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2006年9月30日 (土)

Kinoptik Paris 100mm F2 Rolleiflex SL66 mount

Img_2065_w_1 Kinoptik Parisは本来、16mm、または35mmムービーカメラのレンズを作成していた、メーカーですが、35mm一眼レフ用にもAlpa用にレンズを提供しておりました。実は、これらのレンズは現在でも新品が手に入ります。しかし、お値段はきっと、お高いものなのでしょうね。

私のレンズは、おそらくアリフレックス用に提供されていたレンズをRolleiflex SL66用に改造したものです。Kinoptikの100mmはイメージサークルが大きいのでこんな改造もアリなのですが、見事な細工にもかかわらず、Rolleiflex SL66自体がポピュラーなカメラでは無いので、この改造によって、このレンズとしては安価な価格で手に入れることが出来ました。私にとっては天からの授かり物でした。

このレンズは開放から6x6をカバーします。ちょっと周辺のボケが怪しいかなーとも思うのですが、もともとこのレンズは35mmで撮ってもボケの部分の周辺は怪しい時があるので、こんなモノなのでしょう。

私はもともと接写用にこのレンズを考えていましたので、なるべく絞って使います。それでもF11以上に絞ると回析が出てきてコントラストが落ちるのでF11以上には絞りません。

また、このレンズはフィルター枠が特殊なサイズですので、私はステップアップリングをパーマセルで貼り付けて、ブロニカの蛇腹フードを取り付けて使用します。このフードはこのレンズにとって必需品であるのです。

Img_0006_w このレンズは私が花を撮るのに最もよく使用するレンズなので、作例はBlog中に転がっています。ただ、開放で撮ったものは無いので、RolleiのAdaptar 35/66プラスSL35-EOSのアダプターを使ってEOS5Dで、さっき近くにいた猫を開放で撮った作例を左に載せてみました。光源は蛍光灯、白熱電灯、装飾電球が入り乱れているのですが、何となくまとまってしまうところがデジですね。

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2006年9月28日 (木)

一番大好きなマツリカの香り

Img_8053_w Camera : Canon 5D, Lens : Apo Macro Elmaret 100mm F2.8

マツリカは私が持つ香りの良い花リストの切り札で、これが出ると後は寂しくなるような気がして出し渋っていたものです。しかし、いつまでも出し渋る訳には行きません。さりげなく登場です。

この花は温度さえあれば、通年開花するので、横浜地方だと5月から開花が始まり7月にピークを迎え8月は休んで9月からポツポツと咲くといった感じです。

よく出回っているものは、半八重の白い花が咲く品種で、この花の香りでジャスミン茶を作ります。正確に言うと、開花直前の蕾を採り、茶葉の中に入れて開花させ、香りを茶葉に移しているのです。

このジャスミン茶のお陰で、マツリカの香りは説明するまでもないのですが、白い花はあらゆるジャスミン属の中で最も香りが強く、また質の良い香りであります。もちろんジャスミン茶の香りなのですが、生花はもっと青っぽく新鮮で、もっと爽やかな香りです。

この花はどうせ花持ちが悪いので、私は、咲いた花の一部は観賞することなく、開花したらすぐハンカチに包んで香りを移したり、またはジャスミン茶に入れたりして消費してしまいます。ハンカチに来るんで香りを移すと、朝から昼はマツリカの花そのものの香りが、
夜には甘い香りが汗をぬぐうたびに楽しめます。この場合ハンカチはなんといってもブルーのものが良く合いますね。

また、ジャスミン茶の香りは「新鮮な青さ」が命であり原産地で飲むものが日本で飲むものより美味しいような気がします。しかし、摘みたてのマツリカを入れると日本で買った安いジャスミン茶でも香りが引き立つのです。

