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2006年7月25日 (火)

クチナシにまつわる遠い思い出

Gardenia_w Camera:Zenza Bronica S2 Lens: Tele Xenar 30cm F5.5 for PRAKTICA Film: E100VS

初めて買った鉢花はくちなしの花でした。中学の頃、親に内緒で小遣いを使い、植木市で買って密かに部屋に持ち込み、夜な夜な水をあげてはくちなしの花に見入っていました。

そのうち花が終わり、どういう訳か葉も枯れてくると悲しくて仕方がありませんでした。今思うと、それは水のあげ過ぎで根腐れを起こしてしまっていたのですね。

そもそも、何故あれほどコソコソと鉢花を買って隠していたのか不思議です。大麻を衣装ケースで育てていた訳ではなく、クチナシなんです、どうしたって反社会的行為には思えません。強いて理由をあげるとすれば、男子中学生ともあろうものが、クチナシの鉢花に入れあげていてはいけない。と思い込んでいた為でしょう。

当時の私が親に隠してクチナシの鉢花を手に入れたのは、ひとえにその香りに感動したからであります。生まれてはじめて体験した、穏やかで、甘く優しく、清純な香りだったのです。同じよい香りでもジャスミンだとそこまでの感動はなかったかも知れません。おそらくジャスミンの香りを嗅いでも、何か化粧品のような香りと思っただけだったかもしれません。

クチナシの香りの魅力はこの生花の香りにあります。これだけ香りを讃えられながらエッセンシャルオイルが無いのです。ブレンドされたフレグランスオイルがあるだけです、エッセンシャルオイルを作るには採算が合わないでしょうし、採算を度外視しても生花の香りとは違ったものになるでしょう。

実際クチナシをモチベーションにした数々のフレグランスオイルがありますが、それのどれをとってもクチナシの生花にまさるものはありません。

PS.夏休みをもらえたのでしばらく更新を休みます。

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2006年7月23日 (日)

Ysarex 150mm F4.5 for Graflex xl Lens

Ysarex150mm_2_w Camera : Graflex XL lens: Ysarex 150mm F4.5 Film : RVP

Graflex XLは本体の使いにくさとは裏腹に、ラインアップされたレンズには魅力的なものばかりです。このカメラを使う度に何とかしてレンズだけ摘出して、別のカメラで使えないものかと考えてしまいます。特に望遠レンズに関しては。

Graflex XL自体は悪いカメラではありません。インチ規格で統一された素晴らしいシステムカメラです。レンジファインダーで超広角から望遠まで使え、フイルムのサイズもブローニーの各サイズから、ポラロイド、45の大判まで使えるアダプターさえあります。

ただ、この欲張りすぎが災いして、ファインダーがいい加減すぎるのです。ファインダーの真中はさすがに写ります。しかし、上下、左右どの範囲が写るのか解りません。そのため、画角の狭い望遠ほど不利なのです。

ところで、Ysarex150mmですが、これはRodenstockがGraflex XLの為に用意したレンズのうちの一本です。Graflex XLにはZeissもレンズを用意しており、Rodenstockのラインアップはどちらかというと、地味なのですが、そのなかでも150mmは目立たないレンズです。

一説によると、稀土類ガラスを使ったテッサータイプと言われております。はっきりしていることは、180mmのSonnarやRotelarよりも鏡筒が長く、その割にレンズは軽いこと。おそらく45をカバーするイメージサークルを持っていること。開放ではややソフトな感じがするものの、絞り込むにつれて加速的にシャープになって行くことです。Rodenstockは180mmにテレタイプのRotelarを用意しながら、何故こんな長い鏡筒で何故150mmを用意したのでしょう。謎です。

このレンズこそマウントを取り外して、大判で使いたいのですが、鏡筒が固着してマウントが外れなく、さらに鏡筒が長いので、シャッターの座金も回せないので、レンズの摘出はあきらめております。

ジレンマを抱えつつ、「大体あの変まで写るかなぁー」と牧歌的なことをつぶやきながら、正しくGraflex XLで使用しております。作例の写真も手持ちでISO50、日陰という条件でしたが気持ち絞っています。スキャンでは解りにくいのですが、暗部もつぶれずよく出ています。ただ、本当はもっと上部が写っているハズだったのですが。

