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2006年8月30日 (水)

クズ、米国本土を侵攻中

Kuzu_w camera : Pentax645 lens : SMC Pentax 300mm F4 ED for 6x7, Film : RVPF

アメリカの南部では、夜は窓をしっかり閉めて寝るそうです。クズの侵入を防ぐ為にね。また、識者は嘆きます。植物の原産地にはその植物の天敵も同時に居て生態系のバランスが保たれている。天敵をつれずに植物だけ導入するからこういうことになる。と。

クズはアメリカには歴史的に有名なニューディール政策の頃、土壌保全のため導入されましたが、地域によって日本製の工業製品など足元にも及ばないくらい、大地を席巻しております。窓の戸締りを厳重にして侵入を防ぐくらいに。

そこで、原産地の日本で、いったいクズの最大の天敵は何だ?と考える訳ですが、私が思うにクズの最大の敵は人間であったのではないかと思うのです。

古来、日本ではクズをいろいろなものに利用してきました。そもそもクズという名前自体が名産地の奈良県吉野の国栖(くず)に住む人々が、食用にしたり、薬用にしたり、織物を作ったりと利用していたことからつけられた名前なのです。

そんなことなら、アメリカでもクズの繊維で民芸品を作り、くずきりや、くずもちを食べ、風邪ぎみな時は葛根湯を飲んで早く休めば良いのです。とはいえ、日本でも名産地以外では、ほとんど利用されていませんね。里山に行けばクズは立ち木を覆うように伸び放題です。

このクズは秋の七草の一つで、マメ科の花にありがちな形の赤紫色の花を、花穂の下から開花させ、甘く重い香りを放ちます。蔓性の植物なので、通常は高いところに花をつけ、花も蔓の大きさにくらべると少ないです。これでは、花が咲いても、クズの侵食に嫌気が来ている人には十分な慰めにならないでしょう。

この花がもう少し可憐で、花つきが良く、甘さも控えめで、暑苦しい夜を慰める爽やかな香りであれば人々も閉ざした窓を開け放してくれることでしょう。残念ですが、あまり鑑賞には向いていません。

ただ、この植物の名誉の為に一言つけ加えると、この植物は人類にとって最も有益な植物の一つで、人類にいろいろと貢献してくれた事を疑うことはできません。

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2006年8月28日 (月)

Zuiko Macro 50mm F2

Img_1290_w Camera : Canon5D, Lens : Zuiko Macro 50mm F2

デジタルカメラを使うようになって、焦点距離の短いマクロレンズが欲しいと思うようになり、Zuiko Macro 50mmF2のデッドストックを見つけた時に思わず買ってしまいました。

それまで、オリンパスのカメラはハーフサイズのオリンパスペン以外使ったことが無かったのですが、OMシステムのマクロレンズの評判は聞いていて機会があれば使って見たいと思っていた事もありました。

結果的にこのレンズは私の大のお気に入りとなり、OMシステムの他のレンズにも魅せられるきっかけになりました。

作例は、メーカーが全く推奨していない開放での遠景をわざわざ1/2000のシャッター速度を使って写したものです。

マクロ領域ではものすごくシャープなのに遠景を開放で撮ると、ほんわかして絵画的な印象の描写になります。ピクセル等倍でみると、ピントの合焦部もわずかに二線ボケのようになるためだと思います。

そんな描写が私には、筆のタッチを残した絵画的な描写に思えるのですね。またこのレンズは発色が濃いので、そのことも影響しているかもしれません。

もちろん絞れば、通常の標準レンズに遜色ない程度にシャープな描写となります。でもそれは、何かもったいないなぁーと、私は思ってしまいます。

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2006年8月26日 (土)

