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2006年7月18日 (火)

花の命を完全燃焼させるタイサンボクの花

Taisanboku_w Camera : Contax AX, lens : Vario Sonnar80-200mm F4, Film : Trebi

前に住んでいた家の庭にタイサンボクが植栽されており、その時は邪魔だなぁと思っていました。普通タイサンボクは高木になるのですが、庭木なので横に分岐するように剪定され、その通り横に広がり、庭の一角を年中日陰にしておりました。

落ち葉を集めて、落ち葉焚きをするとパチパチと勢いよく燃えて、怖いくらいでしたが、生木の葉でも結構よく燃えました。落ち葉焚きが出来た時分は、焚き木のカンフル剤として少し役に立ちましたが、焚き木も自由に出来なくなると、いよいよもって厄介者だったのですが、5月から6月にかけて、花が咲く時だけはスターでした。

白い花は強く爽やかな感じの香りを持っていて、その香りが庭から吹いてくる風に乗ると家の中を抜けて行き、家の中をくまなく爽快な空気と入れ替えてくてるようでした。

また、雨の日もじんわりと、湿った空気に香りを漂わせ、それは晴れた時の爽快さとは少し違い、慈しみ深さが感じられる香りであります。

私は、この花は開ききった状態よりも、チューリップの形の咲き始めの方が好きです。かつて、そんな咲き始めの枝を切花にして、玄関に飾ってみたら、茶花のようになかなか風情があって、「玄関の芳香剤がわりに良いナ」とご満悦だったことがありました。ところが、外出し戻ってくると、玄関を入った瞬間、目がチカチカして開けられません。素性は良いものの強烈な匂いが充満しています。見ると先ごろ活けた白い花が開いて茶色く変色しています。

その様子は、タイサンボクの花が自分が発散する香りで自滅しているようにも思えました。もともと、短命の花なのですが、短時間の間に莫大なエネルギー花の命を完全燃焼させているようにも思われます。

茶花のように、静かにたたずんで「侘び」だの「寂び」だの言ってられないエネルギーの噴出がこの花にはあるようです。

この木は、米国のフロリダ辺りが原産地らしいのですが、耐寒性がそれなりにあるので関東地方でも冬の寒さを苦にせず大木になります。大木の木は見ていて気持ちのよいものですが、反面この花が近くに見れないのは残念です。

それでも近くに花が見れるような機会に恵まれたなら、是非この花のパワフルさを見てあげて下さい。

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