Carl Zeiss Ultron 50mm F1.8
一眼レフカメラの、通常の標準レンズでは何が好き?という問いかけには、月並みですがUltron 50mmF1.8と答えることになると思います。
このレンズは一枚目が凹レンズであるところが、他のレンズと全く異なるところなのですが、その描写についても特徴があります。
階調表現に秀でていて、緻密でなめらか、見事なグラデーションを見せてくれます。例えば、人形を窓辺において、顔の半分に日がさし、半分が影になる状況で撮影したとします。大抵のレンズは日向の部分が白く飛ぶか、日陰の部分が黒くつぶれます。この状態でもUltronは粘り強く日向の顔、日陰の顔のそれぞれの表情を描写するのです。
もちろん、一眼レフ50mm標準レンズの範疇の、程度の差で、ほんの少しの差です。ただ、この少しの差がどうしても欲しい時もあるのです。
Camera:Canon5D Lens:Ultron 50mmF1.8
作例の写真は磁器で出来たお人形です。細かな細工がしてあって、セトモノのそばに寄ったら割るというトラウマがある私は、しばらく近寄ることが出来ませんでした、が、ある時勇気を出して、写真を撮ってみたら、以外と面白かったので、最近は大胆に振り回しながらレンズテストに使っている被写体です。
この作例は絞りを開放して撮っているのですが、磁器で出来た人形の顔が良い表情です、お嬢さんは何を思っているのかなぁ、なんて想像する気になります。もう少し、光があたる部分がギラついても、左ほほが影になっても印象は全く異なってきます。
最近のレンズは、磁器であることを的確に伝えてくれるかも知れません。しかし、人形の顔の表情をこれだけ豊かには伝えてくれないのです。
このレンズはZeissの名前ですが、実際はVoigtlanderの設計で、製品名のUltronも、Voigtlanderのものでした。Zeissの名前になっているのはZeissがVoigtlanderを買収したからです。
無くすと困る、レンズキャップにはZeiss Ikonと刻印があり、同じく無くす訳にはいかないので付けっぱなしになっているレンズフードには、Zeiss Ikon Voigtlanderと刻印がされています。
| 固定リンク
コメント
M42は大変人気があり、ほとんどほとんど見かけたことがありません.
この特殊バヨネットのフィルターマウントも機構の極みですね.
確か青山のレチナハウスさんがマウントアダプターを出していたと思いますが今は昔.
投稿: lensmania | 2006年7月14日 (金) 11時57分
レチナハウスは、今となっては懐かしいですね。
特殊な形のレンズキャップは、これも懐かしいウツキカメラのレンズキャップ箱の中に普通に転がっていて、大喜びで漁ったことを覚えております。
カメラ屋さんによっては、あのレンズキャップや、フードは「使えない子」なので、ジャンク箱に見つけることも出来たのですが、最近は、難しいでしょうね。
投稿: kk | 2006年7月15日 (土) 09時37分