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2006年7月22日 (土)

白百合には聖母の面影

M_lily_w Camera :Rolleiflex SL66SE Lens: Kinoptik Paris 100mmF2 Film: RAPF

白百合と言った場合、マドンナリリーが本来意味されるべき花です。マドンナリリーは従来は、ヨーロッパで普通にゆりと呼ばれていました。ヨーロッパに日本から鉄砲ゆりが輸出され、その美しさと香り、手軽さでヨーロッパのゆり需要を満たすようになると、従来種のゆりと区別するため、従来種をマドンナリリー、鉄砲ゆりをイースターリリーと呼ぶようになったとか。

では、何で、ユリがヨーロッパで大切な花だったかというと、キリスト教が関係しているからでしょう。キリスト教の初期に、マリア様が埋葬されたところにユリの花が咲いていたという伝説によって、マリア様のゆかりの花としてユリは昔から大切にされてきましたが、中世の宗教画に取り入れられるようになると、マリア様のシンボルとして、純潔の花言葉のもとに宗教的に重要な花となったのです。

このいきさつからすると、ユリの花はキリスト教にとって、後づけで宗教的な花になったということになります。逆を言えば、この花自体にマリア様を連想させる魅力があったということになると思います。純白な花びらがそうでしょうし、かぐわしい香りがそうでしょう。

ところで、このユリの香りに、例えばカサブランカの香りを想像するとグラマーすぎるきらいがあります。カサブランカ等のオリエンタルハイブリッドとマドンナリリーの香りは別物です。

残念なことに、日本ではマドンナリリーは夏の暑さが災いして育ちません、しかし、写真のゆりのように大手種苗業者から、マドンナリリーの交配種が出ていて、マドンナリリーの香りをよく移植しているので、これでしのぶことが出来ます。

それによると、カサブランカ等のオリエンタルハイブリッドのような重い甘さがなく、すっきりしたキレと、凛とした気品があり、清らかな感じがするものです。

ただ、残念なことにこの交配種ですら、暖地では長くは持ちません。結構気合を入れて育ててみても、年とともに花付が悪くなり、やがて土に返ってしまいます。

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2006年7月20日 (木)

気難しい妖精のクリダンサス フレグランス

Img_6628_w Camera: Canon 5D Lens: Macro Planar 100mm F2.8 AEG

クリダンサス フレグランス(Childanths Fragrance)の球根が、園芸の大手通信販売のカタログに登場してから久しいのですが、あまり広がる気配を見せません。どう解釈したら良いのでしょうか、一度は物珍しさで買ってみたけれど、後が続かなかったとすべきでしょうか。

実は、私もその一人です。香りの良い花を見たり育てたりするのが趣味ですから、カタログにこれほど美味しそうなものが載っていて見逃すことは無いのです。

球根を買った一年目、小さな鉢に植えてみる。花が咲いたような咲かなかったような、記憶に残らない状況で終わる。まあ、最初だし、球根が小さかったのかも知れない、と、来年に期待する。球根が分球して、得をした感じになる。
二年目、全然花は咲かない。鉢ではスペース不足かと、地植えに変える。三年目、跡形も無く消えて無くなる。

こんな感じでしょうか。お気楽な放任でも綺麗な花を咲かせるような植物ではなさそうです。十分な知識が必要に思います。

この植物は英語でPerfumed Fairy Lily(良い香りの妖精百合)という名前です。名前だけから想像すると、「私の好きな球根植物ベスト10」という投票があれば上位入賞を果たしそうなくらいポピュラーな植物に思えます。しかし、実際には、英語で検索しても正しい情報は少ない部類の植物です。

その中で、はっきりしているのは、春に排水の良い土壌に植え、十分な日光の下で育て、秋には球根をほりあげて越冬させる。という手間をかけてやる必要があることです。分球を防止するには、深植えしてあげると少しは効果があるかも知れません。英語でも別名Delicate lilyと呼ばれるみたいですが、本当にデリケートです。