ブッドレアは蝶々のパラダイス

Img_9421_w Camera : Canon5D, lens : Zuiko 21mm F2

家のブットレアが咲き始めてから随分日がたち、また、その間に剪定もしています。悠長に構えていたらそろそろ花も終わりの気配が漂ってきました。

ブッドレアにはやはり蝶々がいなければ始まらないということで、強引に蝶々が入った写真を撮りましたが、これではブッドレアの紹介というよりも、ツマグロヒョウモン蝶を紹介しているようなものですね。後でもっと良い写真を探して追加します。が、たまたま私の使っている3種類の21mmの作例が並んだので、トリミングがあっても、性格の違いの片鱗は現れているので、その意味では面白いかもしれません。

で、ブッドレアですが、この花木の原産地は中国なのですが、英国で面白い光景を作っています。というのは鉄道の合間、地下鉄の切り通し、そんなところにブッドレアが生え、円錐の花穂のシルエットを揺らしています。それは、かつてプラントハンターが活躍しこの国にさまざまな植物をもたらし、あるものは土着化していった熱気と衰退を感じさせるものです。おそらく、この木がこの国で好かれる為に、土地の裂け目に芽吹いてもそのままにされるのだと思いますが、この木は手入れしてあげないと荒廃した感じに見えるのです。

私にしてもちゃんと手入れをしているとは思えないのですが、必要に迫られて剪定を行います。開花期は容姿を整えながら、花穂が伸びるように切り、冬場は思い切って切り詰めます。でないとすぐ、無法なジャングルになってしまうのです。

特に私の場合、後先考えずに、安いポット苗を物干しの近くに植えてしまったものですから伸びすぎないように必死な訳です。それに花殻は茶色く結構醜い姿をさらすのでこまめに取ってあげる必要があります。

苦労は多いのですが、夏の間、この花は私と蝶々を楽しませてくれます。蝶々は花の蜜を吸い、それに飽きたら花の周りをウロウロしてナンパをたくらんでいるようであります。私は花と蝶々を眺め、何か乾いた感じの、お線香の香りの印象も少し混じる花の香りに真夏を意識するのでありました。

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2006年8月23日 (水)

たまのかんざしと、その仲間たち

Img_8148_w Camare : canon 5D Lens : Zuiko 21mm F3.5 (こちらがSo Sweet)

橋の欄干の上にある、玉ねぎをさかさまにしたような飾りを擬宝珠と言いますが、それは、宝珠に似せているから擬宝珠と言います、そして宝珠は一部が突き出た球形の物で、仏教の世界では不思議な力があるものとされています。

ギボウシは花の蕾がその擬宝珠に似ていることから、ギボウシという植物名がついたそうですが、その意味では蕾の形は擬宝珠よりも宝珠に近いのでは、と不要な突っ込みをしたくなります。

ギボウシは最近ホスタという学名で一般的に呼ばれるようになりましたが、これは西洋でガーデニングの材料として改良された品種が一般的に出回った為でしょう。

この改良に多大な貢献をしている原種にタマノカンザシがあります。タマノカンザシとは日本的な名前ですが、中国が原産の品種で、日本には江戸時代あたりにやってきたらしいのですが、タマノカンザシという名もまた蕾の形が玉でつくったかんざしに似ているからだそうで、これもまた、蕾の形をモチーフにした名前です。

ところで、タマノカンザシがホスタの品種改良に果たした役割は、なんと言っても良い香りをもたらした事です。タマノカンザシの花には素晴らしい香りがあるのです。この花は、根元から伸びた花穂に円錐形に蕾が生長し、下のほうから蕾が膨らみ、一日一輪といった感じで毎日ぽとぽつと咲いてゆきます。タマノカンザシは夜咲きですから夕方になると一輪咲きその花が翌朝から日中にかけてしぼんで行くということを毎日繰り返すのです。

このような開花の性質は、暑い夏にできるだけ長く花を咲かせる工夫なのでしょう。虫を引き寄せるには新鮮な誘惑を持続させる必要があるのですが、暑い夏に咲く花だと花の痛みも激しく、毎日生まれ変わることによって新鮮さが維持できます。そのおかげで人間も、夏場にも関わらず、毎日香りを楽しめるのですが、その香りは、蒸し暑さに逆らわない、新鮮な青みと穏やかな優しさを持った香りです。笹ユリの香りと似たような印象なのですが、真夏に咲く分、本質的に笹ユリよりも強く、キリッとしたものがあります。

