« Tuberosa in the moonlight | トップページ | ブッドレアは蝶々のパラダイス »

2006年8月23日 (水)

たまのかんざしと、その仲間たち

Img_8148_w Camare : canon 5D Lens : Zuiko 21mm F3.5 (こちらがSo Sweet)

橋の欄干の上にある、玉ねぎをさかさまにしたような飾りを擬宝珠と言いますが、それは、宝珠に似せているから擬宝珠と言います、そして宝珠は一部が突き出た球形の物で、仏教の世界では不思議な力があるものとされています。

ギボウシは花の蕾がその擬宝珠に似ていることから、ギボウシという植物名がついたそうですが、その意味では蕾の形は擬宝珠よりも宝珠に近いのでは、と不要な突っ込みをしたくなります。

ギボウシは最近ホスタという学名で一般的に呼ばれるようになりましたが、これは西洋でガーデニングの材料として改良された品種が一般的に出回った為でしょう。

この改良に多大な貢献をしている原種にタマノカンザシがあります。タマノカンザシとは日本的な名前ですが、中国が原産の品種で、日本には江戸時代あたりにやってきたらしいのですが、タマノカンザシという名もまた蕾の形が玉でつくったかんざしに似ているからだそうで、これもまた、蕾の形をモチーフにした名前です。

ところで、タマノカンザシがホスタの品種改良に果たした役割は、なんと言っても良い香りをもたらした事です。タマノカンザシの花には素晴らしい香りがあるのです。この花は、根元から伸びた花穂に円錐形に蕾が生長し、下のほうから蕾が膨らみ、一日一輪といった感じで毎日ぽとぽつと咲いてゆきます。タマノカンザシは夜咲きですから夕方になると一輪咲きその花が翌朝から日中にかけてしぼんで行くということを毎日繰り返すのです。

このような開花の性質は、暑い夏にできるだけ長く花を咲かせる工夫なのでしょう。虫を引き寄せるには新鮮な誘惑を持続させる必要があるのですが、暑い夏に咲く花だと花の痛みも激しく、毎日生まれ変わることによって新鮮さが維持できます。そのおかげで人間も、夏場にも関わらず、毎日香りを楽しめるのですが、その香りは、蒸し暑さに逆らわない、新鮮な青みと穏やかな優しさを持った香りです。笹ユリの香りと似たような印象なのですが、真夏に咲く分、本質的に笹ユリよりも強く、キリッとしたものがあります。

タマノカンザシはホスタのなかでも比較的大きな株になる品種で、さらに夜咲きですから、人々は、もう少し小さな株で昼咲きの品種が作れないかと欲します。いかに良い香りでも、香りを楽しむ為にはやぶ蚊との戦いを覚悟しなければならないし、出来れば昼に開花している花を見たいです。

Img_5323_w そんなことから、園芸種の中には小型で昼に咲き、香りを持つものも現れました。表題の写真の品種はSo Sweetというのですが、先の性質に加えて葉に斑入りの葉が美しいです。花もタマノカンザシに先駆けて咲きます。こうした園芸種を集めると、初夏から秋まで、花と香りが楽しめるのもうれしいことです。本当のタマノカンザシは左の写真です。どうしても昼の姿はしまりが無いですね。Camera : Canon 20D, Lens : EF100-400mm

|

« Tuberosa in the moonlight | トップページ | ブッドレアは蝶々のパラダイス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Tuberosa in the moonlight | トップページ | ブッドレアは蝶々のパラダイス »