Img_9653_w Camera : Canon 5D, Lens : Macro Planar 100mm F2.8 AEG

マツリカには半八重のほか、左の写真のような完全八重の品種もあります。完全八重の品種は花も大きく何かマツリカらしくない豪華な花です。ただ、花持ちが悪いのは一緒で、基本的に一日か二日です、半八重の花は落花するのに対して八重の品種は茶色に変色して枝にとどまります。香りは半八重と同じなのですが、やや弱いように思います。

表題の写真にある半八重種は私の宝物で、通常の半八重種の倍くらいの大きさの花をつける選抜種です。香りも素晴らしく強いのですが、成長が遅いような気がします。花にエネルギーを費やしすぎるせいでしょうか。もっとも私も、本来の花の香りを楽しむ為、あまり肥料をあげないで育てるので、成長が悪いのはそのせいかもしれません。

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2006年9月26日 (火)

夜香木の香りは郷愁を誘うおばさんの香り

Img_0037_w Camera : Canon 5D Lens : Zuiko 100mm F2

夜香るという意味の花で紛らわしいのは、月下香(チュベローズ)、夜来香(イエライシャン)、そして夜香木(ヤコウボク)でしょう。このうち、前の2つは既に紹介しているので、最後は夜香木です。

これらは、横浜地方で普通に越冬して、普通に育てていると、大体、月下香、夜来香、夜香木の順で咲きます。とくに夜香木は夏から晩秋まで繰り返して咲きます。

また、月下香や夜来香は、昼も開花して、わずかではありますが昼も香ります、これに対して夜香木は昼の間は花を閉じて、香りもしません。

花は、何か座薬というかペンシル型の蕾で先端に切れ目があって、夜はこの先端部分がパカッと開いて、開花になります。夜に開いて朝に閉じます。これを数日繰り返します。

その様子は、まるでバルカン砲かなにかの兵器をスタンバイさせているようにも思えます、実際花が開くとその花の内部はバルカン砲によく似ております。

こうして、夜香木は花を四方にむけながら夜の間、香りの弾幕を分厚く張っている訳です。その香りは、かなり強く、攻撃的で、ある意味でおばさんの安物化粧品のようでもあります。

ところが、同時になにか郷愁を誘う香りでもあるのです。例えば、私はこの香りで、子供の頃、母の鏡台を開けていたずらしていた時の事を思い出したりします。

その時の香りは、実際のこの花の香りとは違っていたと考えるのが自然なのでしょうが、この花の香りは不思議と、郷愁を誘い古い思い出に結び付けてしまうような気がします。

少し香りが強すぎて下品な感じもするのですが、時に恋しく思う香りであります。

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2006年9月23日 (土)

Moon Spriteは月に住む妖精のようなバラ

Moonsprite_w Camare : Crown Graphic 45 Lens : Planar 135mm F3.5 T*, Film : RDP3

Moon Sprite(月の妖精)と言う名前の薔薇を知ったのは結構前のことです。図鑑をパラパラとめくっていて一目惚れして、また説明を見てあこがれました。

それは、一般的なフロリバンダの性格の通り小型で多花性、フロリバンダの一般的な性格に反して、素晴らしい香りを持つということでした。

その香りはミルラという、イングリッシュローズが広めた香りのカテゴリーに分類されるべきものですが、イングリッシュローズのそれより、実際のこの花の香りはシンプルでスッキリしているように思います。

ムーン スプライトの花は、濃い黄色の整った形の花弁で咲き始め、だんだん周辺の黄色が薄れて白くなり、花の形も優雅に崩れてきて、黄色の芯と白の花びらのツートンのオールドローズの様相になるものです。そして、最後は完全に退色して白になり、はらはらと花びらを落として散って行きます。

イングリッシュローズが流行って、香りがありクラシカルな花形のバラがもてはやされているのに、ムーンスプライトが出てこないのは不思議でした。

しかし、同じ様に思った人は多かったらしく、最近ではポピュラーなバラになって、入手もし易くなりました。

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2006年9月21日 (木)