タマノカンザシはホスタのなかでも比較的大きな株になる品種で、さらに夜咲きですから、人々は、もう少し小さな株で昼咲きの品種が作れないかと欲します。いかに良い香りでも、香りを楽しむ為にはやぶ蚊との戦いを覚悟しなければならないし、出来れば昼に開花している花を見たいです。

Img_5323_w そんなことから、園芸種の中には小型で昼に咲き、香りを持つものも現れました。表題の写真の品種はSo Sweetというのですが、先の性質に加えて葉に斑入りの葉が美しいです。花もタマノカンザシに先駆けて咲きます。こうした園芸種を集めると、初夏から秋まで、花と香りが楽しめるのもうれしいことです。本当のタマノカンザシは左の写真です。どうしても昼の姿はしまりが無いですね。Camera : Canon 20D, Lens : EF100-400mm

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2006年8月21日 (月)

Tuberosa in the moonlight

Img_9313_w Camera : Canon 5D, Lens : Distagon 21mm F2.8

前にチュベローズを月光の下で撮りたいと書きました。花は開花前、場所も自分の汚い寝室なのですが、月の光で花を撮るためのデータ収集にはなるだろうと思って試みました。

本来のイメージは、開花したチュベローズが生けられたガラスの花瓶、月光が差し込んでくる窓辺、月光を反射する水なのですがうまく行きません。

月光の光だけでも、夜空はかなり明るく写ること。都会ではどうしても窓の外から余計な光が混入すること。長時間露出するので、床の染みまで写ってしまうこと。これらがイヤです。

そこで、思い切ってレースのカーテンを引いて見ます。月光は弱くなり、コントラストも低下するのですが、かえって月光が差し込んでいるような感じになります。

後は、デジタルでレタッチすればどうにでもなる訳で、ホワイトバランスをチュベローズの花に合わせ、暗部を持ち上げ、コントラストを少しあげています。この誇張を加えることでWEBで小さなサイズの写真を見る場合でも少し見やすくなります。

撮影データはRAW、ISO=400、絞り=開放F2.8、シャッター速度=30秒です。被写体までの距離は50cm。ピントは被写体に光をあてて合わせます、月光の光だけではピントを合わせることは無理です。画像をピクセル等倍にすると、月光の光だけで蕾のディテールが鮮明に写っていることが解ります。この辺り、このレンズの面目躍如といったところでしょうか。

結局、この花は蕾がぽろぽろと落ちてしまいました。茎は充分水を吸っているものの、各蕾に行き渡らないのです。前に記載した地植のチュベローズの写真と比較してみると茎の太さと蕾の数のバランスが切花では悪いことが解ると思います。

この花は少ない水をまず、小さな先端の蕾にあげるみたいです。したがって開花間近の下の蕾は水分不足になって落ちてしまうのです。どうしたら切花を綺麗に咲かせることができるのでしょうね。

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2006年8月20日 (日)

夏が来ればライカのレンズ

Telyt200mmf4_w Camera : Pentax645, Lens : Telyt 200mm F4, Film : RDP3

今回、ライカのレンズを紹介するモチベーションが寒いオヤジギャグの所業によるものであると気が付かなかった人は幸いだし、気が付いてしまった人には良い暑気払いだと信じております。

私、ライカのカメラは恐れ多くて持ったことも触ったこともありませんが、ライカのレンズは何本か持っております。プロジェクター用のレンズだとか、レントゲンCRT撮影用のレンズだとか。。。

そのライカのレンズを使ってみて、何となく思うのは、夏に合うレンズだなぁ、と言うことです。日本の夏、ライカレンズの夏です。

特に発色が何となくパステル調のような気がして、高温多湿の日本の夏、遠い夏の日、みたいな気になるのですね。

その為、夏になると好んでPentax645にライツのレンズを付けて出かける訳なのですが、あの手この手の工夫で90mmくらいからPentax645でも使えます。

今回のレンズはビィゾ用のテリート200mmF4ですが、200mmにはF4.5の旧バージョンもあります。F4.5のものだと周辺がかなーり怪しくなるのですが、それもまた味のうちかも知れません。F4のものだと、全く問題なく645をカバーします。