この花は背が低いので、鉢花で鑑賞するのが良いと思います。草丈に対して大きめの、黄色の花が映えますし、新鮮なレモンの皮のような魂に響く香りも良いです。特に香りに関しては夜の方が似つかわしい感じがします。鉢花ならば、夜でも鑑賞しやすいところに持ち運ぶことが出来ることも便利です。

ただ、鉢花に仕立てた球根は翌年の開花を狙うならば、日当たりの良いところに埋めて、肥培する必要があるでしょう。

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2006年7月18日 (火)

花の命を完全燃焼させるタイサンボクの花

Taisanboku_w Camera : Contax AX, lens : Vario Sonnar80-200mm F4, Film : Trebi

前に住んでいた家の庭にタイサンボクが植栽されており、その時は邪魔だなぁと思っていました。普通タイサンボクは高木になるのですが、庭木なので横に分岐するように剪定され、その通り横に広がり、庭の一角を年中日陰にしておりました。

落ち葉を集めて、落ち葉焚きをするとパチパチと勢いよく燃えて、怖いくらいでしたが、生木の葉でも結構よく燃えました。落ち葉焚きが出来た時分は、焚き木のカンフル剤として少し役に立ちましたが、焚き木も自由に出来なくなると、いよいよもって厄介者だったのですが、5月から6月にかけて、花が咲く時だけはスターでした。

白い花は強く爽やかな感じの香りを持っていて、その香りが庭から吹いてくる風に乗ると家の中を抜けて行き、家の中をくまなく爽快な空気と入れ替えてくてるようでした。

また、雨の日もじんわりと、湿った空気に香りを漂わせ、それは晴れた時の爽快さとは少し違い、慈しみ深さが感じられる香りであります。

私は、この花は開ききった状態よりも、チューリップの形の咲き始めの方が好きです。かつて、そんな咲き始めの枝を切花にして、玄関に飾ってみたら、茶花のようになかなか風情があって、「玄関の芳香剤がわりに良いナ」とご満悦だったことがありました。ところが、外出し戻ってくると、玄関を入った瞬間、目がチカチカして開けられません。素性は良いものの強烈な匂いが充満しています。見ると先ごろ活けた白い花が開いて茶色く変色しています。

その様子は、タイサンボクの花が自分が発散する香りで自滅しているようにも思えました。もともと、短命の花なのですが、短時間の間に莫大なエネルギー花の命を完全燃焼させているようにも思われます。

茶花のように、静かにたたずんで「侘び」だの「寂び」だの言ってられないエネルギーの噴出がこの花にはあるようです。

この木は、米国のフロリダ辺りが原産地らしいのですが、耐寒性がそれなりにあるので関東地方でも冬の寒さを苦にせず大木になります。大木の木は見ていて気持ちのよいものですが、反面この花が近くに見れないのは残念です。

それでも近くに花が見れるような機会に恵まれたなら、是非この花のパワフルさを見てあげて下さい。

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2006年7月17日 (月)

Septon 50mm F2の作例など

Img_8199_w Camera : Canon5D Lens : Septon 50mmF2

もともと、カメラ機材の作例は、香りの良い花に関する記事の作成に疲れた時に気分転換を図る為と、更新頻度をかせぐ為に用意したスレッドでした。

「独り言」とか、ありがちなタイトルにしても良かったのです。そんな目的なので、書くのに労力を使いたくは無いのですが、うろ覚えな部分が出てくると、思わずネットで検索したり、本をひっくり返したりしてしまい、なんだかなーと思うこの頃であります。

花の紹介についても、なるべく咲く時期に合わせて記載しています。花の写真はこれまで中判のフィルムカメラで撮っていたのですが、ポジがすぐ見つからなかったり、スキャンする時間が無かったりするので、デジタル一眼で撮り直して掲載することが多くなってきました。最初の意気込みは全部フィルムスキャンで行こうと思っていたのですが、時間的に無理でした。

香りの良い花は5月、6月に多く、この時期に撮影までしたものの、紹介することが出来なかった花も数多くあります。反面、スタージャスミンやジュネは現在も咲き続けているので、これらはもっと後に紹介しても良かったかも知れません。

