夜香木の香りは郷愁を誘うおばさんの香り
Camera : Canon 5D Lens : Zuiko 100mm F2
夜香るという意味の花で紛らわしいのは、月下香(チュベローズ)、夜来香(イエライシャン)、そして夜香木(ヤコウボク)でしょう。このうち、前の2つは既に紹介しているので、最後は夜香木です。
これらは、横浜地方で普通に越冬して、普通に育てていると、大体、月下香、夜来香、夜香木の順で咲きます。とくに夜香木は夏から晩秋まで繰り返して咲きます。
また、月下香や夜来香は、昼も開花して、わずかではありますが昼も香ります、これに対して夜香木は昼の間は花を閉じて、香りもしません。
花は、何か座薬というかペンシル型の蕾で先端に切れ目があって、夜はこの先端部分がパカッと開いて、開花になります。夜に開いて朝に閉じます。これを数日繰り返します。
その様子は、まるでバルカン砲かなにかの兵器をスタンバイさせているようにも思えます、実際花が開くとその花の内部はバルカン砲によく似ております。
こうして、夜香木は花を四方にむけながら夜の間、香りの弾幕を分厚く張っている訳です。その香りは、かなり強く、攻撃的で、ある意味でおばさんの安物化粧品のようでもあります。
ところが、同時になにか郷愁を誘う香りでもあるのです。例えば、私はこの香りで、子供の頃、母の鏡台を開けていたずらしていた時の事を思い出したりします。
その時の香りは、実際のこの花の香りとは違っていたと考えるのが自然なのでしょうが、この花の香りは不思議と、郷愁を誘い古い思い出に結び付けてしまうような気がします。
少し香りが強すぎて下品な感じもするのですが、時に恋しく思う香りであります。
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