夜来香(イエライシャン)の謎と浪漫

Yeraishan_w Camera : Pentax 645, Lens : Macro Planar 60mm F2.8 HFT !, Film : E100VS

夜来香はイエライシャンと呼びますが、懐メロでその名前を知っている方もいるかもしれません。こんな感じの唄です。

「あわれ春風に 嘆くうぐいすよ 月に切なくも 匂う夜来香 この香りよ」もっとも、これは日本での歌詞であって、中国での歌詞はもっと南国情緒がいっぱいのものだったとのことです。

しかし、一方で歴史的な背景から、昔の中国の伝説で城を占拠した戦士が宴席の夜この香りを嗅いだことによりホームシックにかかって戦意を失ってしまった。という言い伝えを元に、日本人の山口淑子さんを、中国人の李香蘭になりすまさせ、反日の戦意が萎えるように、権力が画策した歌なのではないかと考えてしまいます。

もちろん考えすぎは百も承知ですが、山口さんの経歴の前では、歌の名前としてささやかに係わったこの花の名前にさえ、ロマンと謎が生まれます。

実際、この花の香りは長い間謎でした、歌ではあれほど甘く聞こえる花の香りが、確かめられなかったのです。日本で確認できたのはわずかに1株、神代植物園の人がバンコクから1970年に持ち帰った株でした。その株は今でも健在で花を咲かせているので見ることが出来ます。

ところが、香りは確認できません、何故なら香りが漂うのは夜からなのです。結局、この花の香りが楽しめるようになったのはつい最近の事。通信販売で売られ、気の利いた園芸店でも売られるようになりました。

この花はおそらく温度さえあれば、不定期に周年開花するのではないでしょうか。私の家では冬をギリギリで越冬するので、開花は7月から9月になります。

肝心の花の香りは、穏やかで、少し青っぽい、東洋蘭の香りを俗っぽくしたような香りです。これが、秋の夜だと香りの印象も変わり、例えば故郷を離れた兵士は望郷の念にとらわれそうです、ところが夏だと、全てのことが面倒くさくなるような気だるい感じの香りなのです。

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2006年9月19日 (火)

夜顔は美しさゆえに夕顔にされそう

Img_9642_w Camera : Canon 5D, Lens : EF100-400mmF4.5-5.6L

日本では、ラッパ型の花が咲く花をとりあえず顔に例えてみる事が好きなようで、このような花が、朝咲けば朝顔、昼咲けば昼顔、夕方から咲けば夕顔と呼んで来ました。

ヨルガオが明治の初めに日本に入って来た時は、どんな感じだったのでしょうか。夕方から咲くのですが、もう夕顔は埋まってます、じゃあ夜顔でどうだ、みたいな議論があったのでしょうか。とりあえず、和名は夜顔に決まりました。

ところが、この花は夕顔と呼ばれることが実際には多いのです。思うに、既存の夕顔よりも、より夕顔らしかったからではないでしょうか。

私が思い浮かべる夕顔は、まず源氏物語の夕顔。この名前は夕方から、蔓の合間から白く美しい花が咲き、朝にはしぼむ一夜花を創作の動機にしています。源氏物語の夕顔は、奥ゆかしく謙虚な性格にもかかわらず、嫉妬から呪い殺されるというはかなさも加わります。夜顔の花がまさしくイメージです。

これに対して実際の夕顔は、ヘチマやらカンピョウの実を成らせる農作物の花のイメージが先行します。確かに夜顔を知らない昔は、夕方から咲き始める顔型の一夜花として、はかない美しさの象徴に夕顔をあてるしかなかったでしょう。清少納言は「夕顔の花は綺麗だけど実はちょっと不細工ねー」みたいな事を書き残していて、このはかない一夜花は、花こそ一夜でしぼむものの、大きいヘチマやらカンピョウの実を育て上げる丈夫で健勝な植物であることを認めております。源氏物語の夕顔のはかなさは本来似合わないかも知れません。

