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2006年3月30日 (木)

最初はハクモクレン、春を告げるマグノリアの香り

Img_5345_w カメラ:Canon5D レンズ:EF 24-105mm F4L(ハウステンボスのハクモクレン)

ハクモクレン、コブシ、シデコブシ、タムシバと似たような花が、爽やかな香りで日本に春を告げます。私はこれらの花を見るたび、同じ条件で同じところに咲いていたら、どの順番で花が咲くのだろうと考えてしまいます。

というのは、ハクモクレンは中国原産の花木で日本では庭木として植えられており、3月から花を咲かせている木を見つけます。あとの種類は基本的に日本原産の野生種なので、生えている場所によって、開花はマチマチですが、総じて遅く、山奥に咲くタムシバなどは6月になるところもあります。

もちろん、町の公園に植栽されている木はもっと開花が早いのでしょうが、これらの木は山里か、沢すじ、尾根で素朴に咲いている姿が好きなので、そちらの印象が強いのですね。

そして、町にはハクモクレンが似合っているような気がします。花が大きく、上を向き、強く剪定されても文句を言わずに花をつけます。この花は、強く剪定された木に、一輪、二輪だけ咲いてもそれなりに絵になる花だと思います。

また、香りに関しても、ハクモクレンの香りは、町に漂う春の陽気にゆらゆらゆれて、運ばれてきても似合う、そんな感じの「ゆるい」一面を持っています。

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2006年3月28日 (火)

ミモザとアカシアの微妙な関係

Img_5844_w

<房アカシア> カメラ:Canon5D  レンズ:Macro Planar 100mmF2.8 AEG

まずはミモザ(Mimosa)から。そもそもミモザは何かというと、オジギソウのような葉っぱの植物を表す名称です。ちなみにMimosa Treeと一般的に言うと、ねむの木になります。

ところが一般に私たちがイメージするミモザは何かというと、春に黄色いボール状のふさふさの花が固まって咲く花木です。ミモザサラダはゆで卵の黄身が命、合歓の花のピンクでは困るのです。という訳で、オジギソウのような葉を持ち、黄色の花を咲かせる花木。最近では銀葉アカシア(Acacia baileyana)が「ミモザ」として売られるケースが多いようです。

Mimosa1_w <銀葉アカシア>カメラ:Pentax645 レンズ:67用SMC pentax75mm F2.8 フィルム:RDP3

ところで、ミモザには香りがあるとされております、ところが街にあふれる銀葉アカシアに香りはありません。いったいミモザは何なのでしょう。

実は、暖地の公園に植えられていたりするねむの木のような巨大な木が本家のミモザです。正式な和名を房アカシア(Acacia decurrense)と呼びます、フランスでこの木がミモザと呼ばれることから、似たような銀葉アカシアがミモザとして日本に定着したのではないでしょうか。

何故、本家の房アカシアでなく銀葉アカシアが普及したかというと、木の大きさの違いを見れば納得できると思います。銀葉アカシアは小さな木でも開花し、葉が小さくじゃまにならないので家庭の庭にも収まるのですが、房アカシアは公園みたいな広いところでなくては無理です。

「ミモザ」は、数百種のアカシアのうち、ミモザの葉を持つものをミモザアカシアと呼んでいるうち、肝心のアカシアがとれて一人歩きをしたものだと言えるでしょうか。ただ、アカシアが本来の名前なので、同じような黄色の花が咲いても、葉が三角形で面白い三角葉アカシア(Acacia cultriformis )になると、さすがにミモザという文字はつきません。

ミモザの香りとは、房アカシアに代表されるアカシアの香りなのですが、他の品種のアカシアにも、この香りがあるものもたくさんあります。いっそうのことアカシアの香りとすれば正しいのでしょうが、今度は通常私たちが思っているアカシアとこんがらがってしまいます。

私たちが通常、アカシアの香りとしてイメージしているものはニセアカシアの香りです。名前は混乱をまねくものの、名前と顔は一致しているのです。

このニセアカシアについては、日本だけで贋と呼んでいるわけでなく、英語でもFalse Acacia、学名でさえ、Robinia pseudo(贋の) acaciaなのはかわいそうな気がするのですが、詳細についてはまた今度。

