、しかしいつの間にか仲間の代表名になってしまった)、があります。
さらにこれらは変異を起こしやすく、交配も起こります。訳が解らないですね。だから、深く考えず、月見草でもマツヨイグサでも良く、出来れば虫にやられていない綺麗な花を見つけて鑑賞してみましょう。
夜に咲く黄色い花は、良い香りを持っています。荒廃のイメージがある花のわりには、上品でちょっと意外な気がします。
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