Sonnar 150mm F2.8 for Hasselblad 作例
一時期、軍用航空カメラから摘出されたZeissの150mmレンズがE-bayを賑わせたことがありました。Sonnar150mmF2.8です。このレンズはイギリスのAgifliteという手持ち航空カメラに付いていたものです。写真と解説を見ただけで実物はみたことがありませんが、映画用の70mmフィルムを使って、フィルム送りとフーカルプレンシャッターを12ボルトのバッテリーで駆動させ、12mのフィルムで6x6サイズの画像を175枚、手持ちでかつ、レバー一本の操作で撮影するカメラだったようです。
用途は軍用、沿岸警備用で、たとえばP3-Cから乗務員が手持ちで撮影していたのかもしれません。偵察用のカメラがデジタル化して、払い下げられ、E-bayで出回り、レンズも同時にE-bayを賑わしていた訳です。このレンズはHasselbladのFレンズと同じ構成のものです。私も興味がありましたが、こらえました。使い道がわからなかったからです。
F系Hasselblad用Sonnar150mmF2.8レンズは、造りをみると焦点距離のわりにバックフォーカスが短く、Hasselbladでぎりぎりの長さです。Planar110mmF2のレンズと同じ鏡筒を使いながら、後玉の位置は110mmよりカメラ側、マウントぎりぎりまで来ている、と言えばいかにバックフォーカスが短いかわかると思います。したがって、ヘリコイドもシャッターもないAgiflite用のSonnar150mmは使い道に困る代物だったのです。
Sonnar150mmF2.8の主なユーザーは軍用、沿岸警備用だったことに、このレンズの性格があらわれていると思います。Zeissも認めるように120mmから180mmまでのHasselblad用レンズのなかで最もシャープなレンズです。その為ポートレートの焦点距離のレンズでありながら、ギンギンの描写をしがちです。
大口径のレンズでバックを綺麗にぼかしてポートレートを撮るというのであれば、Planar110mmにメリットがあり、そのせいかSonnar150mmF2.8は、手ごろな焦点距離にかかわらず早めにF系Hasselbladのラインアップから消えてしまいました。
ところで、私はこのレンズが大好きです。合焦点のシャープさは抜群なので、メリハリのある絵になることと、Mutarと組み合わせることで、シャープな300mmF5.6のレンズとして使いでがあるからです。
カメラ:Hasselblad 201F レンズ:Sonnar 150mmF2.8 フィルム:RVPF
開放で、木漏れ日に浮かぶ枝垂桜の花びらだけにピントを合わせています。
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コメント
投稿: 写真狂 | 2011年7月18日 (月) 13時50分
写真狂 さま今晩は
Zeissが100mm以上のレンズで一番良いのが150mmF2.8と言っているので、間違いないのでは。レンズシャッターからの開放から明るさが増した、とかではなく、全く別物。
実際、このレンズは本当に鋭いです。
投稿: kk | 2011年7月18日 (月) 22時30分
全く迷惑ですね、使って初めて性能が分る。高い経験です。雑誌に出てる評価は半分眉ツバですね。ハッセルには泣きました。シャッタートラブル、マガジンのフィルム駒ずれ。国産より柔です。それに引き換えローライは丈夫ですね。個体差が大きいのが悩みですね。
投稿: 写真狂 | 2011年7月19日 (火) 16時22分
写真狂 さま今晩は
Hasselbladでさえ、Fレンズに見合うボディはきっちり作れなかったのかも。これらのFレンズは潜在的な性能は素晴らしいのに、CFレンズより短命で、マイナーでした。
実は、アダプターを使ってPentax645だと、645ではありますが、きっちりつかえたりします。
投稿: kk | 2011年7月19日 (火) 20時53分