7月はあと、6種類くらい紹介するとして、タイサンボク、白百合、マツリカ、クチナシ....白い花ばっかしですね。何か間に入れましょう。

Septon 50mmF2は別の機会にしっかり説明します。フォクトレンダーが作ったデュッケルマウントのレンズで、今回はM42を間にかませて、2つのマウントを使用してEOS5Dで撮影しています。このレンズはずーっとContaxAXで使用していました。その時は気が付かなかったのですが、最短が90cmまでしか寄れないのです。セトモノの人形もこれで目いっぱい寄った状況です。絞りは開放F2です。レタッチもしていません。

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2006年7月16日 (日)

Super Ikonta Super six 532/16

Img_5262_w 写真のカメラはZeiss Ikonta 532/16、一般にスーパーシックスと言われるカメラの第二世代、1937年から1956年まで作成されたものです。その中でもシャッターとレンズから戦前の1930年代のものと思われます。

製造後70年近く経っても、ボタンを押すと金属のフリクションでヌメェーとレンズがせり出してくる感触はそのままです。格納の際のカッチリ感もそのまま、ノンコーティングのレンズが天然コーティングされてきたこと意外は全て、70年前と同じように思えます。

ちょっとやりすぎるのがZeissの悪いクセと言う人がありますが、このシンプルな機械の精度、素材、感触が70年も維持される様子はさすが、という気がします。

もっとも、当時のスーパーイコンタというのは、今日の最高級デジカメCanon1Ds mark2でさえ比べる対象では無いほど高級なものだったのかも知れません。

スーパーイコンタは70年持つけれど、Canon1Ds Mark2が70年持つことは有り得ないのだから、その価値観だけで考えれば間違いなくスーパーイコンタのほうが上手ですから。

ところで、スーパーイコンタと言う名は、正しくはZeissのホールディングカメラで距離計が付いているものをスーパーxxと言う中で、フイルムサイズが6x9のものを指します。6x4.5のサイズはスーパーセミイコンタ、6x6のサイズはスーパーシックス、と使い分けるのが正しいようです。

私は、スーパーシックスだけ2台使用しているのですが、1台は写真の第二世代、もう一台は戦後の第三世代です。カメラとしての使い勝手はレンズもコーティングされている第三世代の方が良いのですが、モノとしての風格、完成度でいったら、戦前のものが優れています。それに11枚しか撮れないこともコマダブりの心配が要らない分、美徳かも知れません。

Jenatessar80_2_w レンズはノン コートのTessar80mmF2.8ですが、Tessarらしくない柔らかい描写をします。このあたりはモノ コートのTessar75mmF3.5が付いている第三世代以降との大きな違いです。作例は逆光でどんな風になるかテストしてみた時のものです。盛大なフレアーとゴーストが楽しいですね。

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2006年7月15日 (土)

月夜に映えるヒメノカリスの花と香り

Img_7902_w Camera : Canon5D lens: Apo Macro Elmarit 100mmF2.8

写真にちょこっと写っている花グモは、日光浴でもしてくつろいでいるところ、いきなりカメラをもったオヤジにドカドカと迫られ、何だ何だと狼狽して、半身を隠しているところです。この後かれは糸をたらしダイビングして逃げて行きました。

このいきなりの狼藉が、たまたま自分が止まっていた花の名前がスパイダーリリーだった、ただそれだけの理由によるものと知ったら、彼も納得イカネェーでしょうか。

ともかく、この花は英語でSpider Lily和名でササガニユリと呼ばれるヒメノカリス(Hymenocallis)で、園芸種のザウネンブルグ(Zwanenburg)と言います。英語では花びらをクモに、和名ではカニに、そして学名でははなびらでなく筒の形の膜に注目して名前をつけております。

ヒメノカリスは膜(Hymeno)が美しい(Callis)という意味で、似たような名前の花にニッコウキスゲの仲間をさすヘメロカリス(Hemerocallis)がありますが、こちらは一日の(Hemero)美しさという意味です。

ヒメノカリスはヒメロカリスとちがって一日で花がしぼむことはありませんが、短命な花です。条件にもよりますが2、3日ということもあるでしょう。この間に受粉をしなければならないので、大変な工夫が必要です。ヒメロカリスは一日花ですが毎日のように新たな花が開花するのに、ヒメノカリスは数に限りがあるのです。

