クチナシにまつわる遠い思い出
Camera:Zenza Bronica S2 Lens: Tele Xenar 30cm F5.5 for PRAKTICA Film: E100VS
初めて買った鉢花はくちなしの花でした。中学の頃、親に内緒で小遣いを使い、植木市で買って密かに部屋に持ち込み、夜な夜な水をあげてはくちなしの花に見入っていました。
そのうち花が終わり、どういう訳か葉も枯れてくると悲しくて仕方がありませんでした。今思うと、それは水のあげ過ぎで根腐れを起こしてしまっていたのですね。
そもそも、何故あれほどコソコソと鉢花を買って隠していたのか不思議です。大麻を衣装ケースで育てていた訳ではなく、クチナシなんです、どうしたって反社会的行為には思えません。強いて理由をあげるとすれば、男子中学生ともあろうものが、クチナシの鉢花に入れあげていてはいけない。と思い込んでいた為でしょう。
当時の私が親に隠してクチナシの鉢花を手に入れたのは、ひとえにその香りに感動したからであります。生まれてはじめて体験した、穏やかで、甘く優しく、清純な香りだったのです。同じよい香りでもジャスミンだとそこまでの感動はなかったかも知れません。おそらくジャスミンの香りを嗅いでも、何か化粧品のような香りと思っただけだったかもしれません。
クチナシの香りの魅力はこの生花の香りにあります。これだけ香りを讃えられながらエッセンシャルオイルが無いのです。ブレンドされたフレグランスオイルがあるだけです、エッセンシャルオイルを作るには採算が合わないでしょうし、採算を度外視しても生花の香りとは違ったものになるでしょう。
実際クチナシをモチベーションにした数々のフレグランスオイルがありますが、それのどれをとってもクチナシの生花にまさるものはありません。
PS.夏休みをもらえたのでしばらく更新を休みます。
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