やはり夏が来たらライカですね。

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2006年8月19日 (土)

遅ればせながらフウランの香りをお届けします

Img_7956_w Camera: canon5D, Lens: Apo Macro Elmarit 100mm F2.8

フウランは最も好きなランのうちの一つです。ところが「富貴蘭」は最も近づきたくないランのうちの一つです。違いは何かというと、「富貴蘭」はフウランの選抜種で登録団体に銘を登録された品種です。

このような蘭は自然交配によって微妙に個体差があって、葉に変化があり、美しい縞を持つものも現れます、フウランは花の無い時でも葉を楽しめるので、このような葉の変化を葉芸と呼び、銘を持つのです。

バラの世界と似たようなものなのですが決定的な違いは、バラが人工交配して品種が選抜され、増殖されるのに対し、東洋蘭は自生地から採集したものがほとんどであることです。

もちろん、私はこれを否定しません、お江戸の昔から日本で発達した文化です。伝統文化としてしっかりと継承され、しかしブームにならないことを祈ります。

しかし、同じような植物でもフウランと呼ばれるものだと、園芸店で数百円単位で気軽に買えます。これは普通のフウランを株分けで増やしたもので、花を楽しむにはこれで充分。

昔、参勤交代の籠にフウランを持ち込み香りを楽しんだ大名もいたらしいのですが、良い趣味でしょう。

フウランの香りは心を落ち着かせるものがあると思います。昼よりも夜の方が香りは強くなりますが、別に色気がある香りではありません。どちらかと言うと色気より食い気、それも食後のデザートに相応しい香りです。空腹を満たした後にデザートもあるという幸福感。そんな幸福感をそのまま香りで表現したような香りです。

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2006年8月17日 (木)

サマーワインはトロピカルなワインのような香りがするバラ

Summerwine_w Camera : Hasselblad 500 C/M Lens : Planar 100mm F3.5 CT*  Film : RAPF

Summer Wineは1985年の作出ですから、このネーミングには歌のSummer Wine (1967年)が影響しているかもしれません。「イチゴとサクランボと春の天使のキスから作られたSummer Wine」のイメージです。

そのつもりで、ちょっと検証してみましょう。まず花の色形から。花の色はコーラルピンクのセミダブルで、どちらかというとイチゴとかさくらんぼよりはピーチの色でしょう。香りは、独特の滋味深い香りで、いちごやさくらんぼのようなフルーティーなものとは違います。ちょっと歌とは違うみたいですね。

バラの世界で作出から20年そこそこだと、「新しいバラ」なのでしょうから、探せばネーミングの意図が公表されているかも知れません。それを無視して、私は勝手に想像するのですが、このネーミングは、この花の香りからきているのでないでしょうか。

このバラの香りは、滋味深い赤ワインのような印象でかなり強く漂います。もちろんバラの香りの範疇は抜け出さないものの、バラとしてはかなり変わった香りです。でもとても良い印象です。

「夏」の演出は照り葉の緑の輝きです。このバラは実に美しい緑の照り葉を持っていて初夏の日差しを受けて健康的な輝きを放ちます。またセミダブルの花もコーラルピンクの花色でトロピカルな感じがします。結局サマーワインという名前は見事にこのバラの姿、香りを表しております。

つるバラなので、壁際に植えているのですが、狭いスペースなので、その成長の早さと健全性に手を焼いています。おそらく広いスペースだと大木になり、花を連続開花させるのではないでしょうか。しかし、私の家では無理で、ある程度伸びてきたら枝を剪定してしまうので、毎年新しいトゲトゲのシュートを出して上に、上に伸びて行こうとします。

エネルギーがそちらに集中するせいか、また花が結実しやすいせいか、私のうちでは今のところ春だけの開花となっています。

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2006年8月15日 (火)