では、どんな工夫をするかというと、とにかく目立つことです。私は専門家では無いので推測の粋を出ないのですが、細くて長い花びらは、花を大きく見せるため。おしべの付け根にある膜は、長いおしべを補強するだと思います。少ない資源でなるべく花を大きくみせる工夫であると思うのです。

さらに、この花はもう一つ、花の存在をアピールする工夫をしています。それは素敵な香りです。すこし青っぽく、バニラのような甘さも混じる香りは、チューベローズの香りにも似た妖艶さもちらりと感じます。この花の形と香りは、主に月夜に徘徊する蛾を誘惑するために考えられたものと思います。夜に映える香りです。

この花の原種はアメリカ大陸の温かい場所に集中しており、原種のいくつかは水の綺麗な川の側に小さな群落を作るようです、写真でしか見たことはありませんが、素晴らしい光景です。

日本でも冬に球根を保護してあげれば開花率の高い花なので、庭にちょっとした群落をつくって見ることは出来ると思います。

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2006年7月13日 (木)

胸苦しいレンゲツツジの匂い

Img_7683_w_1 Camera:Canon5D Lens : EF24-105mmF4L

ツツジを漢字で書くと「躑躅」。ドクロを漢字で書くと「髑髏」。何か似ているなぁーと長い間気になっていました。

ツツジの漢字が、解せません。身近で美しい花のわりには、オドロオドロした印象の字です。なんでも「てきちょく」と読んで、羊がツツジを食べてヨタヨタともがいている様子を表した中国の言葉からきたもののようです。

似たような意味で馬酔木と書くアセビがありますが、こちらはまだ、なんと言うか、余裕がある感じがしますが、ツツジの場合は洒落にならないものを感じます。

この言葉の意味するような典型にツツジにレンゲツツジがあります。レンゲツツジは牧場等にオレンジ色の美しい群落をつくり、観光客の目を楽しませますが、群落を作る理由は、動物が毒を恐れて食べないからです。レンゲツツジには、蜜にも毒があり、その蜜が混入した蜂蜜で中毒が出る場合もあるほどです。

私は、何となくツツジの香りを記憶していて、それは胸が締付けられるようなセツナイものでした。きっと子供の頃蜜を舐める為、ツツジの花をむしりすぎて、ツツジに対して申し訳無い事をしたという悔悟の念からかと思っていましたが。それだけではなさそうです。

レンゲツツジの匂いは本能的に警戒を呼び起こすものがあるのかも知れません。事実、レンゲツツジは匂いを嗅ぐ事さえ止めておいた方が良いらしいのです。

Img_7687_w (上のレンゲツツジと同じ場所に咲くヤマツツジ、同じ撮影条件で)私の田舎では、同じような場所にヤマツツジとレンゲツツジが生えていて、私は子供の頃レンゲツツジと似たようなヤマツツジの蜜は舐めていたと思うのですが、レンゲツツジがそれほどの毒をもっているという知識はなかったので、今思うと危ないことをしていました。

牧場の牛や羊と同じように、レンゲツツジの匂いに胸苦しさを覚えて、本能的にさけていたのかも知れません。

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2006年7月11日 (火)

北国の浜辺に咲くハマナスへの想い

Img_7737_w Camera : Canon5D,  Lens: EF24-105 F4L

実は、ハマナスにはろくな思い出がありません。オホーツク海で流氷を見に雪で覆われた浜に出たとたん、足元が崩れてハマナスの針山地獄に落ちたりとか、浜辺を歩いてズボンを引っ掛けたりとか、あの細かな棘にまつわる事だけを思い出します。

それでも、私はこの日本が原産の野生バラを誇りに思っていて、外国の公園などに咲いている姿を見かけると、「偉いねハマナスクン」と声をかけずには居られません。

ハマナスは学名を Rosa rugosa と言いますが、明緑色の葉のしわの多さが名前の由来です。四季咲き性というより、ポツポツと連続開花して、花と実が同時に見れます。