<房アカシアの近接写真です>葉が大きく濃いグリーンですね。

Mimosa2_w カメラ:Graflex XL  レンズ:Heligon 95mm F2.8 フイルム:E100VS 6x8フォーマット。我ながら、マクロレンズをつけたデジ一眼と、中判レンジファインダーカメラの使い分けの基準は何なのだろうと突っ込みたくなりますね。

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2006年3月26日 (日)

交換レンズよりも、Hasselblad

Nanohana_w 最近、どこかに出かける時、持ってゆくメインカメラはすっかりデジタル一眼になりました。暗いところ、光源がバラバラなところ、どんなところでもデジタルカメラだと、カメラだけで対応できるので、便利です。

画質的にどうのこうのと言う人もおりますが、私はポストカード程度の大きさで鑑賞できれば良いので、デジタルで充分です。

それでも、ライトボックスにポジを置いてルーペで鑑賞する気分というのは捨てがたいので、フイルムカメラもなんとか持てないものかスペースを探します。

かくして交換レンズと、フイルムカメラを交互に見て、フイルムカメラを一台スペースに潜りこませます。この時のフイルムカメラは、Cレンズの80mmを付けたHasselbladが多くなりました。

素晴らしくスペース効率が良いこともありますが、正方形のフォーマットが思い出の記録として、しっくりくるような気がするのです。

カメラ:Hasselblad 500C/M  レンズ:Planar 80mmF2.8 T* フィルム:E100VS

先にデジタルで紹介した遠賀川の河川敷と同じ場所、同じ時間の写真です。不便でも、画質的に必要なくても、ポジが手元に残るのは、嬉しいですね。

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2006年3月25日 (土)

素朴な香りのニオイウチワノキは団扇の木

Img_5779_w 白い花のレンギョウに似た花を早春に咲かせる木は、白花レンギョウとか、ニオイウチワノキと呼ばれるAbeliophyllum distichum のことです。

朝鮮半島北部が原産地で、日本には昭和初期に紹介されたということですから、なじみも薄い花木かも知れません。花の和名は実が団扇のような格好なところに由来しているそうです。

この白い花には、シロツメクサとハナニラとユキヤナギを思わせるような、春らしい穏やかな香りがあります。強い香りではありませんが、昼も夜も香りを実感できますし、先にあげた花の香りを上品にブレンドした感じなので、邪魔にもなりません。

春の里山で、さりげなく春の訪れを実感させてくれるような、そんな香りです。

カメラ:Canon5D レンズ:Macro Planar 100mmF2.8 AEG

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2006年3月23日 (木)

姫エニシダはグレムリン?

Broom_w 写真の花は「エニシダ」という名前で売られております。スタンドに仕立てられ、黄色く愛らしい花をいっぱいに咲かせますが、それは黄色のフリージアの香りを薄くして、乾いた感じにしたら近いかな、と思われるような香りを振りまきます。一つ一つの花の香りは弱いのでしょうが、何しろ多くの花が咲くので、鉢の近辺が爽やかな香りで包まれます。

この鉢は、毎年早春に、それなりの値段で出回ることから、温室を使ってコストをかけた鉢花で、さらに一般の家庭では年を越させるのは難しい植物という想像ができます。
説明によると、関東以南では戸外でも大丈夫な程度の耐寒性、排水の良い場所を好み、しかし、水はたっぷりと必要、だそうです。

鉢花の容姿から、成長が早く、多くの根を生やし、そこから多量の葉に水分を供給し続けているように見えます。鉢は、挿し木苗に最適な環境を提供するものの、狭い鉢だとすぐに限界がくるのではないでしょうか。夏越しが難しそうです。

この花木は、「エニシダ」という名前で出回りますが、日本での本名は「姫エニシダ」。本当のところ、素性さえ良くわからない園芸種ですが、容姿からFrench Broomの血が多分に入っていることが想像できます。

このBroomというのは「ほうき」の意味で、Frenchの他にもいろいろな種類のBroomがあります。西洋の魔女はこのBroomで作られたほうきに乗って旅をするのですね。

