« ドンベヤはアイスクリームの香り | トップページ | ウォールフラワーは壁際にでなく壁に咲く »

2006年2月19日 (日)

Sonnar 150mm F2.8 for Hasselblad 作例

Shidarezakura_w 一時期、軍用航空カメラから摘出されたZeissの150mmレンズがE-bayを賑わせたことがありました。Sonnar150mmF2.8です。このレンズはイギリスのAgifliteという手持ち航空カメラに付いていたものです。写真と解説を見ただけで実物はみたことがありませんが、映画用の70mmフィルムを使って、フィルム送りとフーカルプレンシャッターを12ボルトのバッテリーで駆動させ、12mのフィルムで6x6サイズの画像を175枚、手持ちでかつ、レバー一本の操作で撮影するカメラだったようです。

用途は軍用、沿岸警備用で、たとえばP3-Cから乗務員が手持ちで撮影していたのかもしれません。偵察用のカメラがデジタル化して、払い下げられ、E-bayで出回り、レンズも同時にE-bayを賑わしていた訳です。このレンズはHasselbladのFレンズと同じ構成のものです。私も興味がありましたが、こらえました。使い道がわからなかったからです。

F系Hasselblad用Sonnar150mmF2.8レンズは、造りをみると焦点距離のわりにバックフォーカスが短く、Hasselbladでぎりぎりの長さです。Planar110mmF2のレンズと同じ鏡筒を使いながら、後玉の位置は110mmよりカメラ側、マウントぎりぎりまで来ている、と言えばいかにバックフォーカスが短いかわかると思います。したがって、ヘリコイドもシャッターもないAgiflite用のSonnar150mmは使い道に困る代物だったのです。

Sonnar150mmF2.8の主なユーザーは軍用、沿岸警備用だったことに、このレンズの性格があらわれていると思います。Zeissも認めるように120mmから180mmまでのHasselblad用レンズのなかで最もシャープなレンズです。その為ポートレートの焦点距離のレンズでありながら、ギンギンの描写をしがちです。

大口径のレンズでバックを綺麗にぼかしてポートレートを撮るというのであれば、Planar110mmにメリットがあり、そのせいかSonnar150mmF2.8は、手ごろな焦点距離にかかわらず早めにF系Hasselbladのラインアップから消えてしまいました。

ところで、私はこのレンズが大好きです。合焦点のシャープさは抜群なので、メリハリのある絵になることと、Mutarと組み合わせることで、シャープな300mmF5.6のレンズとして使いでがあるからです。

カメラ:Hasselblad 201F レンズ:Sonnar 150mmF2.8 フィルム:RVPF
開放で、木漏れ日に浮かぶ枝垂桜の花びらだけにピントを合わせています。

|

« ドンベヤはアイスクリームの香り | トップページ | ウォールフラワーは壁際にでなく壁に咲く »

コメント

この150mmf2.8はf4.0と違い良いですね、私のf.4.0はピンの山無し。寝ぼけたレンズ、120mmもそうでした。皆様のように評価できると葉思えません、個体差が大きいにかな? コントラストは良くない、唯一満足は80mmのプラナーだけ。名前に踊らされて高い買い物でした。シャッター、マガジントラブル多し。

投稿: 写真狂 | 2011年7月18日 (月) 13時50分

写真狂 さま今晩は

Zeissが100mm以上のレンズで一番良いのが150mmF2.8と言っているので、間違いないのでは。レンズシャッターからの開放から明るさが増した、とかではなく、全く別物。

実際、このレンズは本当に鋭いです。

投稿: kk | 2011年7月18日 (月) 22時30分

全く迷惑ですね、使って初めて性能が分る。高い経験です。雑誌に出てる評価は半分眉ツバですね。ハッセルには泣きました。シャッタートラブル、マガジンのフィルム駒ずれ。国産より柔です。それに引き換えローライは丈夫ですね。個体差が大きいのが悩みですね。

投稿: 写真狂 | 2011年7月19日 (火) 16時22分

写真狂 さま今晩は

Hasselbladでさえ、Fレンズに見合うボディはきっちり作れなかったのかも。これらのFレンズは潜在的な性能は素晴らしいのに、CFレンズより短命で、マイナーでした。

実は、アダプターを使ってPentax645だと、645ではありますが、きっちりつかえたりします。

投稿: kk | 2011年7月19日 (火) 20時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ドンベヤはアイスクリームの香り | トップページ | ウォールフラワーは壁際にでなく壁に咲く »