花は、原種にしては美しく大きな花で、バラの香りの本質を維持しながら、胡椒のようなスパイシーな香りをアクセントに持つ素晴らしい香りを振りまきます。

花後に大きなオレンジ色の実が成り、この実にはビタミンCがたんまり入っていて、ジャムにしたら良いとの事。実は子供の頃、ハマナスの実をもいで食べたことがあるのですが、あの頃はジャムにするという知恵がなく、結果はビィェー、ペッペだったと記憶しています。

これも、あまりよろしくない思い出の一コマだったのですが、このような思い出は、セピア色に美化されて来るようです。あの頃の景色をもう一度見たい、そんな思いに強くとらわれ、ハマナスが野生状態で咲く、荒涼とした海岸を探していたのですが、嬉しいことに、そんな場所は探せばまだ残っていたみたいです。

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2006年7月 9日 (日)

Carl Zeiss Ultron 50mm F1.8

Img_5225_w 一眼レフカメラの、通常の標準レンズでは何が好き?という問いかけには、月並みですがUltron 50mmF1.8と答えることになると思います。

このレンズは一枚目が凹レンズであるところが、他のレンズと全く異なるところなのですが、その描写についても特徴があります。

階調表現に秀でていて、緻密でなめらか、見事なグラデーションを見せてくれます。例えば、人形を窓辺において、顔の半分に日がさし、半分が影になる状況で撮影したとします。大抵のレンズは日向の部分が白く飛ぶか、日陰の部分が黒くつぶれます。この状態でもUltronは粘り強く日向の顔、日陰の顔のそれぞれの表情を描写するのです。

もちろん、一眼レフ50mm標準レンズの範疇の、程度の差で、ほんの少しの差です。ただ、この少しの差がどうしても欲しい時もあるのです。

Img_8094_w Camera:Canon5D Lens:Ultron 50mmF1.8

作例の写真は磁器で出来たお人形です。細かな細工がしてあって、セトモノのそばに寄ったら割るというトラウマがある私は、しばらく近寄ることが出来ませんでした、が、ある時勇気を出して、写真を撮ってみたら、以外と面白かったので、最近は大胆に振り回しながらレンズテストに使っている被写体です。

この作例は絞りを開放して撮っているのですが、磁器で出来た人形の顔が良い表情です、お嬢さんは何を思っているのかなぁ、なんて想像する気になります。もう少し、光があたる部分がギラついても、左ほほが影になっても印象は全く異なってきます。

最近のレンズは、磁器であることを的確に伝えてくれるかも知れません。しかし、人形の顔の表情をこれだけ豊かには伝えてくれないのです。

このレンズはZeissの名前ですが、実際はVoigtlanderの設計で、製品名のUltronも、Voigtlanderのものでした。Zeissの名前になっているのはZeissがVoigtlanderを買収したからです。

無くすと困る、レンズキャップにはZeiss Ikonと刻印があり、同じく無くす訳にはいかないので付けっぱなしになっているレンズフードには、Zeiss Ikon Voigtlanderと刻印がされています。

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2006年7月 8日 (土)

銀座のリンデンは謎だらけ

Img_7359_w Camera: Canon5D lens : EF24-105mm F4L

銀座の並木通りの街路樹のリンデンもさすがに花は終わりましたが、6月の初旬から結構長く楽しめたように思います。一本の木でもポツポツと開花するうえ、街路樹なので、木ごとに開花のずれがあるせいです。

ところで、この銀座並木通りのリンデンについて、東京都中央区はシナノキと言っております。銀座では、シナノキとは言わずリンデンと呼ぶのでしょうか。シナノキも海外ではジャパニーズリンデンと呼ばれますから。

ただ、一般的にリンデンとは、ヨーロッパの公園、街路樹でポピュラーな、ナツボダイジュ、フユボダイジュ、およびこれらの雑種のセイヨウボダイジュ(セイヨウシナノキ)を指します。

Img_5201_w Img_520520d_w 2枚とも Camera : Canon20D lens: EF35mmF2

面白いのは、街路樹のプレートで、2種類のプレートがかけられています。一つはTilia japonica simonkai、和名:西洋しなのき、でありもう一つは、tilia x vulgaris Hayneです。
最初のプレートには和名と学名に食い違いがあります。Tilia japonica simonkaiはシナノキの事です。もう一つは、セイヨウシナノキで整合性がとれています。