そして、実際この木は場所によっては魔女がもたらす災いのように扱われます。ペスト植物とさえいわれるのです。自然状態で、日本の鉢植えに近い環境を持った地域では、絶望的な繁殖力で、在来種を駆逐してしまうのです。

この木を抜き取ることは種をばら撒くこと、焼き去ることは、地中の種の発芽を促すこと、毒性があるので動物も食べない、と、恐ろしいくらいの繁殖力です。

この花を見ると、古い映画の「グレムリン」を思い浮かべ、鉢花が枯れると「変身しなくて良かったね」なんて思ってしまう私は、ただ、自分の怠慢を言い訳しているだけなのでしょうけど。

カメラ:Hasselblad SWC レンズ:Biogon 38mmF4.5 フイルム:E100VS

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2006年3月21日 (火)

柊南天は雅な、鈴蘭のような香り

Hnanten_w 日本が原産地ではないものの、学名にJaponicaとつく物は意外と多いようです。このことについてはいつかレポートをまとめてみたいところなのですが、このヒイラギナンテンもそのうちの一つで、中国、台湾のあたりが原産地で、日本には江戸時代に入ってきたといわれる樹木ですが、学名はMahonia japonica と言います。

学名だけでなく、日本庭園の日陰には、当たり前のようにしっくりと似合い、万葉の歌に歌われても不思議はないと思われるほどです。

ヒイラギナンテンの名前は葉に棘があることから、ヒイラギ、花後の青黒い実のつき方が南天、合わせてヒイラギナンテンということですが、この花がとても良い香りなのです。

ただ、花期が沈丁花と重なり、派手な沈丁花の香りに隠れること、そして、黄色い小さな花が花穂の元からポツンポツンと咲いて行くことから、物量的にも不利なことで街ではあまり目立たないと思われます。

ただ、香りの質は良く、甘く、艶やかで、上品な香りです。この香りに最も近いものはスズランになると思われます。黄色い小花と白い小花の違いはありますが、小さな小花から漂うにふさわしい愛らしい香りです。

カメラ:Pentax645 レンズ:Tele Tessar 350mm F4 フイルム:RVP

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2006年3月19日 (日)

菜の花のある風景、ボタ山を背景にして

Img_5568_w とても身近な菜の花なのに、何か書こうとすると迷宮に入りそうになります。最初は、菜の花という特定の花は無いというところからはじまるのでしょうか。

それは折に触れて紹介してゆくにせよ、私には、実際に見てみたい、憧れの菜の花風景というものがあって、その一つが、冒頭のボタ山を背景にして咲く遠賀川の菜の花でした。

この週末機会に恵まれ、実際に見ることが出来てとても幸せです。

河川敷に菜の花が咲く川はどこにでもありそうですが、子供の頃見た蒸気機関車の写真が、長らく私の意識に刷り込まれていた為、自分としては遠賀川なのだと思います。

もっとも、自分の中のイメージでは、川はもっと黒くどんよりしていて、建物も煤けており、ボタ山も荒々しい姿でした。このあたりに蒸気機関車が走っていたのは1974年くらいまでで、その頃の写真のイメージですから、川もきれいになり、建物も近代的に、ボタ山にも木が生えて、想像していたものと違うのは当然。スッキリした光景です。

それでも、どこの河川敷とも違う、独特のムードを持った素晴らしい光景です。

カメラ:Canon5D  レンズ:TS-E 24mm

ここの菜の花は、セイヨウカラシナを中心にいろいろな「菜の花」が混じっているような気がします。

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2006年3月18日 (土)

沈丁花の香り

Daphne3_w 生まれも育ちも北国の私が、就職の為東京に出てきたとき何に驚いたかというと、雪が無いばかりか、街になにやら良い香りが漂っていることでした。
これが、東京の春なのかと思いながら、指定された寮の部屋に入り、先に届いた2箱のダンボール箱を見た時、なんとも言えず寂しい気分になったものでした。

その後、あの香りの正体は沈丁花であることを知り、暖かいところでは、良く植栽されている常緑の庭木で、春先に花名の由来になった、沈香と丁子が混じったような香りの小花をボール状に咲かせることも調べました。あの香りについて、興奮して同僚に語ったところ、あっさり沈丁花じゃないか?と言うわれて、少し悔しい思いをした為です。

