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2006年7月15日 (土)

月夜に映えるヒメノカリスの花と香り

Img_7902_w Camera : Canon5D lens: Apo Macro Elmarit 100mmF2.8

写真にちょこっと写っている花グモは、日光浴でもしてくつろいでいるところ、いきなりカメラをもったオヤジにドカドカと迫られ、何だ何だと狼狽して、半身を隠しているところです。この後かれは糸をたらしダイビングして逃げて行きました。

このいきなりの狼藉が、たまたま自分が止まっていた花の名前がスパイダーリリーだった、ただそれだけの理由によるものと知ったら、彼も納得イカネェーでしょうか。

ともかく、この花は英語でSpider Lily和名でササガニユリと呼ばれるヒメノカリス(Hymenocallis)で、園芸種のザウネンブルグ(Zwanenburg)と言います。英語では花びらをクモに、和名ではカニに、そして学名でははなびらでなく筒の形の膜に注目して名前をつけております。

ヒメノカリスは膜(Hymeno)が美しい(Callis)という意味で、似たような名前の花にニッコウキスゲの仲間をさすヘメロカリス(Hemerocallis)がありますが、こちらは一日の(Hemero)美しさという意味です。

ヒメノカリスはヒメロカリスとちがって一日で花がしぼむことはありませんが、短命な花です。条件にもよりますが2、3日ということもあるでしょう。この間に受粉をしなければならないので、大変な工夫が必要です。ヒメロカリスは一日花ですが毎日のように新たな花が開花するのに、ヒメノカリスは数に限りがあるのです。

では、どんな工夫をするかというと、とにかく目立つことです。私は専門家では無いので推測の粋を出ないのですが、細くて長い花びらは、花を大きく見せるため。おしべの付け根にある膜は、長いおしべを補強するだと思います。少ない資源でなるべく花を大きくみせる工夫であると思うのです。

さらに、この花はもう一つ、花の存在をアピールする工夫をしています。それは素敵な香りです。すこし青っぽく、バニラのような甘さも混じる香りは、チューベローズの香りにも似た妖艶さもちらりと感じます。この花の形と香りは、主に月夜に徘徊する蛾を誘惑するために考えられたものと思います。夜に映える香りです。

この花の原種はアメリカ大陸の温かい場所に集中しており、原種のいくつかは水の綺麗な川の側に小さな群落を作るようです、写真でしか見たことはありませんが、素晴らしい光景です。

日本でも冬に球根を保護してあげれば開花率の高い花なので、庭にちょっとした群落をつくって見ることは出来ると思います。

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