それでは、セイヨウシナノキの方が正しいのでしょうか。私はこれには疑問があります。それは中央区のHPでは平成18年4月1日時点で、管理する街路樹にシナノキが233本あるとしている事。また、街路樹のような安全性を求められる用途に、日本の気候に合い自生しているシナノキを使わず、あえて、海外からセイヨウシナノキを輸入して冒険を犯すでしょうか。

それまで、日本に植栽されているセイヨウシナノキは、記念樹として植栽されている程度で、とても街路樹のような過酷な環境での実績は無いと思うのです。私は、銀座のリンデンはシナノキではないかと思います。

ところで、シナノキの街路樹で言えば、日本にはもっと歴史があり、相応しいものがあります。かおり風景100選にも選ばれている、信州松本市の大名町のシナノキの並木です。

ところが、こちらのほうは、シナノキと言いながら実はオオバボダイジュではないかと言われています。私は行ったことが無いので、詳しくは解りませんが、これは両方とも日本の自生種なので、それもアリかなと思っています。

興味があったので、ついだらだらと書いてしまいましたが、どちらにしても銀座の「リンデン」の花は、開花期には通りを素晴らしい香りで覆います。通りで写真を撮っている最中にも何人もの人が、「良い香り」とつぶやいて通り過ぎました。香りはシロツメクサのような香りですが、もう少しより甘く、蜂蜜っぽく、滑らかで、ふんわりした、そんな感じの香りです。

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2006年7月 6日 (木)

なんとなくトロピカルなニオイシュロラン

Img_7276_w_1 camera: Canon5D lens: Apo macro elmarit 100mm F2.8

昔、近所のプールにニオイシュロランが植栽されていて、5月中旬に咲く白い花から良い香りを漂わせておりました。椰子を思わせる容姿から、何となく南国ムードが漂うのですが、ニュージーランド生まれです。

その為、関東地方でも十分地植えが出来る耐寒性を持っています。地植えにすると、5mくらいには伸びそうですが、故郷では20mにもなる大木のようです。成長も早く、また丈夫な性質です。

この木は、以外なところに、何気に植栽されている事が多いのですが、それはトロピカルな雰囲気を簡単に演出することが出来る為だと思います。ひょっとしたら松島の松の代わりに、この木を植えたら、充分に育ち、日本三景をトロピカルなリゾート風景に一変させることさえできるかもしれません。

この木の花は、葉の間から大きな花穂が伸びて、無数の白い花を咲かせます。この木は生長するに従い分岐をするので、花穂は大きな木だと横向きに出て垂れ下がる感じで、小さな木だと直立する感じになります。

一つ一つの花は小さいのですが、数が多いので、この花の香りは遠くまでかなり強く漂います。香りは、芝生の上で、プルメリアを一輪花瓶に飾り、コパトーンを身につけてバニラアイスをスプーンでほじったらこんな香りになるでしょうか。香りも木の容姿にぴったりで、トロピカルムードがあります。

最近、この木について、北国に偽者熱帯を演出するという役割の他、新たな期待がもたれています。低カロリーの甘味料がとれるらしいのです。それを聞いてから、この木を見る目が変わりました。何か美味しそうに見えるのです。

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2006年7月 4日 (火)

スイカズラの香りで極楽浄土を空想する

Honey_w Camera: Pentax 645 Lens : SMC Pentax Macro A120mmF4 Film : RDP3

写真の花は、「じゃこうにんどう」という名前で、横浜の露店で買いました。特別に変わったところは無いのですが、香りは、そこらに生えているスイカズラより良い気がします。

「にんどう」と言う名前はスイカズラの別名で、忍冬と書き、冬でも落葉しない葉にちなみ、中国で言われる名前だとか。ちなみにスイカズラは吸蔓で、英語名のHoney Suckleと同様に、花の奥にたまる蜜を吸って子供が遊ぶことにちなんだ名前です。

この花は北半球に色々種類があり、XXハニーサックルとか、ハニーサックルxxとか、結構にぎやかです。このうち日本のスイカズラは重要な原種で、素晴らしい花の芳香と、時には疎まれる丈夫さで、数々の園芸種を生んでいます。