だから、夜顔を鑑賞できる現代では、昔々、夕顔のイメージで作られた創作を、よりイメージの実現に近い夜顔に置き換えてしまうのは無理も無い事だと思います。

Img_9463_w 夜顔は晩春から初夏にかけてポット苗で売られます。それを育てて、初秋から晩秋にかけて、花を楽しむのですが、この花はドリルのような蕾も魅力的です。

夜に咲く一夜花といっても、まだ日のある夕方には咲くので、明るい時に花を観賞できます。花の香りも開花してからしばらくは、ほのかに上品で甘い香りが漂いますが、やがて弱まって行きます。夕方が最も鑑賞に適しているように思えます、その意味でも夕顔的な花なのです。

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2006年9月17日 (日)

Leitz Canada 90mm F1.0 again

Img_5354_w I had many guests at my Blog from last week. While my Blog is subjecting to flower fragrance, most of guest seemed to be interested in  "Leitz Canada 90mm F1.0" page.
While I guessed why,  no idea came to my mind. But one day I found the ultra rare military leica lens at Ebay.

Img_5366_w That military lens had same lens element of this X-ray lens, but military lens had aperture control ring and 2 fixed focus controlling ring.
With aperture controlling ring and fixed focus ring, military lens was priced over 30,000USD. Almost X150 values comparing to my X-ray lens.

Img_5371_w I never saw photo sample which was taken by this lens except my blog.
I believe that is why I had many guests from worldwide.

Img_5373_w To be honest My X-ray lens is not proper for taking photo; it can focus to only within 50cm. Image circle is small, rich in various aberration.

Img_5382_w I would upload several photo image taken by canon20D with this X-ray lens.
This combination does not have helicoids, so all image were taken at maxim focusing distance.

Ebayで軍用の同種レンズが出た為か、このレンズの作例を見に来る人が多いのでサンプルを増やしました。収差満載で普通の写真を撮るには適していません。Img_5396_w

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2006年9月16日 (土)

オーバーナイトセンセーションはミニバラの香る星

Overnight_w Camera: Pentax645, Lens: Distagon 50mmF2.8,  Film:RVPF

オーバーナイトセンセーション Overnight Scentsation(夜が明けたら香りでびっくり?)

本当に最近のことは解りませんが、香りのあるミニチュアローズと言っても、ほのかに香るか、どちらかというと香りがあるといった程度でした。ミニチュアローズに強い香りをもたらすことは、それだけ難しかったのです。

ところがオーバーナイトセンセーションには、実感できる明らかな香りを持っています。ティーとダマスク、フルーツが混ざったような現代的な香りです。この強い香りのおかげで、このバラはバラとしてはじめて宇宙を旅することが出来ました。

1998年10月、スペースシャトル・Discoveryに搭載されたのです。宇宙を旅する宇宙飛行士の慰安にもなったことと思いますが、どちらかというと微重力状態のにおいの実験に関する実験材料としてでした。

もっと良い香りのバラは他にあったでしょうが、ミニであることが大役を引き当てる決定要因になったと思います。NASA関連のホームページでその時運んだ、このバラの写真を見ることができますが、まるで盆栽のようです。
http://mix.msfc.nasa.gov/ABSTRACTS/MSFC-9901497.html

ところが、育てていると、結構大きくなるのもこのバラです。お前本当にミニバラか?と問いただしたくなります。このバラはミニバラのくせに接木で売られていたことも原因ではないかと思います。

このバラのポイントはここなのだと思います、香りの良さを求めるなら、花の大きなHTの方にどうしたって分があります。小さなミニチュアでありながら香りがあることで価値があるならば、小さくないと意味が無いのです。

私は昔このバラをバラ園から買って帰る途中、蕾がついたやわらかい枝が折れてしまい。くやしかったので、蕾を取ってそのまま土にさしていたら根付いてしまったことがあります。