Pan Tachar 125mm F2.3 Astro Berlin for Rolleiflex SL66

Yamayuri1_w Camera : Rolleiflex SL66SE, Lens : Pan Tachar 125mm F2.3, Film : RVPF

Pan TacharはドイツにあったASTRO Berlinが作ったレンズで、4群4枚のレンズ構成で開放値はF2.3シリーズとF1.8シリーズがあり、焦点距離は255mmまであったとされます。シネマレンズまたはスティール写真のレンズとして用意されていましたが、1963年のカタログを見ると、125mmF2.3、150mmF2.3、150mmF1.8がラインアップされていて、他の焦点距離のレンズはPan Tachar以外でアップされていたと思われます。

またこの3本は6x6判カメラ用のマウントで特注することが出来たようですが、値段はPraktika等の35mm判一眼レフと同じ値段です。ちなみに最も安価な125mmF2.3のレンズで225ドル。当時としては充分に高価だったものと思われます。

私が使用しているものは、ムービーカメラ用のものをRolleiflex SL用のマウントに変換したものですが、もともと6x6用でも用意されたくらいですから、一応6x6をカバーします。

一応と書いたのは、開放ではぐるぐるボケに見舞われるからですが、これが面白くて、わざとこのボケが出るような状況で使うことが多いです。作例の写真は真ん中に山百合の花を配置して撮影し、これを右隅にくるようにトリミングしたものです。

当初、自生地の環境を表現する意図でヤマユリの紹介写真に使おうと思ってスキャンしたのですが、これではヤマユリが少し可哀想なので、ボツにしたのですが、せっかくスキャンしたので、Pan Tacharの紹介に使わせてもらいました。

このレンズも絞ればぐるぐるボケは無くなって行くし、中心部のピントは素晴らしいものがあるのですが、これだけ大きなぐるぐるボケをかましてくれるレンズは少ないので、わざとぐるぐるさせてます。

そんなこともあってか、私はこのレンズを使うとき上機嫌に♪Das gibt's nur einmal, das kommt nie wiederなんて歌ってしまいます。「会議は踊る」の主人公の女性がロシア皇太子の館に向かう時のシーンを思い出し、あのシーンはPan Tacharで撮られたのかな、という思い込みから、主題歌の「ただ一度だけ」を口ずさんでしまうのです。

しかし「会議は踊る」は1931年公開、このレンズの製作は実際には微妙に間に合っていないような気がします。

でも写真を撮る人には良い歌詞ですね「ただ一度だけ、二度と無い」なんてね。

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2006年8月12日 (土)

ヤマユリはユリの女王様

Yamayuri3_w Camera : Pentax67 Lens : SMC Pentax 75mm F2.8 Film : RAPF

昔々、私がまだ子供の頃、近所のお寺ではお盆が近づくとお墓の草刈の仕事を募集して、農家のお母さん達の手ごろな仕事となっていました。私の母もよく私を連れて草刈の仕事をしていました。

もちろん草刈鎌による手作業で、エンジンカッターで草をなぎ倒して行く現在の作業とは全く別物の重労働だったと思います。

ただ、そんな重労働にもかかわらず、お母さん達はヤマユリは刈らずに丁寧に残しておりました。夕方作業が終わると、残されたヤマユリが恥ずかしそうに、細々と風に揺られていた情景を覚えております。

実は、ヤマユリは藪の中に半身を隠しているのが好きな植物なのです。暑い西日から守られ、また重い花を咲かせる為、風が強い時には寄りかかることも必要なのかも知れません。周りの草を刈られてしまうといきなり不安定になってしまうのですね。

Yamayuri4_w 野原に自立しているのが不安定であるならば、最初から倒れていれば良い訳で、ヤマユリは左の写真(写真のデータは表題のものと同じ)のように西側を山にした傾斜地に倒れこむように咲く姿も多いです。