Daphne2_w 沈香と丁子を混ぜたというのは、良い香りの例えであって、実際の香りとは違います。また、香りは強力で、うららかな日差しの下で沈丁花に取り囲まれると頭がくらくらするほどです。
そのせいか、私はこの香りは直接嗅ぐのではなく、空気に拡散されて、流れてくる香りが好きです。それも夜に。

そうやって、夜半に流れてきた香りに触れると、やはり、あの時の別れの寂しさとか、旅立ちの緊張感が、今でも思い浮かんできます。
それは私だけの事なのでしょうか、それとも3月に沈丁花が咲く地域の人が、3月にあった出来事を思い出す、共通の触媒になっているのでしょうか。

上の写真、カメラ:Canon5D レンズ:EF 24-105mm

下の写真、カメラ:Rolleiflex SL66SE レンズ:Kinoptik 100mmF2 フイルム:RVP

沈丁花の写真は、難しいです。アップだと、結構花が傷んでいたり、砂埃が入り込んでいたりしていることを、後で気が付くことが多いのです。いっそうのこと、スナップの背景のほうがしっくりくるような気がします。

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2006年3月16日 (木)

本家、香りの良いスミレ、Sweet Violet

Sweetviolet_w 私が好きな、香りの良いスミレでベストスリーを挙げると、パルマスミレ、スイートバイオレット、肥後すみれ、の3種類になります。

このうち、香りの種類が少し異なる肥後すみれを除いて、パルマスミレとスイートバイオレットはとてもよく似た香りを持っています。その違いはスイートバイオレットが少し青っぽい(グリーンノオトがある)と感じることくらいです。

Img_5487_w もともと、スイートバイオレット(Viola Odorata)にはいろいろな選抜種があって、花の色、形にバリエーションがあります。一般的には別種と分類されるパルマスミレも元々は、Viola Odorataの変種ではないかという説もあるくらいです。

香りの強さで言うと、パルマスミレの方が強いと感じます、しかし微妙な青っぽさ(グリーンノオト)が、新鮮なアクセントとなって、いい味を出し、印象を別にしています。

例えば、スミレの花の砂糖漬けは、スイートバイオレットではよくやりましたが、パルマスミレではやる気になれません。口にすることを前提にすると、わずかな違いが重要なのかも知れません。

最近では、スイートバイオレットはもっぱらハーブとして、パルマスミレは園芸植物として売られているのも、面白い現象だと思います。

<上の写真、一般的なスイートバイオレット> カメラ:Pentax645 レンズ:Macro Pentax 120mmF4 フイルム:RVP

<下の写真、赤色花の選抜種> カメラ:Canon5D レンズ:Macro Planar 100mm F2.8 AEG

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2006年3月14日 (火)

スミレの香り、最初はパルマスミレから

Sumire1_w 女性の香水のイメージはいろいろな種類がありますが、ある年頃を過ぎた女性には、スミレの香りの香水が合うのではないかと、個人的に思っております。

それは、スミレの香りが持つ、ある種の落ち着きと高級感が、そんなイメージを湧かせるのかも知れません。私自身は香水には詳しくないのですが、実際にそんな香水はあるようで、中年女性とすれ違った際、スミレの香りを感じて振り返ったことがあります。

そんな時のスミレの香りというのは、パルマスミレ(Parma Violet)の甘く気品のある香りです。パルマスミレというのは聞きなれない名前ですが、日本では一番一般に売られている「ニオイスミレ」です。これが、園芸店で一番良く売られる「ニオイスミレ」になったのはここ数年のことだと思いますが、面白い現象です。

Sumire2_w 本家のニオイスミレであるViola Odorata(Sweet Violet)は一重なのに対し、パルマスミレは八重です。香りは、Viola Odorataより甘く、まったりしているような気がします。はなびらが多い為か、香りも強いです、実際この花からエッセンシャルオイルが採られているようです。スミレの香りの香水にも使われているのでしょうか。

カメラ:Canon5D レンズ:Apo Macro Elmarit 100mm F2.8
この花は本当に捉えどころが無いです。

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2006年3月13日 (月)