パテントの問題があって、挿し木で増殖してはいけないなー、と思いながら育てた苗は、小さく育った覚えがあります。これなら盆栽仕立てにして宇宙に運べそうです。

ただ、残念なことに病気、特に黒点病に弱いようで。小さく育てたバラは弱って行き、ついにはお星様になってしまいました。


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2006年9月14日 (木)

プルメリアの伝説

Img_8031_w Camera : Canon5D, Lens : Apo Macro Elmarit 100mm F2.8

日本で、初めてプルメリアの販売を見たのは、浅草の植木市でお兄さんが、鉛筆のような枝を砂にさして売っているものでした。結構高い値段で売られていたのですが、珍しさと縁日気分でそれなりに売れていました。

今日、ネットでさまざまなものが売買させるようになったのですが、植物関係で以外に多いのがプルメリアです。種から苗から多種多様なプルメリアがネットで手に入れようと思えば可能です。

その理由を自分なりに考えて見ると、ネームバリューがある割に実物が日本では少ない、挿し木で簡単に増やせる、南国風の花と葉が魅力的である、温度さえあれば花期が長い。といったところでしょうか。

自分は、マニアックな市場がある植物にはなるべく手をださないようにしているのですが、今年は近くの園芸店でも手ごろな価格で出回ってきたので買ってみました。

花芽付きと花芽無しを一鉢づつ。何故かと言うと、花が咲いているものは根が充分に発達していないように思えたし、葉が展開しているものは数年花が咲かないかも知れず、花を見る前に越冬に失敗して枯らす恐れがある為です。

思った通り、花は枝の力だけで咲いており、この写真の枝は結局根が一本も発根していませんでした。

花自体は美しく、南国風のけだるく甘い香りも魅力的なのに、何か胡散臭さがつきまといます、この花木が気軽に楽しめるようになるには、まだ時間が必要なのかも知れません。

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2006年9月12日 (火)

荒廃のイメージの中で輝くマツヨイグサの花

Img_8607_w Camera : EOS5D, Lens : EF24-105F4L

本当は、横浜は、みなとみらいの工事現場で、月夜のマツヨイグサを撮るか、富士山をバックに「月見草」として写真を撮るか、どちらかにしたかったのですが、機会がありませんでした。似たようなもので、かすかに利尻富士が頭を出す抜海の海岸に咲くマツヨイグサの朝のひと時をどうぞ。というか、この草はこんなところにまで生活圏を延ばしているのです。

それぐらい何処にでも生えていて、また場所によっては景観を壊しています。それは、この草が生えていること自体が荒廃を感じさせる為ではないでしょうか。太宰治が富士には月見草が似合うと思ったのはこの荒廃感と富士山の対比を愛でたのかと思っていましたが、富士に負けない位気丈に立っていてその力強さに感動した、みたいなことが書かれてますから、思ったよりストレートな理由でした。ただ、そこまで特徴を明らかにした以上、やっぱり月見草でなくマツヨイグサだろうと思います。

もっと恣意的に間違えたと思われるのは、竹久夢二の宵待草です、「待てど暮らせど  来ぬひとを  宵待草の  やるせなさ  今宵は月も  出ぬそうな」。この場合は何といっても宵待草でなければならないでしょう。

この宵待草は囲われ美人愛妾を連想させます。受動的なやるせなさが漂います。これが待宵草だとよーし夜だ、稼ぐぞぉーみたいな、ヨタカのイメージになってしまいます。

ところで、肝心のマツヨイグサは何?と言われるとちょっと困ります。マツヨイクサ(萎んだ花が赤かったらマツヨイグサかも)、オオマツヨイグサ(大きく美しい品種、それもそのはず元は園芸品種、太宰の月見草も、竹久の宵待草もこれではないかと)、メマツヨイグサ(月見草オイルはこの花の種子から)、アレチマツヨイグサ(メマツヨイグサと同じと考えても良いかも)、コマツヨイクサ(小さな花が萎むとかなり赤い感じになる)、ツキミソウ(どうも日本と合わないらしく、だんだん衰退した白い花を咲かせる品種、しかしいつの間にか仲間の代表名になってしまった)、があります。

