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2006年6月17日 (土)

タムシバは寂静の香り

Img_7558_w カメラ: Canon5D  レンズ: Mirotar 500mmF8  トリミング有り

コブシ(Magnolia kobus)とタムシバ(Magnolia salicifolia)の見分け方を知ってから、これまでの人生で出会った「コブシ」について振り返るようになりました。今までコブシだと思っていた、あの木は本当にコブシだったのか、と。

おそらく、私が出会ったもので、里山や公園の植栽として早春、他の木に先駆けて白い花を咲かせていたのがコブシです。山の奥深くで見た、初夏に咲いていた「コブシ」は実はタムシバです。

一般的にコブシとタムシバの花は花の付け根に葉を一枚二枚つけるかつけないかで区別されますが、初夏に山奥で開花するタムシバは、葉の展開も同時に始まっているので、小さな葉が花の根本に見える場合があります。白い花の合間に薄緑の葉らしきものが見えても、コブシとは限りません。

実は、山の奥深く、尾根筋の木はほとんどがタムシバです。コブシは里山か、谷筋に生える木です。コブシの木は背が高く、花数が多いのに比べて、タムシバの木は背が低く、花数も少なめです。

これは推測の域を出ないのですが、私の田舎ではタムシバとコブシを区別しつつ、タムシバをコブシという方言で呼んでいたのではないかと思われる節があります。

ともあれ、タムシバは葉や枝を噛むと甘いので、噛柴(カムシバ)からついた名前と言われます。実際に枝を噛んでみると、なんとも言えない爽快な風味があります。湿布薬と山椒とレモンを重ねてみたら、こんな香りがするかも知れません。美味しくはありませんが、口中すっきりといった感じはあります。

宮沢賢治の童話にマグノリアの木という、童話というより禅問答のような短編があります。以下はその一部の引用ですが、ここで、私は宮沢賢治は具体的にタムシバをイメージしてマグノリアの木を表現したのではないかと思っています。

「ごらんなさい、そのけわしい山谷にいまいちめんにマグノリアが咲いています。」
「ええ、ありがとう、ですからマグノリアの木は寂静です。あの花びらは天の山羊の乳よりしめやかです。あのかおりは覚者たちの尊い偈を人に送ります。」

この花の容姿と香りをこれ以上に美しく適格に文字にするのは、不可能、とさえ思われる表現ですね。

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コメント

またもや知人が5Dを買いました.彼は5Dにした理由を,昔から揃えてきたM42とExaktaレンズの活用に宛てたいと話していましたが,一応仕事でも使うべく純正EFレンズも付けてきました.28-135IS.なんで銘玉の評判高い24-105にせーへんねん!!ってなじられてました(笑)が,正直資金が尽きたそうです.若者ですから5D買っただけでも天晴れですね  ^^ 
さてリングボケが大変効果的ですね.トリミングなさったのは純粋に作画の為ですか?それとも5DでMirotarを使うにあたって周辺に問題があるのですか?

投稿: lensmania | 2006年6月19日 (月) 23時50分

このタムシバは、宮沢賢治にちなんで八幡平のものなのですが、雨のせいで、充分木に近づけませんでした。その為、Mirotarを使ったのですが、Blogで写真がリサイズされても、なるべく大きく表示されるよう、横をトリミングして削ってみました。

タムシバの写真も早春では、Mirotarは、枝のボケがきつくて絶対に使えないのですが、新緑の季節だと、リングボケも面白いですね。

Mirotarは隅々まできっちり描写し、携帯に便利な望遠レンズですが、せめて一段絞ることが出来ればなぁ、と思うことが多いです。

投稿: kk | 2006年6月20日 (火) 21時28分

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