Planar 80mmF2.8 For Hasselblad 6X8の作例

Sakuratiru_w 60mmでは、周辺が怪しかった6x8フォーマットでのHasselbladレンズですが80mmからは全く問題なく、6x8をカバーします。

もともと、HasselbladのPlanar 80mmは、6x9をギリギリカバーするGraflex XL, Linhof用の4群5枚のPlanar 80mmF2.8にバックフォーカスを伸ばす為、最初は1枚のレンズを加え、その後もう一枚加えて7枚構成になったレンズなので、ある意味6x8くらいカバーして当然なのです。

先般紹介した、Graflex XLの改造カメラは、Graflex用とHasselblad用の二つのPlanar 80mmを使用出来ます。Planar 100mmでは同じレンズ構成ということで興味があったので、同一条件で撮り比べてみたことがありますが、80mmではやったことがありません。

いつか、5枚、6枚、7枚玉の3タイプのPlanar80mmで撮り比べてみる日がくるかも知れません。

別々に使ったことしかありませんので、個人的な印象を言わせてもらうと、とてもバランスの良いHasselbladの80mmに対して、オリジナルのプラナーの切れ味みたいなものがGraflex用のPlanarにはある感じがします。

カメラ:Graflex XL改造カメラ レンズ:Hasselblad用 Planar80mmF2.8 T* Cレンズ フイルム:EPP

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2006年3月11日 (土)

ボロニアの香り

Boronia_w カメラ:Sinnar F レンズ:S-Planar120mmF5.6 フイルム:RDP3

ボロニアという愛らしい花木が日本に紹介され、早春に店頭に並ぶようになってからどれくらい経ったのでしょうか。最近では、早春の園芸店の店頭でベル状のかわいらしい花を咲かせ、オレンジの皮のような素晴らしい香りを振りまき、春の訪れを伝えてくれる花としてすっかり定着しました。

日本の蒸し暑い夏に弱いせいか、ハダニに弱いせいか、せっかく買った鉢花も、マニュアル通り切り戻して育てても、前年に買ったような花は咲かせてくれません。早春の園芸店で、買っても夏は越せないしなあーと、鉢とにらめっこしながら、「切花だと思って」と結局買ってしまうのは、やはりあの香りの誘惑なのでしょうか。

ところで、このボロニアにも種類があって、香りが強いものも弱いものもあります。香りの良さで言えば、表題の写真の、最も一般的なボロニア・ヘテロフィラもかなり強いほうです。

Boronialutea_w しかし、香りの強さ、質の上品さで言えば、黄緑色の花を咲かせるボロニア・ルテアや、褐色の花を咲かせるボロニア・キャンデュレリに軍配が上がります。さらにこの二つのうちでは....と考えると甲乙がつけれません。

カメラ:Pentax645 レンズ:67用SMCPentax75mmF2.8 フイルム:RDP3

というか、この2つは同じ仲間ではないでしょうか、一般にブラウンボロニア、またはスイートボロニアと呼ばれるBoronia megastigmaの、色変わりがルテアで、キャンデュレリは褐色の花の品種名だと思います。

Boroniacan この、Boronia megastigmaは香りの名花で、実際にエッセンシャルオイルも作られております。

カメラ:Canon5D レンズ:Distagon 35mmF1.4 AEG

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2006年3月10日 (金)

エベレスト ダブル フラグランスのダブルって何でしょう

Everestdoublefragrance_w Everest Double Fragrance (エベレストからの強い芳香..みたいな意味でしょうか)

この名前のバラを知ったとき、どんなバラなのか興味がわきました。エベレストから、背が高くなるか、万年雪のように白いバラ。ダブルは八重咲き、フレグランスはもちろん香りが良いこと。そう思って育てはじめましたが、思っていた印象とは少し違いました。

まず、所詮フロリバンダなので、びっくりするほどには背が高くなりません。もちろんフロリバンダのなかでは背が高いですが。花の色はソフトピンクか、コーラルピンクです。気温が低い時はピンクの濃度があがり、高い時は薄いオレンジのようにも見えます。そして白く退色して行きます。