ヤマユリの花に関しては、いまさら言う必要も無いユリの女王です。褐色の斑点が派手で苦手に思う人もいるでしょうが、私には真夏の太陽に負けない輝きを放つように見え、素晴らしい花だと思います。私に言わせれば、この花を交配親にしたどのオリエンタルハイブリッドの花も、この花を超えたものはありません。輝きは失われることはありません。

また、ヤマユリは真夏に咲く花にもかかわらず、強い香りを持っています。藪の中に咲いていても香りで存在がわかるほどです。香りは甘く強いのですが良い香りです、もちろん、カサブランカをはじめとするオリエンタルハイブリッドのユリと近い香りですが、カサブランカと比べると、「野生」を感じる凛々しさがあります。

写真の花は8月6日に箱根で撮ったものです。関東でも山地ではまだ花を咲かせ、道路の斜面から帰省や行楽の車を見守ってくれることでしょう。

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2006年8月10日 (木)

チュベローズは危険な楽しみ

Img_8217_w Camera : Canon 5D Lens : Ultron 50mm F1.8

チュベローズの花言葉は「危険な楽しみ」。何か思わせぶりな花言葉ではありますが、少なくてもこの球根を育てて花を咲かせようとする人や、切花を活けようとする人には失敗するという危険が付きまとうことは間違いありません。

私も球根栽培では、ほぼ完全に開花させることが出来るようになったものの、この前、安価だったので大量に買い入れた切花は水揚げに失敗して、ポロポロと蕾が落ちてしまいました。台風一過の美しい月を見るにつけ、水揚げに成功していれば大きな花瓶に満載のチュベローズを月明かりで撮影することができたと思うと無念でなりません。月夜に映える月下香(チュベローズ)の絵は、どうしても欲しいのでまたの機会を待つことにします。

月光を浴びて咲く花の写真を撮りたいのは、この花の日本語名が月下香ということだけでなく、この花の香りと容姿が月光のもとで輝く姿に合致しているからです。

花は純白の蝋質で艶があり、しっとりとして、きめ細かで滑らかな花びらです。また、その香りは高級で神秘的、奥深さがあり妖艶です。

この花の姿と香りは、月夜の晩に、色白で聡明な美女が、妖艶なオーラを出しながら、自らは罪が無く、孤高にたたずんでいるような、そんな印象です。

花言葉の「危険な楽しみ」も妖艶な感じのする香りから来ているものと思われますが、また一方で、決して俗に落ちることが無い高潔感もこの花の香りにはあります。

Img_8103_w <PS>この花は戸外で咲かせるとスリップスの被害が酷いので、家の中に入れてあげます。表題の写真は雨の日の室内での撮影です。室内に入れる前の屋外での写真を左に追加します。Canon5D,EF100-400mmで撮って、トリミングしてあります。また、花の名前の表記もチェベローズ、チュベローズ、チューベローズとあるようで、当初チェベローズと表記していましたがチュベローズに改めます。一番のメジャーはチューベローズのようなのですが、 チューには抵抗があります、正式にはPolianthes tuberosaです。

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2006年8月 8日 (火)

ハマユウは南国の海に真夏を招く

Img_9279_w Camera: Canon5D, Lens : EF24-105F4L

前に住んでいたマンションの向かいの家にはおじいさんが住んでおり、夏の夕方には縁側でよく涼んでいました。その傍らにはいくつかの立派なハマユウが植栽されており、私もハマユウの香りのおこぼれにあずかることが出来ました。

やがて、誰も縁側に現れなくなり、その家も解体されようとする時、ブルドーザーのショベルの先のハマユウをやるせない気持ちで見送ったことを覚えております。

何となくそんなことを思い出すうち、私の現在の家が建っているところにも、昔おじいさんがハマユウを育てていたという話を聞きました。現在の家を建てる前には旧家の植栽を充分チェックして残すものは残したはずなのに記憶が無いのは、その当時もう無かったと思われます。

私もハマユウは好きなのですが、何となく自分で育てるのは遠慮しておこうかと思っています。庭で見るハマユウも良いのですが、逗子に行けば「北限のハマユウ」に会えるし、なんと言っても海辺で見るハマユウは美しいです。