さらにこれらは変異を起こしやすく、交配も起こります。訳が解らないですね。だから、深く考えず、月見草でもマツヨイグサでも良く、出来れば虫にやられていない綺麗な花を見つけて鑑賞してみましょう。

夜に咲く黄色い花は、良い香りを持っています。荒廃のイメージがある花のわりには、上品でちょっと意外な気がします。

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2006年9月 9日 (土)

Pinkham "Bi-Quality" reproduction of Pinkham & Smith "Visual Quality"

20060903_1 Camera : Speed Graphic 45, Lens : Pinkham Bi-Quality 14inch F4.5, Film : EPN, F5.6, 1/40

20060903_2 この作例は、Pinkham Bi-Quality 14Inchをスピグラで試写した時のものです。本来なら8x10で撮ったものが良いのでしょうが、私は8x10のカメラを持っていないので45でがまんしてください。もともと、作例など皆無に等しく、ましてカラーポジの物など期待するだけ無駄な状況なので、少しは貢献になるでしょう。それでも、原版ポジはもっと素晴らしい写りを見せていて、現像所で上がりを見た時は近年無い感動を覚えました。

このレンズは正確に何時、何本くらい制作されたか不明なのですが、信頼できそうな話はアメリカの写真家のLaytonさんと思われる方からの投稿で、非常に貴重な資料がhttps://www.usask.ca/lists/alt-photo-process/2005/jan05/0490.htm

にあります。これをネタにして少し説明すると以下の通り。

Frank Peckmanという写真家は古い(1950年当時で!)Pinkham & Smith のレンズのファンでしたが、入手が困難なことから、Pinkham & Smith の創業者の一人の息子を説得して、最も需要のありそうな14インチのシリーズ4、Visual Qualityを1950年代に限定復刻生産して販売するようにしました。

その数がどのくらいだったのか不明ですがいずれにしても希少であったことは間違いありません。そして、実際の制作に携わった者も誰かははっきりしていないのですが、全て手作業の研磨で作成したオリジナルに比べ、手研磨っぽく見えないことと、絞りのリングがコダックのポートレートレンズについているものと似ていることは確かなようです。

Img_9604_w このレンズは、スタジオの8X10のカメラに据え付ける用途で、サイズを選ばれて限定復刻されたとのことですが、1920年のPinkham & Smithのカタログを見ると、Visual Quality
は9インチ、12インチ、14インチ、16インチの4焦点距離がラインアップされていて、それぞれ4x5、5x7、6.5x8.5、8x10をカバーするとされていました。しかしこの数値は無限でシフトを保証する数値でしょうから、実際の使用目的でこのレンズを使用する場合、14インチのレンズが8x10を楽勝でカバーするのでしょう。

ところで、この有名だけれども忘れられたレンズの名前が脚光を浴びたのは、2002年にCookeがPS945というレンズを作成してからでしょう。PSはPinkham & Smith、9は9インチのこと、45はf4.5の明るさから来ています。

つまり、このレンズは9インチのPinkham & Smith "Visual Quality"の復刻版なのです。最新の復刻が9インチで行われたことは、時代の流れでしょうか。ただ確かに14インチで出すよりは売れそうです。と言っても数を売るレンズでは無いでしょうけど。

このCookeの復刻で、Pinkham & Smith の名前が出回り、Pinkham Bi-Quality も再び世に出る機会が出てきたということでしょうか。そして、運の悪い一本が、極東のおじさんに振り回されることになってしまったのでした。

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2006年9月 7日 (木)