香りは良いです。ティーローズの分量が多くまじったティーダマスクの香りを基本にしながら、カーネーション、オレンジを連想する香りが混じります。これも気温によってその時の印象は変わります。

こうして実際に育ててみた後で、名前の由来をもう一度想像すると、最初のエベレスト、これはフロリバンダのなかでは背が高いということで間違いないでしょう。

次のダブル、これはフレグランスと対になっていて、ダブル フレグランス、二つの香りが時期によって変わる。これはどうでしょう。もちろん正確なことはわかりません、作者が知ったら全然ハズレと答えるかも知れません、ただ、そう思っても不思議ではない性質をこのバラは持っています。

花の色が季節によって変わり、同じ季節でも咲き始めと終わりで花色が違い、香りも季節によって変わります。そして、こんな二面性がこのバラの良いところなのかも知れません。

カメラ:Rolleiflex SL66 レンズ:Pan Tachar 125mmF2.3 フィルム:RDP2

作例から、ちょっと色収差があるレンズですね。

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2006年3月 8日 (水)

シノゴでサンパー

Sa38xl_w1 これはBlogに載せる予定は無かったのですが、せっかく「シノゴでサンニッパー」というネタをやったので、「シノゴでサンパー」も紹介します。

なんの事は無く、チューリップの紹介で使った写真http://hanano-kaori.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_60bb.htmlのトリミング前の原版です。

レンズはスーパーアングロンXL38mmというレンズなのですが、本来このレンズは6x9用のレンズです。しかし6x9で使うにもバックフォーカスの短いこのレンズは使える機材が限られていて、ほとんどあおれなくても良いのであれば、Crown Graphicをベットダウンすれば、無限からピントが来て6x9で使えます。

この時はロールフィルムを使わないで45のシートフィルムを使いました、フイルムに写った全体像です。

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2006年3月 7日 (火)

シノゴでサンニッパー

Hektor300_w_1 何の意味も無いのですが、4X5インチフォーマットを、300mmF2.8のレンズで撮ったらどんな写真になるか、面白そうなのでやってみたのが上の作例です。

しかもレンズはライツ、300mmF2.8は、35mm版にも無いスペックです。正体を明かすと、スライドプロジェクター用のレンズで、仲間に250mmF2.8と200mmF2.5があって、300mmF2.8のレンズはプロジェクター用Hektor三兄弟の一番のお兄さんです。

Img_5143_w 左の写真のようにして撮影するのですが、レンズの重量がすさまじく、そのままではマウントがやられてしまうので、三脚を2本使用しています。

さらに、開放F値F2.8で絞りが無いので、シャッター速度が1/1000まであるスピグラでも、撮影条件が限られます。作例は夕日を浴びた、窓辺のスイートピーさんですが、どんな感じでしょうか。

カメラ:Speed Graphic45

レンズ:Leitz Hektor300mmF2.8

フィルム:EPN

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2006年3月 6日 (月)

枝垂れ梅と枝垂れ桜

Shidareume2_w 昔、家に枝垂れ桜が植えられており、どういう訳か花つきが悪くしかし、成長は良く、狭い家の庭を日陰だらけにしてくれていました。

邪魔なので剪定をしようと思うたび「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というフレーズが頭のなかでレフレインして、日陰は大きくなるばかりでした。

そのせいか、私は枝垂れ梅にとても好意的で、花をたわわにした枝が、風でゆらゆらしていると、自分も幸福な気分でゆらゆらしていたりします。

桜より枝垂れる梅の花の種類が豊富なのも良いですね。行ったことはないのですが、名古屋のほうに、いろいろな品種の枝垂れ梅を植栽してある所があるそうなので、いつか出かけてみたいものです。

写真は近所のお宅の枝垂れ梅です、道路にはみ出してしまって、この写真を撮った翌年には深く剪定されましたので、このような姿もしばらくお別れです。

カメラ:Pentax645 レンズ:Jena MC Sonnar 300mm F4 フイルム:RDP3

正方形に近くトリミングしていますが、PentaconSixで撮ったものではありません。

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2006年3月 5日 (日)

クライスラー インペリアルはフラッグシップ。

Imperial1_w Chrysler Imperial (旧クライスラーの最高級乗用車の名前です)