スイカズラの香りは、甘さの中に、何か郷愁をさそるような香りが混じります。この郷愁を誘う部分に私は「極楽浄土」を連想します。

忍冬唐草文様が西方への想いを伝え、その花の香りも、魂に安らぎを与え、西方極楽浄土を空想させるとするのは、思い込みが強すぎ、でありましょうか。

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2006年7月 2日 (日)

Friedrich Color-Coronar 85mm F4.5

Img_7923_w Camera: Canon5D Lens: Friedrich color coronar 85mm F4.5

7月になりました。とりあえず、カメラネタをもう少し続けてみます。で、何かというと、プリンター用レンズの続きです。とにかく数があるので、これらのレンズの作例を紹介してゆくだけで、今年も暮れるかと思うのですが...。

これらのレンズについては、解っていることは少ないです。これらのレンズが使われていた機械の形さえ解りません。解っているのは

1.テッサータイプのレンズ構成

2.カラー印刷用にコーティングされたレンズもある

3.Ektarレンズは、特殊ガラスが使われていると思われ、アンバーに変色しているものがある。

4.金属の絞りに相当するものがはめ込まれ、通常F5.6-F8辺りで固定されていた

5.Ektarの他に、OlympusとFriedrichというレンズが混じっており、特にFriedrichは芸術の印刷用に使われていた。

以上です。

Friedrich, Münchenは、本来、ドイツのミュンヘンにあったマイナーなレンズメーカーで、Exakta用にベローズ用レンズを供給していたメーカーです。その時のレンズ名がCoronarですから、このプリンター用レンズも同じメーカーのものと考えるのが自然と思います。

しかし、Exakta用にレンズを供給していたのは、かなり古い時代ですから、このプリンター用レンズが本当に、Friedrich, Münchenのものかどうかは疑問もあります。

肝心の描写ですが、どうでしょう。このレンズは本来F5.6-F8で使うべきところを開放のF4.5で使っているので、本来の性能では無いかも知れません。でもあえて、開放で使ってみても面白い描写をするレンズです。

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2006年7月 1日 (土)

ヒノマルウツギは美しい星(Belle Etoile)

Img_7473_w Camera: Canon5D, Lens: Apo Macro Elmarit 100mm F2.8

日本で「ヒノマルウツギ」という、いかにもと思われる名で呼ばれる写真の花木は、一般には美しい星という意味のベル エトワール (Belle Etoile)というバイカウツギの園芸種で、北米原産のMock Orangeを元にヨーロッパで改良されたものです。

横浜では5月頃に開花し、日本名の通り、花びらの付け根に赤いぼかしが入り日の丸のように見える花を咲かせます。

バイカウツギ(梅花うつぎ)が直接さす木は、日本の自生種で、白い清楚な花を5月から6月にかけて咲かせます。また、八重咲きの選抜種も園芸店でみることができます。

香りに関して言えば、日本の梅花うつぎも良い香りをもっているものの、ベル エトワールの香りの強さには及びません。と言うより、ベル エトワールは異常に強く良い香りをもって世に現れた不世出の花木なのだと思います。

この花の元になった原種は北米で、みかんに似た花という意味のモックオレンジと呼ばれる木ですから、オレンジフラワーの香りを基本として持っています。が、ベル エトワールはオレンジだけでなく、各種のフルーツを混ぜ合わせた感じの美味そうな香りです。

この木は落葉樹で、耐寒性もあり地植えで問題無いのですが、困るのはアブラムシによる被害です。この木を植えていると、アブラムシはバラさえ猫またぎして、この木に集ります。オルトランでも撒けばよいのでしょうが、散布をためらうとあっという間にオレンジ色のアブラムシにたかられます。

他の家で、綺麗に咲いている状況をみると、思わず足元の地面を見てしまいます。初夏の風にこの花の香りを乗せて家に導くようにこの木を植栽したのに、アブラムシにやられっぱなしで、満足に花も咲かない状態が続いています。農薬を片手に、思い切ろうとすると、決まってテントウムシを見つけてしまい、思いとどまってしまうのですね。

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