ミステリアスなチャランの花
Camera: Pentax67 Lens : SMC Pentax Macro 100mm F4 Film : RDP3
チャランは原産地の中国では金栗蘭と呼ばれ、通常は、吊鉢で照葉を鑑賞する観葉植物として扱われることが多いです。これは、耐陰性が強く、室内または日陰でも育てられ、枝が徒長して垂れ下がる性質からでしょう。
また、名前の金栗は、黄色い栗の花のような花を意味しているとして、蘭の意味するものは花の香りでは無いかと私は想像しています。観葉植物として育てられる割に、花をモチーフにした名前を持っているのです。
この木の花は、花といっても、スギナのような花穂に黄色の粒がついているだけのようなものです。初めてこの花を見た人は、花穂に緑の小さな蕾がついて、その蕾が黄色く色づいてくると、どんな花がさくのかなーと心待ちに花穂を観察します。
しかし、その黄色い蕾は、開くことが無く、ぱらぱらと落ち始めます。花はいったいどうなったのよ、と思いますが、あの黄色の粒が花なのです。閉鎖花といって、花は開かないのです。
山野草が好きな人なら、二人静を思い浮かべると思うのですが、チャランも同じ仲間の植物です。ここで、不思議なのは、チャランの花の香りです。花が開かないのに香りを持っているのです、通常花の香りは、昆虫が好きそうな香りを出して昆虫を引き寄せ、受粉を手伝ってもらう為にあります。この花も、香りを出して虫をひきつけているのでしょうか、しかし、寄ってきた虫はどうしたらよいのでしょう。疑問が残ります。
ひょっとして、水芭蕉のように、自家受粉をする前に昆虫による受粉の可能性を狙うつもりが、以前はあったのかも知れません。
そう考えてみると、香りもどことなく水芭蕉と似ているところがあるような気がしてきます。水芭蕉は鋭い香りとドロンとした香りをミックスしたような香りですが、チャランは、本質的に鋭い、化学物質的な香りを持っています。花が小さいので、空気に拡散されて、清らかな良い感じの香りに感じますが、花を集めて集中すると、キィーンと脳天に来る香りです。
ベトナムではこの花からエッセンシャルオイルを作っているらしいのですが、花が小さいので、大変な労力が必要なものと思います。どんな香りのオイルかは知りませんが、もともと香りの素性は良いので、そんな労力をかけてエッセンシャルオイルをつくっていたとしても、驚きではありません。
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