クライスラー インペリアルという名前を聞いて、なんか自動車会社にクライスラーとかあったなー、調子が悪くなって、ベンツの資本を受け入れ、ダイムラー クライスラーという名前の会社になったのだっけ。
などと連想した人は、このバラにまつわる少し面白い話に近づいたかも知れません。

最新のモーターショーで、消えていたインペリアルというクライスラーのフラッグシップの車名が復活していたなーと連想した人は、もう充分ご存知でしょうから、参考程度にどうぞ。

クライスラー インペリアルという花の名前はまさしく車の名前で、車のイメージフラワーとして名前がつけられました。最近はいろいろありますが、最初に広告用の目的で名付けられたバラであります。
このバラはドイツで生まれたのに、何故アメリカの車の広告をしなければならなかったかと言うと、生まれた年が、アメリカによる戦後統治期間の最後の年である1952年だったからです。つまり、MADE IN US-ZONE GERMANYだったのです。

複雑な生い立ちをした子供が紆余曲折を経ながら、最後に故郷に錦を飾ったというと、飛躍しすぎかも知れませんが、この花はダイムラークライスラーの高級乗用車の名前として、思い出されるようになるかも知れません。

いろいろな賞をもらっております。そのうちで、香りに関する最高の栄誉と私が信じるJames Alexander Gamble Fragrance 賞は、少し遅れて1965年に取っています。

その素晴らしい香りはどのようなものかと言うと、黒っぽいビロード赤の花から想像できる、重厚なダマスクの香りではなく、フルーティ ダマスクの香りです。フルーツの印象は
イチゴという人も柑橘系という人もおります、いずれ軽い爽やかな感じのフルーツ香がダマスクにまじることで、陽気なダマスクといった感じの香りになっております。

残念なことは、株の寿命が短く手入れが悪いと樹勢が衰えてくるような気がします。

カメラ:Rolleiflex SL66 SE レンズ:Kinoptik Paris100mm (改造マウント)フイルム:EPR

ビロードのような質感の真紅の花びらが綺麗です。

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2006年3月 4日 (土)

Planar100mmF3.5とPlanar100mmF2.8

P100f28_w1 P100mmf35_w1 Zeissの中判用100mmのレンズにはGraflex,Linhofの100mmF2.8のレンズとHasselbladの100mmF3.5のレンズがあります。焦点距離が100mmを超えると、フランジバックの制約から開放されるせいか、どちらのレンズも構成は同じ4群5枚で本来のオーソドックスなPlanarの構成になっております。

同じレンズ構成、同じ焦点距離の二種類のレンズが何故違う開放値を持つのでしょう。というか、100mmの焦点距離で、相場より暗い開放値のレンズを何故ZeissはHasselblad用に作ったのでしょう。

ここに、この二つのレンズを同一条件で撮った作例があります。上はGraflex XL用のPlanar100mmF2.8のレンズを6X8フォーマットで撮ったもの、下はHasselblad用Planar100mmF3.5のレンズを使って同一条件で撮ったものです。撮影時は三脚をセットした後で雲がかかって残念だったのですが、かえって比較の為の作例写真としては良かったかも知れません。

この2つを見ると、Hasselblad用のレンズが若干画角が狭く(望遠に)なっており、イメージサークルも6x8がやっとで、6x9をカバーするXL用のレンズより小さいことが解ります。

ZeissのコメントでHasselblad用の100mmは「開放F値と焦点距離の比を最適に選んで設計した」とあります。つまり、ディストーションを最小にする為、あえて開放F値を抑えた設計をしたと言うことになるかと思います、反面XLの100mmは80mmをそのまま大きくして、イメージサークルを大きくする為、大口径で設計されたものと思います。

HasselbladのPlanar100mmは、その意味で、6x6のフォーマットでほとんどゼロのディストーションにして、建築とか測量用に使うことを目的にしたレンズで、6x8で使われることは心外かもしれません。しかし、6x8で使っても素晴らしい描写をするレンズです。

*上下左右の枠はフラットベットスキャナーの枠がある程度影響しています

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2006年3月 3日 (金)

ネージュパルファム最後の秋

Parufumu_w ネージュパルファム Neige Parfum (香りの雪)