誰もが愛するクリムソン グローリー クライミング

Crimson1_w Camera : Hasselblad 500C/M , Lens : Distagon 60mm F3.5 CT, Film : RAPF

赤のつるバラでクリムソン グローリー(Crimson Glory )以上のバラは今後も難しいと思います。花首が弱く花がうつむいてしまうのも高い所から私を振り向いてくれる事だし、花が進むと花に青みがかかってくるのも変化があってよろしい、と一般には欠点と思える事も美徳に変えてしまいます。

このバラは、容姿がどうの香りがどうのといった事を超えて人を魅了する力があり、その為いろいろな伝説も生まれたものと思います。例えば、先の世界大戦中、他のドイツ生まれのバラは切られてもこのバラだけは例外だったとか、赤いバラは香りが強いという言い伝えとか。

私にしても、今の株に万一のことがあれば、やはり同じバラを植え直すでしょう。このバラに魅了されているのです。

クライミングが名前の後についているのは、もともとこのバラはブッシュタイプのバラとして作出され、その中からつるに伸びる性質のものが枝変わりとして出てきた為です。ブッシュからクライミングの枝変わりはよくある事なのですが、このバラの場合は神様がくれた奇跡に思えます。このバラの一番の欠点だった花首の弱さが美徳に変わった瞬間です。

つるバラとしては良く返り咲くほうでしょう、その為秋の花の香りも、少しだけど楽しめるのは嬉しいですね。その花の香りはダマスクのタイプといって、バラの香りの中で最も重く後を引くようなものです。例えば、それは、エレベーターか廊下で、「ここにバラの香水を付けた人が居たはずだ」と感じる時のバラの香りで、同じバラの香りでも、出会った瞬間に脳内にバラが咲くティーローズの発散する香りとは違います。

特に、ビロード赤の花びらを持ついくつかのバラには特有の深いダマスクの香りを持つものがあり、バラによって多少香りの違いはあるものの、花の容姿と香りの相性は最高で、真紅のバラには良い香りがあるという伝説が生まれるのも無理からぬことと思います。

ダマスクというバラの香りのタイプはダマスクローズという、ピンクか白の花が咲く種類のバラが本来持つ香りなのですが、真紅の芳香種が似た香りを持つと、より深い香りに感じられます。

そんな真紅のバラの中でも、クリムソン グローリーは一段と香りがよく、バラの香りに関する最も権威のある賞である、The James Alexander Gamble Fragrance Awardを最初に受賞したバラであります。

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2006年9月 5日 (火)

本家、本元、元祖のジャスミンは何処

Img_9567_w Camera : Canon 5D, Lens : Zuiko 100mm F2

一般にジャスミンと言った場合、それはjasminum officinale のことを指します。英語名でもCommon Jasmineですから、普通ジャスミンとだけ言えば、この花です。

ジャスミンという言葉は、いろいろな花の名前の一部として使われ、また香りをモチーフにした様々な製品名に付けられる名前でもあるのですが、その元祖、本家、本元がこの花の名前なのです。

ところで、この花とはどんな花なのでしょう、日本では写真のような「ホワイト プリンセス」という名前で最近園芸種が出回るようになりました。英語に変換して検索しても情報は無いですから、おそらくこれは、jasminum officinaleの選抜種か、改良種で日本での流通名だと思います。

また、jasminum officinaleの花として最も有名なものは、南フランスで香料の採取用に栽培されている、”grandiflorum”だと思いますが、これもまた、選抜種であります。

もっとも普通のジャスミンは、実は一般的では無いのです。花の大きい、また香りがより強い選抜種がクローン増殖されて、世界に出回っているのです。

「ホワイト プリンセス」は丈夫で、寒さにも比較的強く、関東地方では越冬できるので、今後「羽衣ジャスミン」に変わって、一般的になって行くと思います。なぜなら、この花は初夏から晩秋までと開花期が長く、香りも良いからです。