ハマユウはCrinum asiaticum var. japonicaという学名から想像できるように、日本の暖地の海辺に自生する球根植物ですが、 房総の先端とか、三浦半島が北限になります。

もっと南に行けば、海を背景にした大群落が見られるのかも知れませんが、三浦半島の自生地でも海岸にとても近い位置でハマユウが咲く姿を7月から8月まで鑑賞することが出来ます。

ただ、ここは5時以降は立ち入ることが出来ないので、浜辺に漂うハマユウの香りを楽しみたい人には残念です。ハマユウは夜の蛾を誘引する為、夕方から開花し強い香りを発するのです。その香りは甘く艶かしく、月光に青白く照らされた花びらから、少し湿った潮風に乗って漂ってきたらどんなに素晴らしいことかと思うと悔しいです。

ハマユウは夜に咲いた花が昼も残ります。そして、くたびれてきたコパトーンのような香りに変わり、浜に遊びに来た人に真夏の海を感じさせてくれます。

Img_9271_w <PS>表題の写真では渚の近さがわかりませんね。波打ち際がわかる写真を追加します。実はこのカットは、少年の帽子の赤が強く出すぎてボツにしていました。

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2006年8月 6日 (日)

Hasselblad 500CMとPlanar100mmF3.5

Kjuniorschool_w Camara : Hasselblad 500CM, Lens : Planar 100mm F3.5  C T*, Film : RDP3

夏休みの小旅行にデジタル一眼とHasselblad 500CMを持って行きました。レンズはPlanar100mmF3.5を一本付けっぱなしです。

本来この状況では、コンパクトな80mmか広角の60mmを選ぶべきなのですが、今回ひょっとして炭鉱跡とか訪ねるチャンスがあるかもしれないと思い100mmにしました。何かしら構造物を撮ろうと思ったらPlanarの100mmは圧倒的に優れているからです。

旅に出る前こそワクワクしていろいろ機材を考えますが、旅の途中ではカメラを出すのも億劫になり、実際はほとんど標準ズームをつけたデジタル一眼で記録することになってしまいましたが。

そんな中、汽車の車窓から素晴らしい木造校舎の小学校が見えました。即座に位置を確認し、アプローチを検討し、ここだと思う駅で下車しました。

そして、先ほどの小学校にたどり着くとおじさんが草むしりをしていたので、「校舎の写真を撮っても良いですか」と聞いたところ「何だったら中も案内するよ」と言ってくれました。草刈をしていたおじさんは校長先生だったのです。

旅行の期間中でPlanar100mmが活躍する唯一のチャンスでしたが、実はHasselbladを持ち込むことはためらいました。高感度フィルムを持っていなかったからです。デジタルならISO感度を上げるだけなのに、フイルムカメラはフィルムを変えなくてはならないし、そんな種類を通常持ち歩くことは無いのです。もちろん三脚も大げさなので持込は最初から遠慮するつもりでした。

結局、ストラップにテンションをかけて気合で止める、という方法で撮影したのですが、コレが結果的に子供の身長の目線と一致したみたいで、本来撮りたかった角度で撮影できました。

私が卒業した小学校は、小学校自体が無くなってしまいましたが、Hasselbladのスクリーンに写される光景は、自分が子供の頃見たものとそっくりでした。

木の廊下、木の格子が入ったガラス窓、コンクリートの手洗所、休み時間には鳴るのがイヤで見上げたベル、壁に張られた絵。オートフォーカスのデジタル一眼のファインダーと全く違った絵画がHasselbladのスクリーンに写され、しばらく至福の時を過ごすことが出来ました。

このカメラを持ってきて良かったと思える瞬間です。

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2006年8月 4日 (金)

ラベンダーでタイムトラベル

Img_8822_w Camera: Canon 5D, Lens: EF100-400 F4.5-5.6L

ラベンダーは群植されている姿が美しいと思います。あるいは家の玄関で大きなコンテナで育てられている姿も良いものがあります。いずれにせよ大きな株ほど美しいのは間違いありません。