今年は、花をあきらめてもいい、何とか新しいシュートが出てくれないものか。と思うものの、蕾がつけば花を見てしまいました。鉢だからダメならば地植えではどうかと、猫の額の地面を掻き分けて、大地を与えてみました。でもその場所が合わなかったようで、かえって衰弱してしまいました。

若い時に無理させすぎたからなあー、今年で最後かも、とすっかり年老いてしまった主幹をみて後悔の念にとらわれます。

株の主はネージュパルファム、香りの白花の大銘花です。ただこのバラの欠点は成長が遅く、新しい主幹となるシュートが出にくいことにあります。開花のサイクルが短く、絶えず花をさかせるため、エネルギーを消耗しているように思います。
この花はクリーム色の形良い蕾からルーズな感じに開花して、なんともいえないすばらしい香りを振り撒きます。香りのバランスも絶妙で、大半をしめるダマスクの香りに、ピーチを思わせるフルーツの香りが混じります。花はしだいに純白にかわり、みごとに散ってゆきます。

私は、どちらかと言うと春のバラより秋のバラのほうが好きなのですが、このバラに関しては春の蕾は全部とってしまって、シュートと秋の花にかけても良いのではないかとさえ思います。
ただそこまでしても、バラに病害虫はつきものですから、夏には丸坊主になることだってあります。だから蕾ができればいつでも開花を待ってしまいうのです。

そして、思ったとおり、秋に最後の開花をした後、帰らぬバラとなってしまいました。

カメラ:Rolleiflex SL66SE,レンズ:Kinoptik Paris100mm (改造マウント)、フィルム:RVP

今年、新苗が出回らないかなあ。写真は春の花です。

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2006年3月 2日 (木)

Distagon 60mm F3.5 For Hasselblad 500系 6X8フォーマット作例

Karuizawa1 Hasselbladの500シリーズ用のレンズシャッターを内蔵しているレンズで、私が持っているのは、SWCを除くと、60mm、80mm、100mm、120mm、135mm、150mmとなります。

この中で最も短い焦点距離のレンズは60mmで、6X8のフォーマットをカバーしたらちょっと面白い画角ではないかと思いました。実際やってみると、さすがに隅っこは滅光が厳しく、画像も乱れるのですが、作例のようにもともと周囲が暗いと目立たなくなります。

作例の写真は、フルティアとかいうフイルムをテストした時のものですが、もともとコントラストが強いフイルムを雨上がりのコントラストの強い状況で撮影しているので、作り物のような風景の写真になっています。

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2006年3月 1日 (水)

恐れ多くも春蘭について

Hakurei_w おそらく、色々な園芸趣味の中で、一番奥が深くおどろおどろしい世界は東洋蘭に関するものではないかと思っております。したがって、私のような者が多くを語るのはおこがましいのでほんのちょっとの感想だけ。

春蘭は、日本でも自生していて、一部の選抜種は貴重品として高価で取引されるものの、たいていは春先に季節の草花として、普通の値段でホームセンターに並びます。また、この花を塩漬けにする目的で、山菜とりと同じ感覚で花をつみに山に入ったりします。

私の実家の近所の裏山にも生えていて、枯葉の間に、春蘭の青葉を見つけると、それだけで喜ばしい気分になったものです。やはり、この植物はなにか人の本能にうったえる魅力をもっているのかも知れません。

もし、意識しない内に本能が魅力を感じているとしたら、花の香りが原因かも知れません。嗅覚はいろいろな感覚の中で最も直感的ですから。もちろん、日本の春蘭は強い香りは持っていません、しかし、香りはあります。そんなわずかな香りが人を魅惑しているのかも知れません。

一方中国春蘭は、素晴らしい香りを持つものが沢山あります。この香りは貴香とか、薫香とか、解ったような解らないような表現で表されることが多いのですが、東洋蘭に共通した穏やかで、馥郁とした香りで、それは、民族的に最も敏感で、最も好ましく思う香りでもあるかも知れません。

カメラ:CrownGraphic45 レンズ:Nikkor AMED 120mmF5.6 フィルム:EPN

中国春蘭の一種です。

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