私は”grandiflorum”をずーっと栽培していたのですが、冬は保護していました。「ホワイト プリンセス」が大丈夫だったので、今年は外で越冬させてみたのですが、これも大丈夫でした。日本はやはり温暖化しているのですね。

Img_9435_w (写真の左2枚がホワイトプリンセスの表裏、右がグランディフローラの表裏)

ちなみに、この二つの品種の花なのですが、、「ホワイト プリンセス」の花はより大きく、白く、花びらが後方に反って行くのに対し、”grandiflorum”は花びらの裏に紫が混じり花びらも反りません。香りは、「ホワイト プリンセス」に上品な青みが混じる分、フレッシュに感じ、”grandiflorum”は重く感じます。

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2006年9月 3日 (日)

SMC Pentax-M 300mm F4 ED(IF)

Smcpentax300mm_w Camera : Pentax 645, Lens : SMC Pentax-M 300mm F4 ED(IF), Film : RVP

Pentax 645で使える300mmの望遠レンズは、優秀なものが645用と67用で用意されており、ユーザーは悩むところです。

私はPentax67も使用しているので、悩むこともなく67用の300mmなのですが、素晴らしい望遠レンズで、Pentaxが星のマークを付けるのも納得できます。

300mmの望遠でありながら、インナーフォーカスでピントが合わせやすく、また最短距離も2mまで寄れます。中判で望遠接写をする時などはこの最短距離は便利です。

私は密かに、このレンズはハッセルブラッド用の350mmF4のTele Tessarをかなり意識して作ったのではないかと考えています。ちなみにTele Tessarは焦点距離350mmに対して最短距離1.9mです。

望遠接写をすることを考えると、拡大倍率ではTele Tessarの方が有利と思えるのですが、Tele Tessarは最短を開放で撮ったりすると色収差が目立ちますから、色収差を抑えたPentaxの300mmEDはこの点で有利です。

コントラストはTele Tessarの方が強く、メリハリがあるのに比べPentaxの方は柔らかく、精密感のある描写と言った感じでしょうか。

もともと、使用されるフォーマットもカメラも違うレンズなので比較すること自体がナンセンスなのですが、なにせ私には密かな思い込みがあるので、どうしても比べてしまうのです。

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2006年9月 1日 (金)

クサキの花の香りは、盛夏の思い出

Img_5310_w Camera : Canon5D, Lens : EF100-400mm F4.5-5.6L

昔、草木染めを行う友人からクサキの実を捜して欲しいと頼まれ、サルノコシカケを探すように深山に入る覚悟をしていたら、近くの公園にあったから実を採ることだけを手伝えばよろしいと言われ、自分の無知を恥じたことを覚えています。

一度覚えてしまうと、クサキは本当にどこにでもある木だったのです。特に特徴のある美しい実は印象に残ります。

Kusaki_w (Pentax645,SMCpentax 67 300mmF4 ED, RVP)この実を草木染めで使うと、美しい浅葱色になるのです。浅葱色とは少し緑が入った水色で英語で言うところのターコスブルーに似た色です。

実際に見てみたければ、歌舞伎座に行くと「浅葱幕」が見れますし、テレビの時代劇で新撰組のドラマを見ればあの制服の色がそうです。

あの実の色が絹糸になるとこうなり、さらに織るとまた違った印象に変わるのだと教わり、その変化が不思議に思えたものです。

そんな不思議な変化は、実だけでなく、花の香りについても言えます。この木の名前の由来になった葉や枝の匂いは、それほど不快ではないものの臭い匂いではあります。それが花になると、甘く穏やかな良い香りになります。

7月の終わりから8月にかけ、香りで勝負する花にとっては最も厳しい環境でこの花は勝負に出ます。蒸し暑いことを考慮して、決してでしゃばらず、偏らず、それでいて風に乗った時には、何か良いなぁーと思わせる、「飾らない普段着の雰囲気で勝負する」タイプの香りであります。

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