かつて、英国の王立キュー植物園を見学した時、植物園そのものもさることながら、付近の住宅の美しさに驚いたことがあります。そんな美しい住宅は決まって家の周りにラベンダーを植栽しており、白い家と紫のラベンダーの花、灰緑のラベンダーの葉が見事に調和しておりました。

ラベンダーは暑さと日照不足に弱い植物なので、日本では北海道が一番適した環境になります。事実、香料の原料として営利栽培されてきた歴史があります。

ところが、香料用の栽培は外国産に押されて廃れ、現在は観光の用途に栽培されています。皮肉なことに現役で農作物をしていた頃よりも、観光資源となった今日のほうが、ラベンダーは目に付きます。今や、ラベンダーは畑にとどまらず、公園、公共施設、道路際まで植えられています。

香料用として栽培する場合は七部咲きくらいで刈り取られるのに対して、観光用では完全に咲き終わるまで花穂をつけているので、開花を見れる期間が長いことも影響しているかも知れません。しかし、最も重要なことは、農作物として栽培される場合は、原則立ち入り禁止、たとえ栽培されていたにしても近づくことなど不可能だった為でしょう。

農業の本質から言えば寂しいことですが、ラベンダーがシビアな農作物から引退して観光用の資源になったことで、私もラベンダー畑でたっぷりとラベンダーを堪能できます。

花の美しさもさることながら、ラベンダー畑の香りはとても素晴らしいのです。ラベンダー畑で、花の写真にアクセントを付けるため蝶々を追っかけていると、ラベンダーの香りに包まれていることを実感します。

その香りはエッセンシャルオイルでもおなじみの清涼感のある香りに加えて、いかにも生花の花畑らしく、郷愁をさそう日向の香りと、そよ風に乗る草の優しい香りが混じる香りです。

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2006年8月 2日 (水)

旅にはデジカメで決まりかも

Img_8758_w Camera : Canon5D, Lens : EF24-105mm F4 L

先日夏休みを利用して北海道にちょこっと行ってきました。北海道なら道内を夜行列車も走っているので、宿泊先を確保しなくても気軽に行けるのではと、いい加減に考えて出発したのですが、やはりいい加減で、特別な事は何もしませんでした。

ただ単に一日いっぱい汽車に乗っていただけです。私は鉄道趣味もあって、汽車に乗って車窓を眺めていればそれで幸せなのです。

鉄道での移動なので、カメラは軽量化を考えてCanon5D, Canon20D,Hasselblad500CM、レンズはEF24-105mmF4、EF100-400mmF4.5-5.6、Zuiko21mmF3.5、Planar100mmF3.5を携行しました。

カメラをパッキングしながら、「自分も随分おとなしくなったなぁ、大人になったなぁ」と感慨深かったのですが、これまで一般的だったのがPentax67、Pentax645のボディーと、67用の300mm、165mm、75mm、645用の35mmとコンパクトデジカメというセットだったのです。

ただ、今回思ったのはこの大人セットでさえ、大げさでした。極端な話5DとEF24-105mmだけでも充分で、かえってあまり使わないカメラのせいで行動が制約されたような気がします。なにせ、重いですから。

今まで、ある程度画質にこだわってきたので中判カメラを携行したのですが、最新のデジタル一眼は、望遠、接写、弱光線、ミックス光源の状況では中判カメラ以上の結果を出す場合が多いのです。撮影の安易さから言っても、もうデジタル一眼だけで良いかも知れません。

写真は、厚岸~糸魚沢の車窓から撮ったものです。朝霧の中、保護フイルムを貼った汽車のドアガラス越しに飛ぶ鳥が、ひょっとしてオジロワシかな?と思われたのでとりあえず抑えておきました。デジタルカメラの保護フィルターでさえ神経質になる人には考えられない状態です。レンズの焦点距離は75mmです。

この状況でぱっと撮れて、これだけ写れば、私としてはもう充分。下の写真は別のカットから鳥の部分を拡大したものです。悠然としていて貫禄がありますね。

Img_8760_w

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